第2話


 鐘の音が聞こえた。

 王立劇場が近づいている。

 夕暮れ時のヴェネツィアの街を、頬杖をついてネーリは眺めている。

 彼の横顔を、アデライードは眺めていた。

 ふと、それに気付いたようでネーリが振り返った。

「どうしたの」

 柔らかい表情で笑われて、アデライードは首を振る。

 ネーリ・バルネチアは不思議な青年だ。

 ラファエルもそれは美しい男だが、ネーリは時折少女のような横顔に見えることがある。

 でもこちらを真っ直ぐ見つめられると、瞳の明るい輝きに、少年らしさが宿る。

 しかし、王都ヴェネツィアの貴族達が訪れる王立劇場の観劇の為にいつもとは違う様子で着飾ったネーリは、美しい青年の姿をしていた。


「あ……いえ……ネーリ様は、いつもの絵を描いているお姿が一番似合ってると思っていましたが、そうして着飾られても本当に似合っておられます」


 そんな風に改めて言った親友の妹に、ネーリは笑った。

「そういえば、前に一緒に夜会に行った時は、仮装をしていたもんね」

「しかも月の女神様でしたわ。けれど……私もラファエル様にお会いした頃は、貴族の貴公子の方などほとんど見たことが無くて、男の方なのにこんなに美しい方がいるのかと驚いたことがありますけれど……。ネーリ様も美しい貴公子様ですわ」


「ぼくは貴公子様なんかじゃないよ」


 優しい声でネーリは言った。

 もう一度窓の外を見遣ったネーリの横顔には、はっきりと孤高の影が表れていた。

 夕暮れ時に、街に明かりが灯り始める。

 人が住む家に照らす明かりというものは――温かいものだ。

 ネーリは十歳にも満たない時からヴェネトを独りで彷徨っていた。

 ……確かに、それは、貴公子の暮らしではない。

 アデライードは不思議だった。

 普通その年頃なら家族がいて、親がまだ幼い子供を気にかけて、手を引いて一緒に過ごそうとする。

 彼女も親は、いなかった。だが修道院で生まれ育ったと言っていい彼女には、修道院が家であり、そこに住まう人達が家族だった。


 普通の少年なら、何故自分には手を引いてくれる存在がいないんだろうと街を歩きながら思ったのではないだろうか。冷たい雨の日や、寒い雪の日に、火のある町並みを外から見て、心細くはならなかったのだろうか……。

 なったはずだとは思うけれど、ネーリには孤高の影が刹那過っても、それが身に染みこむということがない。彼はいつもその明かりを優し気に見つめている。

 そして目を輝かせて街を歩くのだ。ヴェネツィアの、太陽のある昼間の穏やかな町並みにネーリはいつも溶け込む。きっと彼の動向を物陰から伺う人間の方が怪しく見えるだろう。


(まるで……)


 馬車が止まった。

 新作舞台が始まった週の王立劇場などは、着飾って劇場入りする貴族達の様子も風物詩なのだが、アデライードは社交界慣れしてないので、立派な正面から入るなど恐ろしいから、と裏口につけてもらった。それは単なる口実だったけれど、ネーリを華やかな場所で人の目に晒すのは危険が伴う行為だったため、これからも何かにつけて気の弱い令嬢作戦は使えそうである。

 ラファエルがいる時は、こういうことは彼が抜かりなく堂々とやってくれるので、アデライードも安心して身を任せられるのだが、生憎彼女はそこまで豪胆にはなれなかった。


 貴族達は競って正面から入りたがるので、劇場裏庭にはほとんど人影などはない。

 馬車を降りて守衛に招待状を見せると、シャルタナ家の紋章の入った招待状に、話はすでについていた。「どうぞこちらへ」と別の劇場スタッフが二人を招待してくれた。

 シャルタナ家の桟敷はヴェネト六大貴族だけあり、最高位の場所にあり、彼らを見下ろす場所にある桟敷は王室の者が使う桟敷だけだった。つまり余程身を乗り出さなければ外から見られる心配は無い。


