第8話 メンバー

一週間後。

朝8時。

「フワァ〜〜〜」

「あくびすんなや、幕井。」

加藤が幕井に注意する。

「ごめん。もう朝練だね。」

幕井はあれから休まず練習に参加している。


朝練が始まる。

朝練では、基本的に〈止めて蹴る〉を練習する。基本の対面パスから鳥かご。また、やったことないような、トレーニングまで幅広い種類のトレーニングを行う。


朝練は基本、平日は全部行う。

放課後の練習は1日だけ休み。

休日は毎日部活だ。


幕井が入部した後、さらに2人が入部してきた。

田中日向

身長168cm髪はアフロ。ポジションは右サイドハーフ。

小野寺廉

身長165cmポジションはメインはトップ下でフォワードもできる。


そう、小野寺は幕井と一緒に帰ってた小学校の同級生だ。

幕井が誘うと

「入る。」

即答で返してきた。


これで1年生は16人。

2年生は10人。3年生は8人。

マネージャー2人。


幕井は、サッカー部の顧問は松長先生だけだと思っていた。

しかし、3人いた。

1人は佐久間天

身長は187cm。高いだけあってゴールキーパーコーチ。体育科の先生だ。

2人目は宮舘蓮

国語科の教師で、コーチではなく事務や営業についてやってくれる。

最後は山崎健一

佐久間先生と同じ体育科の先生。

来年で還暦を迎える。

この高校の監督だ。


そう、松長先生は1年生のコーチであって監督ではない。



朝練中

「痛ーー。」

と、信じられないくらい大きな声が聞こえてくる。

幕井は後ろを向くと、そこでは同じ寮生でイケメンの伊藤先輩が倒れていた。

3年生の方では、とりあえず鳥かごをしており、そこで激しい接触があった。

すぐに宮舘先生と一緒に保健室に向かった。


放課後。

部活終わり。

「来週の土曜日、緑田高校との練習試合するから

1年生だけで、相手も同じ1年ね。」

松長先生はそう言って今日の部活を終えた。

「やったー。 やっと練習試合や。」

安達が嬉しそうだ。

「高校で初めての対外試合やな。」

加藤も嬉しそうだ。

みんな嬉しそうだ。

もちろん。幕井も嬉しい。

「練習も楽しいけど、11対11が一番楽しいよね。」

なんなら、幕井が一番嬉しそうだった。

 

寮に帰ると。

伊藤先輩が食堂の席に座ってた。

「大丈夫ですか。」

千葉が心配そうに駆け寄る。

「大丈夫、大丈夫。来場の金曜日には治るから。」

と、言っているが、顔はかなりつらそうだ。

無理もない。来週の日曜には大阪府の春季大会の2次予選がある。

神龍高校は2次予選1回戦スタート。

理由は大阪府のサッカーリーグ2部に所属しているからである。

2部リーグ所属チームは2次予選の1回戦からスタートだ。

伊藤はスタメン。

この怪我では万全な状態では試合に挑めない。

多分、ベンチスタートだろう。

(春季大会・・・ 大阪高校サッカー春季大会)

「もしかしたら、お前らの練習試合出るかもしれないから、よろしく。」

「えっ、出るんですか?」

幕井が驚く。

「そんな驚くなよ。コンディション調整のために少しだけね。」


日が進み、一週間以上経った。

今日は金曜日だ。

伊藤先輩は復帰したが、かなり険しい顔をしている。

それはそうだ。

彼にとっては最後の春季大会だ。

ここで負けてしまっては試合にも出れずに終わってしまうかもしれない。


練習中。

 ピー

「集合。」

山崎監督が笛を吹き選手達とマネージャーを集める。

山崎監督の隣には松長先生が立っている。

「これから、明後日の春季大会の2次予選1回戦のメンバーを発表する。」

山崎監督が発表する。

3年生は伊藤先輩含めて全員呼ばれた。

2年生も10人全員呼ばれた。

春季大会のメンバーはスタメンが11人でベンチが9人。

今のところ、18人呼ばれているため2人メンバーが余っている。

「19番 涼太デ・ヨング

 20番 佐藤晴久

 以上。」

一番下の学年だからか、1年生は一番最後の数字の背番号だった。

「この2人は明日の練習試合には参加しない。

今日から春季大会期間中は2・3年生の方の練習に混ざってもらうから。」

松長先生が2人に伝えた。

「練習再開。」

と山崎監督は伝え、メンバー発表は終わった。


「すげぇじゃん、メンバー。」

「頑張れよ。」

みんながすぐに佐藤とデ・ヨングを祝福する。

「ありがとう。でも、勝たなきゃ選ばれた意味がないから。」

と、佐藤とデ・ヨングのメンバーへの覚悟は決まっていた。


「朝日は選ばれると思ってた。」

小野寺は幕井に伝える。

「俺もだよ。正直びっくり。」

だが、朝日は特に悔しい表情をせず、いつも通りだった。


次の日。

午前。

神龍高校のグラウンドで練習試合が行われる。

伊藤先輩も唯一上の学年で参加していた。

「今日のスタメンね。」

「フォーメーションは4-4-2ね

ゴールキーパー八木 センターバック木村と千葉

左サイドバック加藤 右サイドバック遠藤

ボランチ朝日と幕井

右サイドハーフ田中 左サイドハーフ森田

フォワード小田と古川。」

この11人が今日のスタメン。

今日は35分の試合を3本やる。

「頑張ろうな幕井。」

同じボランチコンビの朝日が幕井に言う。

「うん。頑張ろう。」


アップが始まった。

ストレッチをして、基礎練習、対面パス、ポゼッション、その後に攻撃陣はシュート練習、守備陣はヘディング練習をした。


「そろそろ始まるよ。」

マネージャーの山田がみんなに声を掛ける。


それぞれ、学校側が管理しているユニフォームに着替える。


相手の緑田高校は緑色のユニフォーム。

上は緑と黄緑のシマシマのデザイン。

パンツとソックスは緑色だ。

対する、神龍高校は赤色のユニフォーム。

上は赤色だか、袖の端は白色。

パンツとソックスは赤色。


「始めるよ。」

ゴールキーパーコーチの佐久間先生が審判だ。


 ピー


緑田高校ボールで試合が始まった。























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