第四章 転生編

遭遇

ボロッボロのそぼろに負けたので(?)拠点としていた街へ帰ってきた。というかさっき知ったがここって国名: 魔法王国アルテリアの首都、 エルムシティという場所らしい。

 国旗は銀色の背景に青い星とゴールドの紋章で、魔法学校とか色々あるようだ。


「ここが2人の拠点ですか」


 そうそう、リリィがおれたちに付いてきた。

 パーティーとしても前衛は欲しかったし、まぁちょうどいいだろう。おれではまだ不安が残るしな。

 というわけでギルドへ行ってささっとパーティーへ登録。が理想的な流れ。しかしリリィは冒険者ではない。

 話し合った結果、ランク上げに付き合うこととなった。

 討伐系を基本に受けていたのだが、結構な速度でランクが上がった。今では一括で受けている。

 そしてリリィがCランクに上がったあたりで、違和感に気づいた。やけに魔物が少ないのだ。しかも遭遇するやつは何かから逃げるようにどこかへいくし。


「何かいますね」


 そりゃあね。


「ゔぅ!」


 木々の隙間を縫うようにして凄まじい速度で何かが飛び出してきた。


「ぅぁ?」


 出てきたのは、大事なところをかろうじてボロ布が隠しているような姿の、10歳くらいの少年。髪は伸び放題でボサボサだし、全体的に薄汚い。これだけ見ればただの野生児だ。いや、ただの野生児ってなんだよって話だが。

 この少年の異質なところは、目立った傷もないのに血まみれということ。手や口元に多く付着している。しかも身震いするような殺気を向けてくるし、とんでもないエネルギーを感じる。


 あ、目があった。

 と思った時、手が目の前にあった。


 風魔法で衝撃波を発生させて避け、脈動と魔法強化、付与、翼の展開と飛翔を同時に行う。


「グルルルルル」


 少年が威嚇するような声を出す。ライも翼で飛び上がった。リリィは飛べないのでどうしようか、と思っていると使い魔のマロンが不思議パワーでリリィを伴い浮かんできた。


 コマンド選択


 戦う

 道具

 →逃げる


 個人的にはこれで行きたい。が、回り込まれそうだ。

 ・・・・じゃなくて。この癖どうにかならんかね?


「ガァァァァァァ」


 うっわ!この間の剣士の人も届かない高さなのに!軽々とジャンプしてきた。


「逃げよう!」


 魅力的な提案だ!

 おれたちは、脇目も振らずに逃げた。だって怖いもん。死にたくない。






 ◇◇◇◇






(逃げた)

(速い)

(強かった)

(いい匂いだった)

(美味しそうだった)

(追いかけろ)

(逃すな)


 今の三人、結構強かったな。


 邪神は、三人を追った。






 ◇◇◇◇






 はー、怖かった。トラウマもんですわ。ちびるかと思った。


「ちょっとギルドに報告してくる」


 こっからだと結構遠いな。だが、進化したおれならば速攻で辿り着ける。

 光魔法で光を屈折、透過させて姿を隠す『隠蔽』に魔力翼、風魔法による加速でスタート。

 普通に行ったら速くても十分くらいの道のりを、直線距離で高速移動したおかげで三分かからずについた。


「あ、ちょっと報告があるんですが」


「なんでしょう?」


 依頼で森に行ったらそこの様子がおかしかったこと、謎の少年が現れ、いきなり襲ってきたことと、体感での少年の強さを全て報告。

 早急に保護、捕獲のための部隊が結成されるとのこと。

 あの強さで捕獲なんかできるのだろうか?

 ん?


「──バイヤバイヤバイやばいヤバいやばい!」


 ライがすっ飛んできた。どうしたんだ?


「さっきのやつ、追いかけてきてた!」


「先ほどの少年が我々を追跡していて、先ほど近くに気配を感じました!」


 な、なんだってぇー!?





 ◇◇◇◇






 ギルドで緊急会議が開かれ、臨時で冒険者を派遣することとなった。正直トラウマになりつつあるし行きたくない。人に害をなすタイプではないことを祈りたいが、あの様子といきなり襲ってきたことを考えると希望は薄い。

 あー、嫌だ。なんとかならんのかこれ?流石に厳しいぞ?死にたくな・・・・・・・・あれ?

 毎回忘れてるけどおれ食いしばりのチートスキル持ってんじゃん。イケるかも。


「以上が、対象の特徴だそうです。部隊に参加を希望する人はいますか?」


「はいはいはい!」


 手を挙げてアピール。楽勝だぜ!


「若いのだけにやらせるわけにはいかねえ、ワシも行くぜ!」


「では、僕も」


「私も」


 みんなドンドン参加を希望する。最終的に結構な人数が集まった。


 早速行くぜー!






 ◇◇◇◇






「あ、あれが話にあった?」


「やっぱ帰ろうかな・・・・」


 みんなあの殺気を前に萎縮している。やはりここはチートを持ったおれさまが先導しなくてはな!ぬわははははは!


「怖がってんじゃねー!突撃だ!」


 おれはまっすぐに走り出した。確かに、調子に乗っていたかもしれないが、警戒自体はしていたし油断もしていなかった。


「あえ?」


 腹に違和感を感じて視線を落とすと、腹を貫かれていた。

 しかしスキルにより傷が塞がる。

 今度は頭を潰された。しかし死なない。


 後ろに冒険者が続き、おれは一度下がることとなった。


「若造よ、、、この血の量じゃ、傷は相当深い。せめて、来世では安らかに過ごせ・・・・───」


「まだ生きてるよ!」


 そう言って前線に戻る。なんかバフ的なのかけられた気がするけど、最後何言ってたんだろう。


「おれは死なね──


 それがおれ、黒野仁斗呂の最後の言葉となった。











発動条件を満たした状態での死亡を確認。

スキル『不滅の意思』が『輪廻転生』へ変化します。










『輪廻転生』発動

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