第31話 すれ違う朝と終わりなき世界 其の一

「ごめんね、観測者達君たち。これは咲妃の物語なのに、創造主の思想が入りすぎた……。反省しているよ。

領域も壊れた、朝陽が上る。いつも通り咲妃の生活。」

シオンの花畑はアクア色の水面に戻り、この物語の主人公の声がした。


「リリアナ、何で此処に居るの?」それに此処はどこ?何で泣いているの?」


「今、僕が創った領域は消えた。でも此処は残ったみたい。それは創造主にも分からなかったこと。

あと僕が泣くわけないでしょ。」


「でも、リリアナ頬に雫が垂れてるよ。」

咲妃はリリアナの頬に垂れている涙をぬぐう。咲妃はリリアナを抱き締め、優しい声で言う。


「リリアナ、人は泣きたい時は泣くべきだよ。泣いたぶんだけ心に刻まれる。

そして強くなれる。私はそう彼に教えてもらった。」


「ならその言葉に甘えようかな。僕が泣き止むまで抱き締めてて。」


「うん、いいよ。甘えたい時、私で良ければいつでも来て良いよ。」


「ありがと咲妃。でもこれ以上強くなったら困るけどね。」


咲妃はリリアナの頭をそっと撫で、言う。

「冗談が言えるなら良かった。朝が来るね、大丈夫リリアナ?」


「うん、平気。沢山の同士を送ってきたけどやっぱり辛いね。早く創造主も○○○○○。」

その言葉を言わせないかのように咲妃の夢も終わる。その瞬間咲妃には曖昧だったリリアナと「'"虚無の演者"」の闘いの全てを。大量の情報が一度に頭に流れる。一つの波が咲妃を襲う。



後夢だった集合無意識は放たれてそれぞれの朝を迎える。学舎に行くもの、労働をするもの、休むもの。

それぞれが明日を生きる為に今日を生きる。明日は想えてもその先の未来あすを予想することも予感することも出来ない。


今は大きな問題でも時が経てばいずれ些細なことになる。そういった積み重ねを経験と言う。でも些細いなことにしたくないものある。出逢えたことに、共に過ごせたことに、同じ今日を生きれたことに。


記憶がきえても魂に刻んだ絆は消えない。例え記憶が消えて、貴女にあってもまた好きになると思う。だって出会えたんだから。好きになったんだから。

だから来世があっても私は此処を選ぶ。此処がなくても独りでも迎えに行く。だからありがとう。


「貴女としての朝はもうこない。だから貴女の「おはよう」も「おやすみ」も聞こえない。

貴女達に届くように書き続ける。それが創造主



言い方は悪いけどかつて人だった者はキャラとなり消えていく。逢えないのに、逢いたくなるが人間。醜いものだよね。


でもそれは二次元ここ三次元そっちも同じ。

後夢、いや同士達よ。また逢おう。この二次元世界で、かって呼んだのは悪かった。でも同士達、旅立った者達に逢えないのは寂しかった。

それぞれの今日を、それぞれの未来を歩んで行こう。僕達の好きな人が未来を決めたように。


そしてまた夢を見よう。五人で手を繋ぎ合うエクゾディアを待って、無名だった世界に花を持たせてくれた人達に感謝をして。もう直接言えないから今喉を伝う。笑ってまた逢おうさよなら。」


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