第14話:魔剣
◆
無念無想、という言葉がある。
何も考えず何も感じず、しかし肉体は最適の動きをする。
この前に、あらゆる策略や作戦は意味をなくす。
策略の先、作戦の上。
秘剣「残月」。
最初の斬り合いはその土台。
相手を幻惑し、本命の一撃を理解できなくさせる。
だが。
今、かざりが放つのは。
自分自身を斬り合いによって幻惑する。
そしてそれに、はなびの怪腕が放つ一撃。
直撃こそしなかったものの、衝撃でかざりが気を失いかける。
天に導かれる剣が、放たれる下地が整った。
あらかじめ引かれた線をなぞるかのように、刀が振られる。
その一刀は無念無想。
秘剣ではない。
それは人知を一歩だけ、踏み越えた先にある。
長い修練の先に得る特権を、強引に引き寄せる。
あってはならない剣。
魔の剣。
「――魔剣」
魔
剣
「
残
月
崩
」
はなびとその中の鬼は当然として。
当のかざりも知覚できなかったその一刀は――
右の怪腕を、完全に切断していた。
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