2.ストーカーに動画を撮られています
私は田中水樹(たなか みずき)。ある大企業で経理担当をしている26歳のOLだ。
経理の仕事は嫌いじゃないけど、やっぱり仕事量が多くて疲れやすい。
ようやく収入が安定してきたから、私は警備システムが充実している、少し高めのマンションに最近引っ越した。
そんな私が最近はまっているもの。それは、ある動画投稿サイトの動画を見ること。
最近はショートという機能が追加されて、短い休憩時間の間にサクッと動画を見れるので、とても私の癒しになっている。
ある日の休憩時間、私はお茶を飲みながら、いつものようにショート動画を見ていた。
どんどんと下の方にスクロールしていくと、私はある1本の動画で指を止めた。
「え? これって……」
私はあまりの衝撃にお茶を口から出しそうになってしまった。
なぜならそこには……
「田中水樹の普段の生活……?」
そう、私の名前が使われた動画が流れてきたのだ。
そのチャンネルを開くと、過去にもたくさんの私の動画をあげている。
「一体……どういうこと!?」
もちろん私は、SNS上に自分の動画をあげたことなど一度もない。
もしかして、私の部屋に隠しカメラがある?
そう考えた瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われる。
とりあえず、家に帰ったら隠しカメラを探してみよう。
その日の仕事が終わり、私は急いで部屋に戻ると、隠しカメラを探し始めた。
「角度的に、この辺のはず……あれ?」
カメラがあるはずの位置を、私はくまなく探すも、カメラは一切見当たらなかった。
隠しカメラはないのに、今日の分の動画も上がっている。
私は怖くなって、少しの間、仕事を休むことにした。
私が仕事を休んでからというもの、そのチャンネルの動画更新は止まった。
そのうえ、チャンネルの説明欄に、『仕事を休むのでしばらく更新が止まります』とまで書いてある。
私はそれで確信する。
「誰かが私の部屋に侵入して、カメラを取り付けて、私が仕事に行ったのを見計らってカメラを取り外している」
私はそれから直ぐに、交番に向かって事情を話し、ストーカー被害として届け出た。
ストーカーに家がバレているなら、すぐに引っ越さなければ何をされるか分からない。
私は次の日には引っ越す準備をし、誰にも教えることなく、このマンションからものすごく離れた小さなアパートに引っ越すことにした。
アパートに引っ越してからというもの、そのチャンネルの更新は途絶え、私は少し安心した。
それからは仕事にもちゃんと行けるようになり、普段の平穏な日常を取り戻した。
しかし、私はある違和感に気づく。
「あれ? 私の部屋って7階だったから、外から入ることは出来ないよね。それに、警備システムがものすごく厳重だから、私の持っているカードキーを使わないと、扉や窓は開けられないし、無理やり開けたら警報が作動するはず……」
私はその時、ある1つの恐ろしい考えにたどり着いた。
私はまさかと思い、そのチャンネルを開く。
すると、更新が止まっていたはずのチャンネルが、ある動画を更新していた。
「田沼裕二(たぬま ゆうじ)の普段の生活……」
そこには、私の前いた部屋に新しく引っ越してきた、田沼さんの姿が映っていた。
やはりそうだ。
動画を撮っていたのは、私のストーカーなんかじゃない。
それに、外から中に入ることは出来ない。
私はその真実に気づいた途端、あまりの恐怖に吐き出してしまった。
【解説】
動画に映っていたのは確かに主人公であり、その様子を撮影するために、部屋に隠しカメラが取り付けられたのは間違いない。また、確認すると隠しカメラが無くなっていたことから、誰かが部屋を出入りしていることが分かる。主人公は、自分に対するストーカーの仕業だと思い引っ越したが、それ以降、主人公の動画は一切上がらなかった。しかし、後に、前いたマンションの次の住人が動画に映されていたこと、部屋への侵入が困難であることから、その部屋には見知らぬ誰かが住み着いているということになる。
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