第4話 シムケント カザフスタンより

親愛なる友へ


こんにちは。

今はシムケントというカザフスタン南部の古い街にいる。

この街は「千泉の街」と呼ばれていて、古代からシルクロードの要所として栄えた場所だ。

街中に点在する公園や噴水がその名前を思わせるような涼やかな雰囲気を醸し出している。

この絵葉書は、街の中心にある「オルダバザール」という市場で買った。

市場の中を歩いていると、スカーフを被った年配の女性が小さな手作りのスタンドでポストカードを売っていた。

彼女の名前はライハンさんで、カードには彼女自身が描いたシムケントの風景画がプリントされていた。

彼女はとても親切で、

「これは私の村で見た風景よ」

と、描かれた草原や山々について語ってくれた。

その優しさに惹かれて、私は彼女からいくつかのカードを買ったよ。

ライハンさんの勧めで市場の食堂に行き、ここでまた「ベシュバルマク」を食べた。

茹でた馬肉と麺が盛られたシンプルな料理だけど、肉は驚くほど柔らかくて、この上にかける玉ねぎソースがシムケント風だ。

かかった玉ねぎソースの香りが食欲をそそる。

食堂のおばちゃんに「もっと食べなさい」とおかわりを勧められ、結局たっぷりいただいた。

食後、街のランドマークである「アブライハン広場」を散策した。

この広場には大きな噴水があり、そこで遊ぶ子どもたちの笑顔が印象的だった。

その噴水のそばで、民族衣装を着た若いカップルに声をかけられた。

彼らは結婚式の写真を撮っていたのだ。

彼らは私に「カザフスタンの伝統では、噴水は幸運の象徴なんだ」と教えてくれた。

そして、なんと一緒に写真を撮ろうと誘われ、気がつけば結婚式のグループ写真に私も参加することになったよ。

これもシムケントの人々の温かさなのだろう。

シムケントは歴史も深い街だ。

街の外れにある古代の遺跡「サウラン」を訪れた。

砂漠の中にぽつんと残る廃墟で、シルクロードの繁栄を物語る場所だ。

そこで出会ったツアーガイドの若者アリジャンは、地元の大学で歴史を専攻していると言っていた。

彼は情熱的に遺跡の歴史や、ここで交易をしていた人々の話をしてくれた。

その後、アリジャンに誘われて遺跡の近くにあるカフェでチャイを飲みながらさらに話を聞いた。

彼の夢は、この地の歴史をもっと世界に広めることだそうだ。

その瞳には希望が輝いていた。

お土産には、オルダバザールで買った羊毛フェルトの小さなジュウル(敷物)を選んだ。

この敷物にはカザフスタンの伝統的な文様が描かれていて、シムケントの職人の技術を感じられる。

ライハンさんが「これを持っていれば、どこにいても暖かさを感じられるわ」と言ってくれた言葉が心に残っている。


シムケントは歴史と人々の優しさが調和した、本当に素晴らしい街だ。

君もいつか訪れる機会があれば、きっとその魅力に心を奪われるだろう。

次の街でもまた手紙を書くから楽しみにしていてほしい。


きみの友より


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