第5話 家族
今日はスーパーで買ったレンジでできるミートソースを食べます。
スーパーってほんと安いと思う。元父がいらないほど、お金を送ってくるため生活には多少余裕はあるものの無駄遣いはしたくないのでそこまで使わない。
父親は全国で有名な資産家であり、一条財閥のトップである。
そこで俺はデキコンで生まれ、最初は育ててもらったものの、母親に浮気されて以降、その
だから世の中金であると中一にして知った。
「二度とその名前を語るな。お前の名前は大神新一だ。」
「_____分かりました。」
「お前は一条家の汚物だ。あの屑の血を引いたんだ。当然だろう。」
「______分かりました。すみませんでした。」
ああ嫌なこと思い出した。忘れられるわけはないんだけどね。
寝るか…。
「しんいちーーーー!!」
大きい声で俺の家に入ってきたのは、幼馴染の麻倉だった。
「こんな夜からどうしたんだ。俺もう寝ようとしてたんだが。」
「コンビニ行こ!アイス食べたい!」
「こんな時間からか?」
すこしめんどくさがっていると強引に俺の財布を取り、玄関へ連れ出した。
「分かったから行くから放せって」
「よーしそれでよいのだ。」
風が少し肌寒い外で薄着を着ていた。
「それでなんでコンビニ?アイス買うにしてもいきなりすぎるだろ。」
「そんなの…。」
新一と一緒にいたいからに決まってるじゃん。
口には出せない本音。言ってはこの関係も終わってしまうかもしれない。せめて、新一が人の事を信用できて、人の事を好きにならないと、不公平だから___________
「そんなの、家が近いし誘いやすいからに決まってるじゃん!」
だから、今はこれでいい。
これとこれもっと!
「買いすぎじゃないか?」
「妹の分とお母さんのも頼まれてるから!」
「そういうことね。俺はこれだけ買おうかな」
「新一はもっと食べないと成長しないぞ!」
「昔に比べて背デカくなったんだけどな。」
「確かに昔はもっと低かったかも…」
「俺は会計行ってくる。」
確かに新一見ない間に高くなったな~。昔は私と同じくらいだったのに、でもかっこよくなったな。
「ありがとう!荷物持ってくれて!」
「いいよ、意外と重いだろ。」
いつもの帰路にやってくる。
「えまって!」
「どうしたんだ?」
「あれ見てよ!」
そこには捨てられて段ボールに入った小さな柴犬の姿があった。
そして段ボールには(育てきれません、拾ってください)という紙があった。
…。最低だな。正直呆れる。
「新一、これって、捨て犬だよね。ありえない。」
小さな柴犬は悲しい視線をこちらに向ける。その目は人を怖がり怯えている。でもどこか助けを求めている目をしていた。
どこか自分に似ていた。
「この子どうする?」
俺は迷うことなく答えた。
「俺の家で保護する。新しい家族にする。」
「それなら安心だけど、大丈夫?世話とか、私もできるとこは手伝うよ。」
「ありがとう、でも何とかなると思う。」
そして、段ボールごと家に持ち去った。
犬は終始怖がった顔をしていた。当然だ。捨てるって行為はありえない。最低であり卑劣だ。もしも拾う人もいなくのたれ死んだらどうするんだ。微生物に体を食われるかもしれない。世話するという義務を放棄しているんだ。それにしても、この文字…。誰かに似てるな…。
新一と桃花を見て安心している人の影があった。
「君ならそうしてくれると思ったよ。」
「わざわざ家までありがとう。もう大丈夫だよ。」
「それなら良いけど。この子のご飯とかゲージとか大丈夫なの?」
「それなら宛てがある。」
電話コール
「すみません、今週日曜空いてますか?」
「え?空いてはいるが。」
「では10時俺の家で」
「は?」
「あと車持ってきてください。」
「は?」
日曜日
チャイム音
「はいはい、今開けます。」
「こんにちは、今日はありがとうございます。」
「それは良いが、なぜ私なんだ、そしてなぜ車なんだ」
