第13話 双子の兄

「プリンスリーグ?

なにそれ?」

幕井はプリンスリーグが何か分からない。

「プリンスリーグ知らないのかよ。

とにかく高校生の試合だよ。

見に行かない?」

「じゃあ見に行く。

千葉と一緒でもいい?」

「オーケー。

じゃあ、校門で待ってて。

車で迎えに行く。」

 プチッ

加藤が電話を切った。


幕井が校門に向かうと。

「千葉ー。なんかプリンスリーグっての見に来ない? って加藤に言われたんだけど見に行く?」

「いくいく。

てか、さっき山田、走って帰ってたけどなんでか分かるか?」

千葉が幕井に問う。

「うーん。

なんか俺が変なこと言ったっぽい。」

「何、変なことって?」

「それは」


「おーい。」

加藤が車の助手席の窓から2人を呼ぶ。

「車に乗ってー。」

千葉と幕井が後部座席へ向かう。

「この話は後でな。」

千葉が幕井に言って、車に乗り込んだ。


「初めてやな。

私、亮平の母の加藤美月です。」

車の運転手は、加藤の母親だった。

「チームメイトの幕井竜二です。」 

「同じくチームメイトの千葉オルマです。」

『運転お願いします。』

2人が同時に言う。


車で試合会場に向かっていると。

「てか、プリンスリーグって何?」

幕井が加藤に質問する。

「本当に知らないのかよ。

プリンスリーグ。」


すると、加藤が説明をしてくれる。

「プリンスリーグってのは、北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州の9つのエリアに分けて行う、高校年代のサッカーリーグ。このリーグ戦は高校だけじゃなくて、Jクラブのユースも参加してる。」

「へぇ~。」

千葉が加藤の説明に関心する。

「てか、千葉。

おまえも知らなかったのかよ。」

「おん。

でも、面白そうだから来た。」


「朝日に聞いたけど、去年、神龍中学校が全国大会で負けた青森海江中学は中高一貫校だから、青森海江高校もあるわけでしょ。東北のプリンスリーグで試合してるの?」

幕井が加藤に質問する。


「いや。

青森海江高校はその上のリーグ。

プレミアリーグで試合をしてる。」

「プレミアリーグ?」

「そう、

高校年代のサッカーリーグの1部リーグ。

プレミアリーグイーストとプレミアリーグウエストの2ブロックで分けられていて、青森海江高校はプレミアリーグイーストに所属している。」

「俺たちは、どうすればプレミアリーグに所属できる?」

次は千葉が加藤に質問する。


「まず、俺たち神龍高校が所属しているリーグは大阪2部。

まず、ここから1部に昇格する。これで最低1年は、かかる。

次は、1部で1位か2位を取る。

そしたら、プリンスリーグ関西への昇格プレーオフへの出場権利が与えられる。

このプレーオフで勝ち抜けば、関西のプリンスリーグに昇格する。これも最低1年かかる。

ただ、関西と関東のプリンスリーグは、他のブロックと違ってプリンスリーグを2部制にしてる。

プリンスリーグ2部から1部に昇格に最低1年必要。

プリンスリーグ1部で良い成績を残せば、次はプレミアリーグのプレーオフへの出場権利が与えられて、そこを勝ち抜けばプリンスリーグへ昇格できる。これも、最低1年必要。

最速でも、4年は必要や。」


「何言ってるかはさっぱりだけど、とにかく長い道のりってことと、4年必要ってことだけは分かった。」

千葉は長文すぎて、かなり要約した。

「てなると、俺らが高校生のころはプレミアリーグの試合には出れないってこと。」

幕井が問う。

「まぁそうや。

俺たちが出れる可能性があるのはプリンスリーグ関西2部かな。」

それを聞くと幕井はガッカリした。


「でも、プリンスリーグの2部でもレベルはめちゃくちゃ高いよ。」

加藤は幕井に伝える。


「着いたわよ。」

長話をしていると、加藤のお母さんが試合会場へ連れていってくれていた。


「ここどこ?」

千葉が加藤に質問する。

「ここは、藤井寺商業高校。

ここで今日、プリンスリーグ関西2部の試合が行われるんだよ。」

 

『ありがとうございました。』

幕井と千葉が加藤の母に感謝する。

「いえいえ。

じゃあ、亮平。

私、車を駐車場に止めるからみんなと先に行ってて。」

「OK」


 ブーン

加藤の母が車で駐車場に向かった。


「てか、なんでプリンスリーグの試合見に行くッて決めてたの?」

幕井が加藤に問う。

「あーそれはね。

今日、この試合でやる対戦カードが藤井寺商業高校と城壁高校なんだけど、俺の双子のお兄ちゃんが城壁高校に所属してるから、今日この試合を見に行くって親と約束してたんだ。」

「まず、お兄ちゃんが城壁高校にいたことに驚いた。」

千葉が驚く。

「えっ そんな強いの城壁高校って。」

「はー 幕井知らねぇのかよ。

去年の全国高校サッカー選手権でベスト4だぞ。」

「えっ めっちゃ強いじゃん。」

「そうだよ。

その高校に加藤のお兄ちゃんがいるんだぞ。」

「すご。 

てか、試合見に行くってことはお兄ちゃん試合出るの?」

「ベンチには入ってるよ。」

加藤が平然のように答える。

「えー 1年生で強豪校のメンバー。」

幕井がかなり驚く。


「まぁ、あいつは小さい頃から別格だったから。」

加藤は少し遠くを見て言う。


藤井寺商業高校の敷地を少し歩くと、人工芝のグラウンドに着いた。

すぐに3人は観客席に座った。


すると、

『も!

もり!

もりあ!

盛り上がりが足りない!』

試合前にも関わらず、

藤井寺商業高校の応援が響き渡ったている。


「すご。」

幕井の鳥肌が立つ。


「まぁーBIG8同士の戦いだからね。」

「BIG8?」

幕井が疑問を浮かべる。

「そっか、幕井と千葉は他県から来たから分からないか。

BIG8は大阪の8つの強豪高校サッカー部のことを指してるんだよ。」

「その8つの中に藤井寺商業高校と城壁高校が含まれてるってこと?」

「そういうこと。

あっ そろそろ始まるよ。」


 ピー

審判の笛が鳴る。

すると、審判と共に両チームのスタメンがピッチに歩いて入っくる。


「あっ、俺のお兄ちゃんじゃないけど。

あの子も1年生だよ。」

加藤が城壁高校の30番の選手を指さす。


「えっ あの子も1年生?」

幕井が驚く。

「うん。」 

「同世代にこんな凄い選手達が。」

幕井は尊敬の目しかなかった。


円陣が終わり、試合が始まる。

城壁高校のボールでキックオフだ。















































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