第4話
父は飲み食いの後、胃に優しいからと裏メニューとしてお粥を載せた。
風船が埋め尽くす冬空を、シマウマのポンチョと青のジーンズといった出で立ちで、外へ出た。
穏やかな北風を受けていると、いつの間にか、また学校のことを考えている自分がいた。
友達の恵や早苗が、必死に勉強している姿が頭に浮かんだ。
みんなは自由なの?
私だけ自由じゃない?
みんなは夢や希望に向かって毎日のように走っている。
私も走っているんだ。
でも、どこへ?
そんなことを考えていると、家の方に一個の風船が落ちてきた。
黄金色の風船。
私はふと、田舎道を家へと戻った。
息切れするほど、必死に走っていた。
父が多額の借金をしてまで購入した居酒屋には、小さい二人用のベンチがある。
かなり酔ったお客が、夜風を受けるためさ。と、父が言っていた。
そこへ黄金色の風船が落ちていた。
店の前に来た車椅子の男の子がベンチの上の風船を手に取っていた。
背は私と同じで、だいぶ痩せていて、綺麗な顔で風船を見つめていた。
「珍しいね。黄金色だ。レアものかな?」
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