第19話 避難所に侵入
(ふう、今回も無事進化できたようだね)
うん、予想通り攻撃力や敏捷は下がってしまった。魔法防御力は大きく上がったけど、全体的には弱くなってしまった。けど、狙っていたスキルがゲットできたのは大きい。聖魔法はヒールを使えるし、結界魔法も覚えることができた。これでパーティーの防御力は大幅に上がったはずだ。
攻撃に関しては、普段はまるとルナに任せることにしよう。二人ともレベルが上がって強くなってきたから、今じゃ頼もしい仲間だ。
ステータスの確認が終わったので、ごそごそと家から這い出る。
「なんか白っぽく光ってるわん!? 神々しいわん!」
「今回はあまりお姿はかわらなかったのですにゃ。もしかして、上位種族に進化したのかにゃ?」
おっと、白っぽく光ってるのか。それはわかっていなかったな。暗いところだと目立ちそうだから、引っ込められるか試してみよう。
「あっ、光が消えたわん!?」
うん、普通にできた。よかったよかった。
〈ルナの言う通り、上位種に進化することができたよ。聖魔法と結界魔法を覚えたから、治療と防御は任せて欲しい。その代わり、攻撃力が下がったから、そこは二人にフォローして欲しいな〉
進化の結果を二人に報告し、今後の作戦も伝えておく。
「期待されてるわん! オイラも強くなったから任せるわん!」
「素晴らしい進化ですにゃ。わたしも期待に応えられるように頑張りますにゃ」
うんうん、身体も少し縮んだようでオニヤンマより一回り大きいくらいになっている。さすがに人々の目の前を飛んでいたら目を惹いてしまうだろうけど、上空を飛んでる分にはあまり気にならなさそうだ。
僕は再び空へと飛び上がり、二人を先導するように飛びながら幕張
軽快に走る二人を眼下に収めながら探知を使う。すると前方にネズミ型の
〈前方に
呪いにという単語に嫌な予感を覚え、警戒するように促すがルナはネズミ型の
「わたしに任せるにゃん!」
獲物を求めて猛然とダッシュするルナ。その後をこれまた楽しそうに追いかけるまる。大丈夫だろうか? 呪いの恐ろしさを理解しているのだろうか?
一抹の不安を抱きながら、上空を滑るように移動する僕。まだ状態異常回復魔法は覚えてないから呪いは少々不安だけど、経験値を稼ぐという意味ではこの獲物を逃すわけにはいかないな
呪いに対する不安はあっても、レベルを上げないわけにはいかない。最大限の注意を払いつつ、僕はルナとまるを追いかけた。
〈いたわ! わたしは左! 呪われる前に一気にいくにゃ!〉
〈右は任せるわん!〉
先頭を行くルナがカースマウスを見つけたようだ。声でバレないように、僕を通して念話使うあたりセンスを感じる。
即座に担当が決まり、それぞれ魔法を準備する。なんか、熟練のパーティーみたいでかっこいいね!
「ダークアローだにゃ!」
「ストーンバレットだわん!」
二人が放った魔法が、未だこちらの接近に気づいていないカースマウスに襲いかかる。
「キキィ!」
二匹のネズミが同時に魔法に気がついたようだが、時すでに遅し。回避する間もなく、二種類の魔法が突き刺さった。狙い通り、呪いを使う暇すら与えない素晴らしい戦闘だった。
〈今はたまたま上手くいったけど、もっと慎重にならないとダメだよ。状態異常は恐ろしいからね〉
上手くいったとはいっても、ルナにしては珍しく慎重さを欠いていた。まるが猪突猛進型だけにルナにはもっと慎重になって欲しい。一応、先輩っぽく、ネズミと聞いて反射的に動き出したルナに注意しておく。
「すいませんにゃ。次から気をつけますにゃ」
「ルナはオイラを見習うわん!」
「にゃあ?」
「ごめんなさいだわん……」
調子に乗ったまるが、ルナに睨まれるまでがワンセットとなってしまった。けど、まるのおかげで注意をしても重い雰囲気にならなかったのも事実だ。やっぱり、なんだかんだ言って二人の相性はいいのかもね。
結果的に、僕の心配をよそに二匹の
その後も時折現れる
〈さて、それじゃあ二人はルナの家族を探してみて。僕は空から探知を使って
「任せるんだわん! オイラがすぐに見つけてあげるんだわん!」
「本当にありがとうございますにゃ。それにまるも……ありがとにゃ」
「!? ルナがオイラにお礼を言ったわん!? 状態異常にかかってるのかもしれないわん!?」
うん、せっかく感謝されてるのに不用意な一言で頭を叩かれてるね。さすがまる。期待を裏切らない。
とりあえず、正面から入るのは捕まる可能性があるから、土魔法を使い外壁に階段を作って侵入することにした。僕が足場を作り、二人が上っていく。この方法だと、思ったよりも簡単に
こうしてみると土魔法を使える
僕は外壁から中の建物へと飛び移るルナとまるを見ながら、そんなことを考えていた。
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