 王家の桟敷が開いていた場合は、王妃に近しい人間がそこにいる可能性があるのでネーリにとっては姿を見られる恐れがあったが、閉じていればそこには誰もいないので、問題は無い。桟敷の確認はネーリがすることにしておいて、アデライードはごく普通に振る舞うと、先に二人は決めておいた。もし王家の桟敷が開いていたら、そこから見られないような場所に移動することにしている。


 エントランスを抜けて緩やかな螺旋階段を上っていくと、壁に大きな絵画が飾られていた。ここは招待状ではなく、チケットを買って見に来る客も通れるところだが、貴族達がゆっくり見れるよう、今の時間は解放されていない。貴族の姿はチラホラあったが、劇場内に絵が見れる場所は他にもたくさんあるので、一カ所に集まっているようなことはなかった。それにあまり人の目に触れたくなかったので、失礼にならない程度ギリギリに劇場入りをしたのだ。

 他の貴族達はもっと一時間近く前に入り、劇場内を散策などしながら、知り合いと挨拶などをし合っている。つまり、もうほとんどの名門貴族は桟敷に入った時間帯なのだ。

 広々とした階段を上がりながら、ついつい足が止まる。


「どれも素晴らしい絵ですわ」

「海と砂漠をテーマにした作品を選んで飾っております。当劇場が買い上げたもの、またご贔屓下さる貴族の方が、今回の舞台のために貸し出してくだされたものもあります」


 スタッフは二人を急かすことも無く、立ち止まってそんな風に説明してくれた。

「反対側の棟にも、同じように絵が飾られておりますので、どうぞご堪能下さい」

 ネーリはやはりこんな状況でも絵を見上げると瞳が輝いて、じっと一つ一つの作品を見上げている。

「こんなに絵がたくさん飾られているなら、もっと早く来れば良かったですわね」

 くすくす、とアデライードが笑えば「帰りにゆっくり見ればいいよ」とネーリも笑ってくれた。歩きながら眺めつつ、三階まで上がっていったところで、またネーリの足が止まった。

 ――ある、絵の前でだ。


「この絵は……」

 アデライードも見覚えがあった。

「シャルタナ卿の屋敷で見た絵ですわ……」


 美しい砂漠のオアシスの景色だ。

 赤い夕暮れをよく覚えている。


「はい。こちらはシャルタナ卿より貸し出していただいた絵でございます。

 このバルラ・エイヴォン作の【異国の女王】は、本日の演目である【ネフェルタリ】がヴェネトで初めて上演された六十年前の初日に、この劇場に飾られた作品なのです。

 以後はシャルタナ卿の秘蔵とされ、屋敷に飾られて、ご友人などに限って鑑賞されていたのですが今回、特別に卿のお許しを頂き、ここに飾ることが出来ました。

 当劇場としてもこの名画を飾れる二度目ということで、感動しております」


 シャルタナ家の招待状を見て、直ぐさま恭しく案内をして貰った理由がアデライードは分かった気がした。


「お気に召しまして?」


 声がして、見上げると、半階上の踊り場からレイファ・シャルタナが今宵も優雅な夜会服で微笑んでいた。劇場スタッフが、深くお辞儀をする。

「ありがとう。お客人はここからは私が案内しますわ」

 レイファが彼にそう言うと、彼は優雅に頷き、従順に去って行った。

「お招きいただき、ありがとうございます。レイファ様」

 アデライードが会釈する。

「来ていただけて嬉しいですわ。――まぁ……」

 レイファはフランス流に着飾ったアデライードを微笑ましそうに見遣ったが、ふと傍らのネーリに気付いた。


「ネーリ様は、着飾るのは苦手だと仰いましたけど、特別な場所にお招きいただいたんだから、と私が無理に着飾らせてしまいました」


「まあ、そんな。お似合いですわ。ネーリ様。今宵の貴方を見たら、誰も絵描きなどと思わないわ。どちらの貴族の子爵かと」

 レイファはわざわざ、自分から歩いて降りて来た。

「兄がたくさん服を持っていますので、その一つをこっそり拝借して仕立て直していただきましたの。あらかじめ招待状をいただいたので、準備が出来ました。私と揃えてフランス風なのですが、場違いではないでしょうか……」

