第40話 蒼天男子高校
15時30分。
神龍高校ボールで試合が始まった。
安室先輩は試合開始からコーチングをかけ続ける。
蒼天男子高校はフィジカルサッカーを得意としている。
相手のキーパーは、ほとんどロングボールを蹴る。
蒼天男子高校ボール。
試合は序盤。
相手の⑥センターバックが持っている。
⑥センターバックは月島秀次。
⑥月島は蒼天男子高校のキャプテン。
3年生だ。
ポン
⑥月島がバイタルエリアに縦パスを出す。
ピタッ
ボールを受けたのは1年生の⑦中島。
⑦中島はトップ下のポジションだ。
蒼天男子高校のフォーメーションは4-2-3-1
⑦中島が前を向く。
ゴールまで30m
相手の⑨フォワードが裏に走る。
ポン
⑦中島が⑨フォワードにスルーパスを出す。
⑨フォワードが裏に抜けたと思ったが、
ズー
デ・ヨングがスライディングでボールをサイドにかき出す。
サイドに流れたボールは相手の⑪左サイドハーフ
に渡る。
伊藤先輩がすぐに寄せる。
⑪左サイドハーフがアタッキングサードでボールを持っている。
⑪左サイドハーフがボールを持って時間を作る。
味方の上がりを待つ。
相手の②左サイドバックがインナーラップをする。
佐藤がマークにつく。
ポン
⑪左サイドハーフが②左サイドバックにスルーパスを出す。
ポケットの位置。
ペナルティエリア内。
②左サイドバックがクロスの体勢に入る。
佐藤がクロスをブロックしようと前に出る。
シュ
②左サイドバックが右にボールを切り返す。
佐藤が思わず左足を出す。
バーン
佐藤の左足が②左サイドバックの足に引っかかる。
②左サイドバックがペナルティエリア内で倒れる。
ピー
審判が笛を吹く。
審判がPKスポットを指さす。
PKだ。
佐藤はヘコむ。
「(序盤なのに。)」
安室先輩が佐藤に駆け寄る。
「大丈夫。
俺が止めるから。」
安室先輩が佐藤を励ます。
PKキッカーは⑦中島昴。
キーパーは安室先輩。
安室先輩は集中する。
蒼天男子高校のキャプテンの⑥月島は最終ラインからPKの様子を見ている。
⑦中島昴は過去の事を思い出す。
〜中島昴が入部した頃〜
「中島!
上で練習するぞ。」
監督の一言で中島は、Aチームへの参加が決まった。
「(まじかよ。
なんで上でやんなきゃいけないんだよ。
年上の人ばっかじゃん。)」
中島は心の中で愚痴を言う。
中島は人見知りで無愛想だ。
中島は小さい歩幅で、少しずつAチームの練習に向かう。
Aチームの選手達が見えてくる。
「(うわっ!
体デカ。
身長高っ。
目つき怖。
もう嫌だよ。)」
中島はAチームへの練習参加が嫌になる。
監督が中島を紹介する。
「この子、今日練習に混ぜるから。
ほら、自己紹介して。」
監督が中島に自己紹介を要求する。
中島は小さく口を開く。
「1年生です。
中島昴っていいます。」
中島は小さな声で早口でしゃべる。
シーン
Aチームの選手達が静かになる。
「(めっちゃ静かじゃん。
もう、嫌だよ。
なんか変な事言った?)」
中島はまた、心の中で愚痴を言う。
「ウェーイ!
よろしく中島!」
キャプテンの月島先輩がこの空気を壊す。
『よろしく!』
他の選手達も挨拶をする。
中島はこんなに明るく返されると思っていなかった。
中島は驚きのあまり口を開く。
「(なんでこんな明るいの?)」
ゲーム形式の練習になった。
ルールは11対11のフルコート。
チームはランダムで決めた。
中島はキャプテンの月島と同じチームになった。
ピー
ゲームが始まった。
中島は巧みな左足の技術で、上の学年の先輩達を翻弄する。
ボールは取られない、キックの精度も高い。
「すげぇ。」
それを見ていた月島は思わず言葉を発する。
その後も、中島は左足で華麗に翻弄する。
月島は納得する。
「(うちらには、いないタイプだな。
俺たちはフィジカルを武器にするチームだから。
中島みたいな技巧派はなかなかいない。
それも、あの技術力はそこらの選手のクオリティじゃない。
そりゃぁ、Aチームに参加するわけだな。)」
中島の活躍もあり、月島と中島のチームが勝利した。
「すげぇな、おまえ。」
中島の周りに先輩達が寄る。
中島を先輩達が褒める。
中島は少し照れる。
月島が中島に話しかける。
「中島、おまえすげぇよ。
おまえの能力があれば、全国にいける。」
「ありがとうございます。」
「これからよろしくな。」
月島は中島に手を出す。
「1つ質問していいですか?」
中島は月島に質問しようとする。
「なに?」
「なんで、年下の俺にこんな優しくしてくれるんですか。」
中島は質問する。
「別に、勝負の世界に年上とか年下とか関係なくない?
それに、俺にとっては優しくしようなんて思ってないぞ。
先輩なら、チームがやりやすい雰囲気を作るのは当然だと思うぞ。」
月島は当たり前のように答えた。
「質問に答えてくれてありがとうございました。」
中島は手を出す。
中島と月島で握手をした。
現在。
「(たくさんお世話になったな。
活躍しなきゃ。
でも、
なんでPK蹴んなきゃいけないんだよ。
よりによって、相手のキーパー3年生だし、もう無理だよ。
前の国体で、PK外してんだよなぁ。)」
⑦中島は愚痴を心の中で言う。
弱気な表情が顔に出る。
「(あの7番。
表情が弱気だ。
でも関係ない。
止める!)」
安室先輩は油断しない。
ピー
審判が笛を吹く。
PKのキックの合図。
中島が助走をとる。
中島はずっとボールを見る。
他は見ない。
中島がボールに走る。
シュートフォームに入る。
ドーーン
左足で右側にボールを思いっきり蹴り込む。
「(読んだ。)」
安室先輩もボールの軌道と同じ右側に跳ぶ。
ゴール
安室先輩は読んだが、中島のシュートスピードは速く、ボールに触れられなかった。
『しゃー!!』
蒼天男子高校の選手達が中島に集まる。
中島を褒める。
パチパチ
最終ラインで見ていた月島が拍手で、中島を褒める。
月島は中島の方を見る。
「(中島は、ボールを蹴ってるときだけは他の事を気にしなくなる。
サッカーにだけ集中する。
超集中型の人間だ。)」
蒼天男子高校の先制。
1-0で神龍高校が追いかける展開となった。
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