第3話
狭いキッチンで夕食を始めた。
私は明日にどこへ向かおうかと頭の片隅で考えていた。
少ない食材だったが、ニシンの姿焼きと白米。人参の煮物。なめこ汁。寝起きの母を考慮した献立だ。
母は静かに食べ終わると、隣室へ向かった。
いつもの愛想を振りまく人当たりの良い顔とは別の顔が垣間見る。
襖越しに電話の話し声が聞こえる。
どうやら、学校に母が連絡をしているのだろう。
進路が決まっていて、勉強も必要もない私には学校は無意味で苦痛だった。それでも、母の強い要望で学校は辞めず終いになってしまった。
学校に戻る必要があるの?
それは何故?
寝室のベッドの中で、私は明日のことを考えていたが、次第に学校のことへと考えが向いていた。
居酒屋を経営するにあたって、実は調理師の資格はいらないのだ。それに、うちはお客さんがテーブルで調理するセルフクック方式なので、まったく必要はなかった。
談話しながらの調理は傍目には暖かい印象がある。と、生前の父がよく自慢していた。
確かに焼き鳥や小魚などを、お酒を飲みながら調理して、相手と打ち解けるというのは何かしら印象的である。
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