 美しい装飾ね、とネーリの衣装の模様を明るい目で見つめつつ、レイファは笑った。


「とんでもないわ。よくお似合いです。ラファエル様のご威光で、今ヴェネト社交界はフランス風が流行してますのよ。今宵も至る所でフランス風ご令嬢を見かけましたけれど……お二人が一番瑞々しくて華やかですわ」


 顔を見合わせて、アデライードとネーリが笑っている。

 本当にこの二人は仲が良く、恋人同士のようにも見えるのだが、レイファからすると、まるで姉弟のようにも見える、不思議な二人だった。片血が貴族とはいえ、年頃のアデライードが同じ年頃の、見目麗しい画家の青年とこんなにも一緒にいて、兄のラファエルは心配にならないのだろうかとも思う。

 確かにラファエルは人付き合いには寛容そうではあるのだが……。

 鐘が鳴った。

「ああ、そろそろ開演ですわね」

「申し訳ありません、こんな忙しなく来て」

「気になさらないでいいのよ。私と兄は初日にも見ましたし、今日で三回目ですの。

 けれど、素晴らしい舞台ですわ。衣装も音楽もとても美しいから、退屈はしませんよ。

 さぁ、こちらへ」

 レイファに連れられて、二人は桟敷へと歩き出した。

「お兄様、お越しになりましたわ」

 アデライードが先に入る。

「お招きいただき、ありがとうございます。レイファ様。シャルタナ卿」

 一人ずつに改めて会釈をすると、ゆったりと椅子に腰掛けていたドラクマは振り返り、笑った。

「遅れて申し訳ありません」

「そんなことは気にされずとも良いのですよ。階下はこれから人が入る所ですし。お二人ともどうぞ今日はゆっくりこの桟敷でお過ごし……」

 アデライードに付き従うようにして、入ってきたネーリに目をやった時、ドラクマは着飾って現れた彼に、はっきりと息を飲んだ表情を浮かべた。

「お招きいただきありがとうございます、公爵閣下」

 ネーリが深く一礼する。

 くす、と笑ったのはレイファだった。

「どこの貴公子がいらっしゃったのかと、驚きまして? 兄上様」

 はっとしたようにドラクマが数秒の硬直から妹の声で立ち直る。


「いや……こちらとしても、桟敷にお招きするのだから、どうぞ気ままな服装でお越し下さいと申し上げていたので……お二人がこうも改めた格好でいらっしゃるとは思わず。妹は普段から服装に凝る性格をしていますが、私はお二人に比べ随分見劣りする格好で来てしまった」


 確かに、今日も上品にまとめた服装だが、ヴェネト社交界でも道楽貴族として知られるシャルタナ兄妹は、凝って来いと言われれば二人揃って貴族達の視線を釘付けにするような服装でも着こなして現れることで知られているので、それを思えば、本当に自邸に親しい友人を迎える時のような雰囲気だった。


「私もアデライード様は、さすがラファエル様の妹君だけあって美少女でいらっしゃると思いましたから、今日も華やかな装いでしょうと予想していましたが、ネーリ様も着飾ると、雰囲気が随分変わられますね」


 レイファは微笑みながらアデライードに椅子を勧めた。会釈し、彼女はそこに座る。

「ありがとうございます。アデライード様に飾っていただきました」

「貴方はこちらにどうぞ」

 桟敷に用意された椅子は四つで、

 左からドラクマ、レイファ、アデライード、ネーリが座ることになった。動かしやすい小さなテーブルが前に置かれ、ワインと冷水に、食べやすいサイズののチョコレートと色とりどりの氷菓子が美しい緑色の箱の中に綺麗に並べられている。