「ちょっと大きい買い物になるからです。」
「お前が大きい買い物なんかするのか?」
「俺にじゃないですけどね。それで車が欲しいと思ったからです。」
「なるほどな、お前が人を頼れるようになったか。」
「だがなぜ私なんだ。」
「未婚だからです。」
「お前さらわれてえのか」
「さすがに冗談ですけど、ほんとは頼れる大人が先生しかいないからです。」
「自分はバイクしかないので」
この学校バイク免許取るの禁止なんだけどな
「まあ分かった。なら早速行こう。」
「それでどこ行くんだ?」
「あ、その前に連れてくやつがいます。待っててください」
「そんなやついんのか」
「こいつです」
俺は拾い犬を差し出した
「なんだこの子ものすごい可愛いな。撫でていいか?」
「はい」
先生は犬に顔を近づけ明らかににやついていた。
「ペットショップと動物病院にいきます。」
「了解した、早くいくぞ」
犬出した途端、妙にテンション高くなったな、この人犬好きだな
まずは犬の健康状態が不明なため動物病院に連れてきた。
「ところでこいつの名前はなんなんだ?」
そういや決めてなかったな
「ココアにします。」
決めた理由は単純だ。俺が好きだから、その分こいつの事を愛し、もう孤独にさせたくないからだ。孤独は俺だけでいい。
「そうか、いい名前だな。」
俺と林先生は動物病院に連れていき、病院の先生に言われた。
「あの、本当に拾い犬ですか…?」
「はい、道端に段ボールに入れられていました。」
「おかしいですね。」
「何がですか?」
俺は恐る恐る聞く
「この子元気なんです。」
林先生が聞く
「それは良いことじゃないんですか?」
俺はおかしいことに気づいていた。
「本来、捨て犬は鬱などで体調不良に見えるのは当たり前なんです。そのせいで乱暴したりするワンちゃんもいます。ですが大体は注射や外にいるので外傷やウイルスがいること、毛並みが汚れてしまっていることが多いんです。」
「でもこの子は外傷なし、注射もしてあり、体調面で言えば健康体なんです。」
「そんなことがあるんですか?実際に」
「ない…とは言い切れません。ですが可能性はものすごい低いです。」
「ですが健康ならよかったです。あとはご主人様が大切に育てて、鬱状態を治してあげてください」
「先生。」
「どうした、大神」
先生は煙草を吸いながらこちらを向く。
「自分にココアを治せると思いますか?」
先生は端的に答える。
「無理だな。」
俺は数秒間沈黙した。無理と言われた事実、そしてココアに対する責任感と申し訳なさ。だが先生はまた口を開けた。
「お前が変わるしかないよ。ペットは飼い主を見る。私からしたら、お前とココア、同じ顔に見えるぞ。」
俺ははっとした。何故なら俺は初めてココアを見たとき、ある感情が沸いていた。
それは、悲しそうな顔をしていてもどこか奥で助けを求めていると考えてしまった。
だが先生からしたら、俺は同じ顔をしているらしい。
心当たりがないわけではない。俺はずっと助けを求めていたのかもしれない。ずっと昔から。だが助けてくれる人はいなかった。
俺は時間を空けて返事を返す。
「気を付けます。」
先生はニコニコしながら返事をした。
「お前が口だけではなく心から気を付けれたら教えてくれよ」
この人はなんでも知っているんだと思った。
先生は煙草をポケット灰皿にしまい、ココアのいる車に戻った、ココアはこちらをみることもしない、多分何されるんだとでも思っているのだろうか。
次にホームセンターに行った。ゲージと小型犬でも食べれるご飯、それにリードと小物を何個か購入した。
「今日は本当にありがとうございました。」
「ああ大丈夫だ。それよりもココアを大切にしてやれ。」
「はい。」
幼馴染の恋は片道切符 しいな @nanasi22
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