第11話 シャフリサブス ウズベキスタンより

親愛なる友へ


私は今、ウズベキスタンのシャフリサブスにいる。

この街はティムールの故郷として知られ、歴史の重みを感じさせる場所だ。

絵葉書の表には「アクサライ宮殿」の壮大な遺跡が描かれている。

かつては空に届くような門があったそうだが、今は崩れたアーチが青空を切り取るように残っている。

街を歩くと、カラカルパク帽をかぶった老人が話しかけてきた。「どこから来た?」と聞かれ、「日本だ」と答えると、彼は目を輝かせた。

「ティムールも旅人だった。お前も旅人なら、この街の魂を感じていけ」

と言い、アクサライ宮殿の話をしてくれた。

ティムールが「私の力を見よ」と言わんばかりに建てた宮殿が、今も彼の誇りを語っているようだ。

市場を歩いていたら、モスクの前で絵を描いている青年に出会った。

彼の名前はナジル。

地元の職人で、伝統的な青いタイルを作る仕事をしているそうだ。

「このタイルの模様は何を意味するの?」

と聞くと、彼は微笑んで言った。

「これは希望と祈りだ。僕の祖父も父も、このタイルを作ってきた。シャフリサブスの空の色を閉じ込めたものだよ」。

彼の手は絵の具で染まり、指の間には乾いた粘土が残っていた。

私は彼の作った小さなタイルを一枚買った。

手のひらに乗せると、ひんやりとした感触の中に、何世代も続く職人たちの息遣いが感じられる。

シャフリサブスは「緑の街」という意味を持つ。

その名の通り、木々が生い茂り、乾いた風の中にもどこか潤いがある。

地元の人々に勧められた名物料理は「ドルマ」──ぶどうの葉で包んだ肉と米の料理だった。

「これは特別な料理だ」と店の女主人が教えてくれた。

「家族が集まるとき、これを作るのよ」。

葉の香りが肉に移り、ほのかな酸味とスパイスの香りが混ざり合って、どこか懐かしい味がした。

食後、近くの茶屋で「チャイ」を飲んでいると、隣の席の老人が声をかけてきた。

「日本から来たのか? それなら、これをお土産に持っていけ」

と、彼は乾燥させたアプリコットを手渡してくれた。

ウズベキスタンでは果物が豊かに実る。

甘くねっとりとした果肉を噛むと、乾いた大地の太陽の味がした。

シャフリサブスを去る前に、私はもう一度、アクサライ宮殿の遺跡を訪れた。

風が吹き抜け、遠くからは子どもたちの遊ぶ声が聞こえてくる。

この街は過去と現在が交わる場所だった。

ナジルのタイル、老人からもらったアプリコット、市場で買った手織りの布──すべてがこの街の人々の温かさを思い出させてくれる。


ここではたくさんの土産話が生まれた。君に話す日が待ち遠しい。


友へ

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