「まぁ、美しいお菓子」

「アデライード様は綺麗なお菓子が好きなんですよ。ご自身でもよくお作りになられるほど」

「そうでしたか。私は普段ワインがあればいいと思ってしまう方なんだが、レイファが若いお二人が来るのだから、楽しげな菓子は必要だと用意してくれてね」

 目を輝かせたアデライードに、レイファが「お好きに召し上がって」と優しく勧めてくれた。


「シャルタナ家の砂漠の絵を見ました」


 小さな美しい取り皿に、アデライードと二人で好きな菓子を取ってから、人の入り始めた階下を見ていたネーリが、ドラクマの方を見ていった。

 ああ、と彼は頷く。

「六十年前の【ネフェルタリ】の初演で飾られた絵だと案内役の方から聞きました」

「これが二度目なのだとか。そんなに貴重な絵を、この前は見せていただけたのですね」

 早速絵のことを瞳を輝かせて言ったネーリに、ドラクマは優しい表情を向ける。

「実は【ネフェルタリ】というこの演目は、初演に掛けられた時、あまり評判が良くなかったのですよ」

「そうなのですか?」

「ええ。当時としては斬新な衣装に、舞台装置なども画期的な取り組みをしたのですが、見目新し過ぎてヴェネトの市民にはあまり受けなかったようなのです」

「その時の当主は私の祖父でしたが、かなりこの公演に寄付などもしていたらしくてね……大コケをしたことで腹を立てて、王立劇場には二度と絵を飾るなと、それはもうお怒りになったそうなのです」

「まあ……そんなことが。でも、今では人気の演目になったのでしょう?」

「ええ」

 レイファが微笑む。


「数年ごとに、優れた舞台監督と脚本家のもと、幾度も上演されて来ていますから。

 私は、良いものは見た瞬間に良いと分かるものだ、が持論なんですけれど。

 全ての人がその優れた直感と感性を持ってるわけではないのかもしれません。

 いいものでも、少し時を重ねなければ認められない……そんな不条理も世にはあるのでしょうね」


「私も気ままな当主なので、シャルタナ家の絵自体は折角なのだから色んな人に見て貰いたいと、教会や美術館にも貸し出したりはしているのですが、何となく王立劇場には絵を貸さないままになってきてしまって」

「では今回は特別な理由が?」

 アデライードが小首を傾げると、ドラクマは朗らかに笑った。

「貴方がたがシャルタナ邸に来て下さったおかげかもしれませんね」

「え?」

「お二人のように若い方もとても熱心にシャルタナ家の絵を鑑賞して下さったから。折角素晴らしい絵なのですから、多くの方に見て貰った方が嬉しい気持ちになると改めて気付いたのですよ。若い方の喜びに触れると、こちらまで嬉しくなりますね。いいものだ」


「今回も貸し出しは行わないつもりでしたのに、お二人がいらした数日後、ポンと兄が王立劇場に絵を貸したので、驚きました。でも私も、今更お祖父様の恨みなど古くさい考え方だと思いましたわ。

 初演で大不評だった【ネフェルタリ】は、二十年近く、長く王立劇場に掛けることを許されませんでしたの。再びこの地に戻った時、舞台監督をしたのは、初演監督の孫だったんですのよ。

 彼は祖父の才能と、舞台の素晴らしさを幼い頃から見て、憧れて育ってきたのだとか。

 素晴らしいのに否定されて、きっととても悔しかったのでしょう。

 いつか自分が【ネフェルタリ】を王立劇場に再び掛ける、と願って最初は小さな劇場から公演を始めたのです。少しずつ規模の大きな劇場に移していき、ヴェネツィアの城下町で人気が出始めた」


