【6.0万PV感謝】新三国志
江口たくや【新三国志連載中】
第1話 序幕
春。桃の花が、村一面に咲き誇る季節。
少年は、十五歳だった。
彼の住まう
少年の祖父は、一年の間で郡からたった二人しか選ばれない
父は、家を再興すべく努力を重ね郡吏として官に返り咲き、長く自分を支えてくれた妻とのあいだに念願の一人息子を授かった。それが少年である。
その父も、州の
少年は五歳年少の
正直、勉強はあまり得意ではない。どちらかと言えば、いつか祖父のように武芸を磨き、都の精鋭に混じって皇帝陛下のお役にたちたい。
剣術の腕も、素手での戦いも、村の仲間と一緒に磨いてきたのだ。
先生の私塾で学ぶようになって一番良かったのは、学問を修める事よりも
穏やかな陽光に照らされ、そよ風に誘われるように空を見遣ると、桃の花びらが陽差しを纏いながらきらきらと舞い踊っている。
「こら、
「申し訳ありません、聞いていませんでした!」
「全く、お前はいつものんびりしていると言うか何というか……。せっかく物覚えは良いのだから、もちっと真面目にやりなさいよ」
「あ、はい」
「では、続けよう。『
少し前にも、先生は同じ話をしていた。というより、噂を聞きつけて途中から新しく加わる者が多くいることもあって、中々講義が先に進んでくれない。それもあってか、先生の事は好きだが、先生の講義はあまり好きになれなかった。
講義が終わると、少年――
彼らの他、
「いつか俺は、天下に名を轟かせてみせる。そしたらその時は
「
「
長男ではあったが生母の身分が低く、
武芸の腕前にも秀で、才色兼備さで太守の娘を射止めるや、当の父親の心をもがっちり掴んで、盧植だけでなく大学者
時は、漢皇帝
そして、日々は流れゆく。
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