誕生日

レノは自分が何歳かを知らない。


スバルが言うには14歳らしいけれど、スバルは思いついたかのように時々ケーキを手に帰ってきてはロウソクを灯すから、結局いつが誕生日なのかは定かではない。


もちろんスバルが何歳かも知らない。たぶん本人も知らない。

スバルが言うには21歳らしいから、きっとスバルは大人なのだろうと思う。


でも、保護者というのとはちょっと違うなぁ、とレノは思っている。


一般的に大人であるスバルと、一般的に子供であるレノ。二人の間に保護し保護されるという感覚はない。

スバルはレノを甘やかさない。

スパルタでもないけれど、手取り足取り教えるような丁寧さはない。

必要最低限の知識と数度の実践、それ以上はすべてレノ自身が身につけてきたことだ。


もちろん服も寝るところもスバルが与えてくれるけれど、それ以外の精神的なところでは対等なのだ。

レノだって料理や掃除洗濯などの家事は一通りするし、果ては人殺しだってするのだから。


「ねえ、ケーキが食べたい」

ソファでゴロゴロしているスバルに珍しくねだってみれば、無言で頷いた。

仕事は夕方に一つだけ。ごはんはレノがあらかた準備している。

きっとスバルは今日、ケーキを手にぶら下げて帰ってくる。

だから今日はレノの誕生日で、スバルの誕生日なのだ。

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