第13話:最初に出会った時から、はなびにひかれていた
◆
僕は片方の怪腕を斬った。
だからこそ、はなびの中の鬼の血は、強い危機感を抱いたのかもしれない。
はなびは止まらなかった。
むしろ、その動きがさらに激しくなった。
狂暴。鬼の血に狂いかけている。
秘剣残月。
一度は通じた。
圧倒的な身体能力のはなびにすきを作り出し、その左の怪腕を斬った。
二度は通じない。
「ぐっ……!」
右の怪腕は鬼気をまとって振るわれる。
もうはなびの意識自体がないのかもしれない。
腕にのっとられたようなものだ。
そんな姿は絶対に見たくない!
最初に出会った時から、はなびにひかれていた。
その笑顔も、しぐさも、誰に対しても明るい姿に目が離せなかった。
最初は、自分が鬼斬りだからだと思った。
そうじゃない。
一緒にバスケをして、あんなに胸がどきどきしたのは初めてだった。
だからこそ。
終わらせる。どんなことがあっても。
秘剣が通じないなら。
もうはなびに――いやはなびを乗っ取った鬼にすきがないなら。
その一歩先に踏み込むしかない。
刀を振る。
二度、三度、四度。
五度、六度、七度。
ここまでは秘剣と同じ。
でも、幻惑するのは。
次の一手を分からなくさせるのは、はなびじゃない。
僕自身だ。
激しいはなびの怪腕の一撃が、頭をかすめた。
衝撃で意識がかすむ。
つい苦笑してしまう。
最後の一歩は、はなびが踏み出させてくれた。
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