第8話:はなびはその日から



 二学期になって、はなびは別荘で言ったようにバスケ部に交じって体育館でボールを追いかけていた。

 正式な部員ではないけれど、飛び入り参加みたいな感じだ。

 でも、はなびは運動神経もいいし、何よりも明るい性格だから、いるだけで華やかなムードメーカーになっていた。


 何回か、気になって体育館に行ったこともある。

 そのたびにはなびは目ざとく僕に気付いて、楽しそうに手を振ってくれた。

 ユニフォーム姿が似合っていて、はなびの周りだけ輝いているみたいだった。


 だからこそ、一人欠員が出たということで、はなびが試合に出場できると分かった時に、僕も舞い上がってしまった。


「かざり! 私のかっこいいところ見に来てね!」


 嬉しそうにウインクして手を突き出すはなびに、僕もハイタッチしていた。



 でも。

 一番起きてほしくないことが起きてしまった。


 相手のひどいラフプレーではなびたちのチームの一人がけがをしてしまい、それで怒ったはなびは……。

 ラフプレーをした選手の首をつかんで片手で持ち上げて――危うく傷つけるところだった。

 見ているみんながぞっとするような瞬間。

 誰よりもはなび自身がそのことを思い知って、青ざめていた。


 試合には勝った。

 でも、はなびはその日から、学校に来なくなった。




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