第15話 0トップ

アトレティコマドリードとは、スペインのプロサッカー1部リーグ、ラ・リーガに所属しているチーム。

ラ・リーガには、レアル・マドリードやバルセロナも所属している。

アトレティコマドリードは失点が少ない、守備が売りのチーム。



試合終了。

試合は0-1で城壁高校が勝った。


「結局、最後までシュートは0本に抑えたな。」

千葉は城壁高校の守備に驚愕する。


「こんなレベルの高い試合を2部でできるんだ。」

幕井は驚きと同時に、3年生時に、このリーグで戦える可能性があることに喜んでいた。


試合が終わった後、千葉と幕井は加藤家に車で寮まで送ってもらった。

『送ってくれてありがとうございました。』


就寝前。幕井の部屋。

「今日は濃い1日だったなー。

ボランチの立ち方。

プリンスリーグのレベルの高さ。

同世代には2人も試合に出てるのか。

明日は春季大会だし、先輩のプレーをしっかり見て参考にしよ。」

幕井は心に留めて就寝した。


次の日。12時30分。

春季大会当日。

場所はJ-GREEN堺。


「あー疲れた。」

春季大会のメンバー外は、午前に練習をしていた。


「昨日、練習試合だったのにめちゃくちゃハードな練習内容だった。」

全員、疲労困憊のなか、春季大会を見に来たのだ。


全員が観客席に着くと、

「あっ 先輩。」

誰かと思って振り向くと、中学3年生が3人いた。

「おー 伊東たち。」

中入生達がびっくりする。

「来てたのか。」

「はい。」


「ごめん誰?」

幕井が朝日に質問する。

「そっか、知らなかったか。

こいつらは神龍中学のサッカー部だよ。」 

神龍中学と神龍高校は中高一貫校のため、同じ学校である。


「てことは、朝日達、中入生は去年までこの子達の先輩だったってこと?」

「まぁそうなるね。」


すると、中学3年生の1人が口を開く。

「神龍中学3年生の伊東智です。

ポジションはキーパーです。」

身長は178cmくらいはある。


隣の中学3年生も、口を開く。

「神龍中学3年生の相葉優太です。

ポジションはセンターバックで、

中学サッカー部のキャプテンやってます。」

優しそうな顔をしている。


同じく、隣の中学3年生も口を開く。

「神龍中学3年生の守屋海斗です。

ポジションは右サイドバックです。

お願いします。」

キラキラした大きな目をしている。


「全員、高校は神龍高校に入る予定なので、もう少ししたら皆さんの後輩になると思うので、その時はお願いします。」

丁寧に相葉が喋ってくれた。

流石はキャプテンだ。


「よろしく。」

千葉、森田、田中、幕井、小野寺、木村、八木、仙道たち、高入生があいさつをする。


「安達さん。」

守屋が田中に喋る。

「どうした?」


「七沢さんはユースで元気なんですか?

学校でも、全然会わないんですよ。」

守屋が質問すると、


安達たち、中入生の表情が一変。

おぞましい顔をする。

また、古川はどこか、ツライ顔をしていた。


「ごめん。

最近、俺達もあんま会わないんだよ。」

安達が答えた。

「そうですか。」


幕井はびっくりしていた。

「あいつらが、あんな怖い顔をするなんて、七沢って誰のこと?」

幕井は七沢のことが気になって仕方がなかった。


 ピー

すると、試合が始まろうとしていた。

ベンチには選手9人。

監督の山崎先生、キーパーコーチの佐久間先生、そして松長先生。


両チームのスタメンの選手がピッチへ足を踏み入れる。


「あっ、デ・ヨングと佐藤、スタメンだ。」

19番と20番を着た選手が、ピッチへ足を踏み入れている。

デ・ヨングのポジションは左センターバック。

佐藤のポジションは右サイドハーフ。

 

「すげぇ 1年生でスタメンかよ。」

キーパーの八木が驚く。


神龍高校のキャプテンは、幕井たちと同じ寮生の短髪の3年生、安室陸先輩。

ポジションはゴールキーパー。

背番号は1番。


「あっ、2年生の人たちもスタメンだよ。」

小野寺が2年生のスタメンを見つける。


2年生のスタメンは6人。


幕井たちと同じ、寮生の渡辺直人。

身長188cm。

背番号は3番。

背番号と身長の高さから、センターバックと思うかもしれないが、ポジションはボランチ。


同じく寮生の大宮涼。

癖毛で目が一重。

背番号は11番。

ポジションはフォワード。


松田来斗

色白で体はかなりデカイ。

背番号は7番。

ポジションは右サイドバック。


日村望

肌は黒く、坊主。

背番号8番。

ポジションはボランチ。


春日洋之助

髪は7対3で分けている。

背番号18番。

ポジションはフォワード。


小泉海里

身長170cmくらいで体はかなり細い。

背番号6番。

本来のポジションはボランチだが、今日は左サイドハーフで出ている。


「ていうことは、3年生のスタメンは3人、2年生6人、1年生2人のスタメンの組み合わせってこと。」

田中は2年生のスタメンの多さにびっくりした。


「一応、説明しとくけど、松田さん、日村さん、春日さん、小泉さんの4人は中学時代は神龍中学ね。

俺たち中入生にとっては中学時代からの先輩。」

加藤が説明してくれた。


「あと、松田さんは本来のポジションは右サイドハーフね。

伊藤先輩が怪我しちゃって、代わりに今、右サイドバックをしてる。」

朝日が説明してくれた。

「だからディフェンダーなのに、背番号が7番なのか。」

仙道が納得した。



試合が始まる。

神龍高校のフォメーションは4-4-2

相手の高校のフォーメーションも4-4-2

試合は70分。前半、後半はそれぞれ35分。

神龍高校のボールでキックオフ。


13分経過。

試合が動く。

神龍高校のビルドアップ。

左センターバックのデ・ヨングがボールを持っている。


左サイドハーフの小泉が、中に入る。

小泉先輩が首を振る。 

デ・ヨングが小泉先輩に縦パス。

パスが通る。

トラップし、前を向くと

アウトサイドで、ボールを蹴れる位置に置き、ロングボールを蹴る。


蹴った方向は右サイドの裏。

右サイドハーフ、1年生の佐藤が走っていた。

佐藤にパスが通る。

佐藤はボールを持ち、ドリブルで中に侵入する。

スピードで、相手の⑤左サイドバックを置き去りにする。


ゴールまで20m、佐藤は中央でボールを持っている。


すると、

2年生のフォワードの大宮が、ボールを受けに落ちにいく。

相手の⑳センターバックが大宮先輩に食いつく。

「俺の裏に出せ。」

大宮先輩が、裏のスペースを指さす。


佐藤は、大宮先輩の裏のスペースに浮き球を出す。

そこに走り込んでいたのは、2年生のボランチの日村。


ゴールまで13m。


ドーン

 

 ゴール


日村先輩が佐藤の浮き球をボレーで合わせ、ゴールに蹴り込んだ。



「すげー キレイに抜け出した。」

千葉が叫ぶ

試合を見ている幕井達のテンションが上がる。

「でも、なんでこんなきれいに?」

八木が疑問を浮かべる。

「だって、大宮先輩は0トップだからね。」

朝日がドヤ顔で言う。

「0トップ?」

八木は疑問を浮かべる。






























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