第41話 跳躍力

「切り替え! 切り替え!」

失点直後、伊藤先輩がチームを励ます。



 ピー

神龍高校ボールで試合が再開する。


蒼天男子高校はフィジカル勝負に持ち込み、神龍高校が押される。



蒼天男子高校ボール。

⑥月島がボールを持っている。

ビルドアップのシーン。


 ボン

⑥月島が相手の⑨フォワードにロングボールを蹴る。

松田先輩がヘディングで跳ね返しにいく。


松田先輩と⑨フォワードが競り合いになる。

お互いに体をぶつける。

松田先輩がフィジカルで押される。


 ポン

⑨フォワードがヘディングに競り勝ち、ボールを前に送る。

 

 ボン

前に送られたボールは、デ・ヨングがクリアする。



松田先輩が⑨フォワードの顔を見る。

「(こいつ、ハーフだったのか。)」

⑨フォワードの名前は村井フェリックス。

父が日本人で母がウクライナ人。

2年生。 身長は185cm

サッカーを始めたのは高校生からだ。


月島が村井を見る。

「(1年生のときは下手くそだったけど、すげぇスピードで成長したな。

フィジカルはチーム内でも群を抜いてるし、まだ2年生と考えると、どこまで成長するか楽しみだ。」

月島は自慢げに村井を見た。



その後も、神龍高校は蒼天男子高校のフィジカルに押され続ける。



「セカンド!」

キーパーの安室先輩はコーチングをし続ける。

「(それにしてはマズイな。

うちらは今だシュートがない。

体格差でも完全に負けてる。

ここで耐え切らなけきゃ。)」



蒼天男子高校ボール。

⑥月島がボールを持っている。

位置はセンターサークル辺り。

 

⑨村井が裏を狙う。

デ・ヨングと味方の3年生の⑤センターバックがマークにつく。

 

 ボン

⑥月島が⑨村井にロングボールを蹴る。

 ボン

デ・ヨングがヘディングでロングボールを跳ね返す。


 

跳ね返したボールは、⑦中島に落ちる。

ボランチの渡辺先輩と日村先輩がすぐに寄せる。


 ポン

⑦中島がワンタッチで裏に浮き球を送る。

それに⑨村井が反応し、走り込む。

デ・ヨングも反応する。

味方の⑤センターバックは反応が遅れる。


「(こいつ、速い。)」

デ・ヨングが⑨村井にスピードで負ける。 

⑨村井の足は速い。

⑨村井がスピードで裏に抜ける。


⑨村井がドリブルでボールを運ぶ。

しかし、ドリブルのタッチは大きい。


安室先輩が⑨村井を見る。

「(タッチが大きい。

これなら、止めれる。)」

安室先輩が前に出るタイミングを見計らう。



⑨村井がゴールまで10mになった。


 ポッ

⑨村井がドリブルする。

タッチが大きくなる。


「(今だ!)」

安室先輩が前に飛び出す。

「(ヤバっ。)」

⑨村井が焦る。


 ドン

⑨村井が焦ってシュートを打つ。


 バーン


しかし、安室先輩がシュートを体に当ててゴールを防ぐ。



その後は、蒼天男子高校のスタミナが落ちたのか神龍高校がボールを持つ時間が増える。



神龍高校ボール。 

右サイドハーフの佐藤がボールを持っている。

位置はアタッキングサードの右サイド。

蒼天男子高校は守備ブロックを作っている。


右サイドバックの伊藤先輩が後方からサポート。

フォワードの大宮先輩が横でサポート。

佐藤と伊藤先輩と大宮先輩でトライアングルを作る。


 ポン

佐藤が大宮先輩にパス。

大宮先輩に相手の⑲ボランチが後ろから寄せる。


 シュ

大宮先輩が前にボールをドリブルし、⑲ボランチを抜く。

しかし、

「ヤバっ。」

大宮先輩が焦る。

相手の⑳センターバックが大宮先輩に奪いにいっていた。

相手の⑳センターバックが大宮先輩に寄せる。


 バーン

大宮先輩が相手の⑳センターバックにボールを奪われる。

しかし、蒼天男子高校は守備ブロックを作っていたため前にパスコースがいない。



⑳センターバックがボールを運ぶ。

「切り替えろ!!!」

キーパーの安室先輩が鬼のような形相でコーチングをかける。


伊藤先輩とボランチの渡辺先輩が前からボールを奪いにいく。

「(前から来てる。)」


 シュ

⑳センターバックが足裏でボールを後ろに運ぶ。

後ろを向いた瞬間、


 バーン

⑳センターバックから大宮先輩がボールを奪う。

「(コイツ。

さっき、奪ったはずだろ)」

大宮先輩は奪われた瞬間、すぐに切り替えていた。



 ポン

すぐに大宮先輩が佐藤にパスを送る。

佐藤はワンタッチで、右足でクロスを蹴ろうとする。

キックフォームに入る。


 ズー

相手の②左サイドバックがスライディングでクロスをブロックしようとする。


 ポッ

スライディングした瞬間、佐藤が右足でボールを切り返す。

左足に持ち替える。

 

 ボン

佐藤はレフティだ。

佐藤が左足でゴール前にクロスを蹴る。

ペナルティエリア内には、春日先輩と小泉先輩がいる。

相手は、⑥月島と④右サイドバックがいる。


クロスの質は完璧だ。

クロスの軌道は春日先輩にいく。

「高っ。」

⑥月島の頭上を越えるクロス。

⑥月島の頭上を越えた先には、春日先輩。



「(越えた。

春日先輩に届く。)」

佐藤も納得するほどの完璧なクロス。

「完璧。」

ベンチにいる幕井も思わず声が出る。

佐藤以外の選手も完璧と思ったクロス。



 ピョーン

⑥月島がジャンプをして、空中に浮く。

「(俺が相手で分が悪いな。

いいクロスだったのに。)」


 ボン

⑥月島がヘディングでクロスを跳ね返す。

⑥月島のありえない跳躍力だった。


「なっ、高すぎだろ。」

佐藤が驚愕するほどのジャンプ力。


幕井が⑥月島を見る。

「これが、フィジカル集団のキャプテン。

月島秀次。

いくらなんでも、跳びすぎでしょ。」



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