第15話 夢喰らう"愚者"と記憶 其の五 『四季編α』Ⅰ

咲妃が学校に行っている頃、禁書庫の会話。


「やぁ、観測者君たち。今回はとある人物とこの"世界の過去"を少し話そう。そうそうこの前学校でメタイ話をした咲妃を叱っておくよ。これから少し長くなる、だから忘れないでね咲妃達のこと。僕は少しでも多くの人に見てもらい生きた証を創りたいんだ。」



リリアナの元にとある人物がやって来た。名は"四季"。今は白髪で身長はさほど大きくなくやや細めの見た目をしている。

咲妃の祖先にあたる人、何故そんな人が生きているのか。それはこの家の初まり人間だからだ。ごく普通の家系に産まれ、人と変わらぬ生活をしていた時一人の"魔女"に出逢った。



"魔女"の名はそうリリアナ。リリアナは逸材を探し廻っていた。何百年とかけてそしてとある街中で"四季"という人間を見つけこう言った。


「戦争は嫌い?、人が死ぬのは嫌い? 周囲の人間が不幸になったらお前はどうする? 無駄な争いを僕と終らせてみない?」と。


「お前は何を言っているんだ?、初対面だぞ。流石にヤバいだろ。」


「まあ、そう言わずに、僕の名はリリアナだよ。自己紹介は以上!、レディーに年齢は聞かないでくれよ。」


「いや何でもいいよ。俺急いでるから。」


「もう、適当でも良いから言って!。折角見つけたのに。これじゃあ僕の時間が無駄になるじゃないか。」


「はいはい、言えば良いんだろ。俺は周囲の大切な人達が幸せならそれで良いだけだ。戦争なんて興味ねぇよ。」


「なるほど、この戦争が絶えない時代に。ならもし、戦争が消えて大切な人が守れたら?」


「何だそれ?、理想郷にはさっきも言ったが興味ねぇよ。」


「君は、望むかい? 自分が不幸になっても周囲の大切な人達が幸せなら願うかい?」


「もし、本当に俺だけ不幸でも皆が幸せなら望むよ。」


「君は目的の為ならなんでもやる人だよね。罪を犯してでもやるかい?」


「別に良いぜ、俺は数えきれないほどの罪を犯してきたからな。今更変わらねぇよ。」


「分かった、"契約"をしよう。君の望みを叶えるから。」


「契約だと?」


「そう、この手を取るだけ完了する。君はとある仕事をするだけで良い。その期限は永遠だね。それか僕と君どちらかが死ぬまで。」

リリアナの手を握る四季。すると大気が揺れ、大地が揺れる。リリアナが立っている地面から大きな魔方陣が形成された。


「なんかの魔法なのか?、おい建物が壊れ始めているぞ。何故お前はこの状況で笑っている!?」


「何故かって、それは今"世界"が創られているからだよ。素晴らしいと思わない?」揺れがおさまり四季やその場に居た人達は皆気を失った。


暫くして目を覚ます四季、それを見てリリアナは言う。


「目が覚めたかい?、この"世界"は戦争がない世界。だけど「"異変"」がある。これは様々なものがあるんだ。例えば「"怨念"」人々の憎しみが溜まり、まず「"悪魂"」になるんだ。それが動物とかに憑依して理から外れて暴れ始める。

「"怨念"」化した動物は死ぬまで暴れ続けて、人を食らうようになる。これが大きくなってしまうと街や国が滅ぶ恐れがあると。これが一つ、質問はある?」


「いや、ない続けてくれ。」


「そして二つ目「"怨念"」を操る元凶「"虚無の演者"」、こいつは言葉が通じる。けど言葉で人を欺き、「"怨念"」を使い人を殺す存在だ。」



「で、それにどうやって対処するんだ?」


「「"異能"」、さっき言った奴らを倒す手段。君はそうだね、"時"は操る「時空」だ。シンプルかつ最強、君は剣の腕、銃の腕はそこらの殺し屋より強い。だから君にはスキルはいらないね。」


「確かに俺は剣の腕とかはあるがその「時空」は何ができるんだ?」


「未来視と過去に戻る能力だよ。戦闘の時だけ少し先の未来が見える。過去は自分の体、物は過去に戻せるけど他者はできないから気をつけて、それぞれデメリットはあるけどたいしたことはないよ。あと僕には能力効かないから変なことしないでね。」


「確かに最強の能力だ。でも発動はどうやってするんだ?、やり方なんて知らねぇぞ俺。」と手をグーパー握りながら言う四季にリリアナは苦笑しながら言う。


「それは僕自身も知らないよ。君に付与した時点で僕のじゃないんだ、臨機応変に頼むよ。それとこの"世界"は僕と君の世界だ。拠点けん、家は用意したあるから着いてきて。」


「お前と俺の"世界"?」


「そうだよ、ここは戦争無き世界。現実と少しだけ違う、だけでほとんど一緒だから君の大切な人だって居る。」


「それはあいつのことか?」


「そう、でも君の周囲の人も「"異変"」に巻き込まれる可能性もあるし、危険に巻き込まれるかもだから気をつけてね。」


「そんなもん、いつものことだ。それで拠点ってどこだ?」


「それじゃ着いてきて。」


「その前に俺はあいつに会いに行きたい、良いか?」


「うん、良いよ。行ってらっしゃい。この場所で待ってるよ。」


「分かった、サンキュ。」四季はリリアナと別れ、森に向かった。川の水が流れ、草達が風に揺られ一人の美しい銀髪が風になびく。そして四季はその人に声をかけるのだった。



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