第5話
ラインハルトが塔の入り口に戻る中、通路の先から話声が聞こえてきた。
(なんだ?少し様子を見るか…)
ラインハルトは物陰から様子を伺うことにした。
するとそこでは、数名の男女が一人の少女を取り囲んでいるようだった。
男女は異形の姿をしているものが多い。
彼ら彼女らはいわゆる魔族と分類される種族だ。
本来人族や亜人、魔族は相いれない関係にある。
しかし、ここ学園都市グランシャイドでは神の塔という特殊な環境が、彼らを共存させていた。
対する少女は長い耳を持ち、きれいな顔立ちをしている。
彼女はおそらくエルフと呼ばれる長命の種族だろう。
「ふーん?数人で囲むなんて恥ずかしくないの?」
「うるせえ!」
「あたしたちは挑戦権を失ったんだ!」
「こうでもしなきゃ、俺たちに入学するチャンスはねえんだよ!」
「そっかそっかー!」
「なら君たちは、ボクの敵ってことでいいんだね?」
少女の瞳が魔族たちを射抜く。
どうやら彼らはエルフの少女からゴーレム討伐の証を強奪する気のようだ。
しかし少女は強気な態度を崩さない。
(面白そうだな。少し見学していくとしよう。)
ラインハルトの興味は少女に移った。
彼女がどれほどの実力を持っているのか見たかったからだ。
「行くぞお前ら!」
「ここであたしらに会ったのが運の尽きよ!」
「死ね!」
「アハハ!そんなとろい攻撃、ボクに効くわけないじゃんか!」
少女は魔法を詠唱する。
すると彼女たちの周り一帯が霧に包まれた。
(っち、霧を出す魔法か…よく見えんな。)
「くそっ、なんだよこれ!」
「あいつはどこよ!」
「そこだぁ!…いねえ!」
「じゃあね。」
「ぐぎゃああ!」
「石!?」
「うげぇ!」
少女の声がすると同時に、魔族たちの絶叫が響き渡る。
魔族たちは何をされたのかわかっていない。
(あれは…!)
そんな中、傍観していたラインハルトだけが、少女の攻撃の正体に気が付く。
(なるほどな…あの女も、俺と同じ、というわけか…)
ラインハルトは少女の実力のほどを理解した。
そして満足げにその場を離れようとする。
「待ちなよ。」
声をかけられたラインハルトは振り向く。
少女は確かにラインハルトの方を見ていた。
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