「ではそれで……?」

「ええ。最終的には王立劇場からこの方に依頼が行き、正式に二度目の公演が行われたのです。普段王立劇場は貴族達の方が多いですけど、この時は舞台を見たいと市民が詰めかけて、今は禁止されていますけれど、当時は回廊が立ち見の客で溢れるほどだったとか。

そして素晴らしい公演がなされ、王立劇場では人気の演目になっていったのですよ」

「そんな素敵な逸話があったのですね」

 アデライードは目を輝かせる。

「この方は祖父の無念を晴らした形になりましたけれど、兄は誇り高いお祖父様の恨みを解きましたわね」

 ドラクマは「ただ素晴らしい絵はたくさんの人に見て貰いたいと思っただけさ」と軽く笑っている。

「始まるようですわ」

 ワインを四つのグラスに注ぎ、レイファは優雅に椅子に腰掛けた。

 音楽が鳴り始め、幕が上がる……。

 華やかな異国の王宮の風景。

 眺めながら、ネーリは祖父の無念を晴らしたというその直前の話のことを考えていた。


『祖父の舞台の素晴らしさを信じていた』


 誰が否定しても。

 きっと、再び煌びやかな王立劇場に戻ったこの舞台を、初演で否定されたというその監督は喜んでいるに違いないと思う。こんなにヴェネツィアの市民にも、貴族達にも愛される演目になった。


(……おじいちゃん)


 笑った顔しか思い出せない。

 船の上では時々、一人で舳先の方に、立っていることがあった。

 誰かが、ユリウス様がああやってあそこに立っている時は深い考え事をしている、そうしたいと思っている時なので、誰も近づかないようにしているのだと教えて貰った。

 ネーリも最初の頃は、そこにユリウスが立っている時は遊んで貰うのをあとにしていたけれど、ある時どうしても、聞きたくなった。小さな足音で近寄っていって、怒られるかも知れないけど、と祖父の顔を見上げてみた。


『おじーちゃん、そこから何を見てるの?』


 祖父は怒らなかった。

 寄ってきたネーリに気付き、大きな手で頭を撫でてくれた。

『海の先だ』

『海の先って楽しい?』

 祖父が声を出して笑った。

『楽しいな。海の先を見つめていると、色んなものが見えてくるんだ』

 ネーリは小首を傾げた。

『新しい土地、射し込む太陽の一番美しい瞬間……自分自身の心も』

 幼い頃は少し、難しかった。

 理解出来なかったけど、ネーリは祖父の死後ヴェネトを放浪し、やがて干潟の家に辿り着くと、よくそこから海を眺めた。

 自分の心が見えてくると言っていた祖父の気持ちが、少し分かったような気がした。

 ネーリも海を見て、

 美しいヴェネトの海、

 その青い海原に優しく浮かぶヴェネツィア、

 まだ、眠ったままだった【シビュラの塔】を眺め続けて、少しずつ壊れていくこの国のために何かをしたいと思うようになった。


(何人も、この手で命を奪ってきた)


 それは目の前で女性や年寄り、弱い者を囲んで暴行しているような相手だったけど、

 でもそれでもそういう人達でもヴェネトの「こども」の一人だ。

 ユリウス・ガンディノは在位五十年の偉大な王だ。

 ヴェネツィアだけではなく、ヴェネト全土に彼の威光は行き届いている。

 彼がおり、その傍らを守る【有翼旅団ゆうよくりょだん】が街に現れれば、悪い犯罪など起こそうとする者はいなかった。彼らは殺さずとも、悪を封じ込められたのだ。


(でも僕にはその力は無い……。

 彼らを説得できるような言葉も持たない)


 だから、命を奪うことでしか、彼らの悪行を止められなかった。

(おじいちゃんなら、もっと別のことが出来た。

 今おじいちゃんに会うことが出来たら、人の命を奪うようになった僕の姿を見て、がっかりして悲しむかな……)

 ラファエルは、ユリウスはネーリに玉座を譲る意志があったと確信があるようだが、ネーリ自身は彼ほど、自分を信じれなかった。


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