なるほど! マジックリアリズム的手法で書かれた作品は他にもいろいろある中で、なぜ『百年の孤独』は別格の面白さなのか、九里琳様の説明で理解出来ました。
ジャーナリスト出身の作家の文章は往々にして読んでいて肌感覚にピッタリきます。
私は他に『エレンディラ』や『予告された殺人の記録』も好きです。
「ガルシア·マルケスと握手した事がある」と言うメキシコ人ミュージシャンと会った事があり、ミーハーにも思わず間接握手させてもらいました!
作者からの返信
応援ありがとうございます!
『百年の孤独』は別格ですよね。このお話がすこしでもご参考になりましたら幸いです。ジャーナリストはやはり文章や叙述の技術が磨かれていると感じますね。
『エレンディラ』『予告された殺人の記録』もいいですね。『予告…』も実話ベースで、否応なしにあの結末に向かってすべてが回っていくのが、さすがガルシア=マルケスだな、と。
間接握手、うらやましいです!
編集済
ガルシア・マルケス、代表作の「百年の孤独」は読んだことがないんですが、
「エレンディラ」の映画化で知り、「幸福な無名時代」「美しい水死人」、、もうあまり覚えてはいないんですが、何気ない日常のようで、あれこれって全部もう、それっぽく見える奇怪な夢なんじゃ??という不安な感じが好きでした
ルルフォの「ペドロ・パラモ」もそれに近い幻想感があり、生者と死者が空間を共にするみたいな、それがラテンアメリカの文化なのかなとおもってましたが、
じつはマルケスが開拓した文化だったりするんですかね?
作者からの返信
応援ありがとうございます!
『エレンディラ』、映画は未見ですが、原作はなかなか衝撃的な物語でした。(ちなみに彼女は『百年の孤独』のなかにも登場します)
彼の小説を映画化したらたしかに奇怪な夢になりそうです。
『ペドロ・パラモ』! さすがのご慧眼です。どちらかというとルルフォの方が先行するようですが、共通するものがありますよね。ともに南米で育まれた土壌であるとは言えそうです。
正統のキリスト教会に黒人やインディオの神さまが出没して、近代文明とジャングルの境界がない世界だからこその土壌かもしれませんね。
いくつもウンウンと頷くようなところがあり、「香味あふれる文章」と評されているのが凄く良いなと思いました。
また、『百年の孤独』は実話ベースではないか、これはまさに私も読書中に感じたことです。
他の時代、他の土地(気候風土や文化、宗教など)ならば違ったかもしれない出来事や人のなりふりを、彼自身の驚嘆の心とセンシティブな五感、時に第六感その他を伴って、信じがたい事実の異様さ、繰り返したくないことなどを伝えるために、客観性で以て描き尽くされたのではないだろうか、と。
例えば
>耄碌した家長が庭の木に何年もつながれる
認知症や夢遊病のようにところ構わず歩き回って怪我などしてしまうので、心配した家族に半ば家に閉じ込められるようになってしまったことについて、「確かに長く生きられたかもしれないが、どんなであっても個人の感性の自由を奪って良いのだろうか」とガルシア=マルケスが憂いたことをそのように表現されているのだろうか、とか。
「遠近法を無視した文体」と表現されているのにも、腑に落ちた感がありました。
少し違うかとは思いますが、ピカソとブラックが確立した表現技法キュビスムのように、多面的なものをそれぞれの視点で観察し、一つの平面に一様に配置した時の歪さ(「一つの視点から眺める日常の光景は、他の側面の真実を歪ませて見ているからこそ自分にとって心地よいものだった」という事実を突きつけられる)を目の当たりにするような。
それが「ある感覚」を現実的なものとした時に、非現実的な日常風景と入り乱れ、絶妙な色合いの描写として表れているのだろうかと感じました。
語感や想像力を総動員することを呼び覚ましてくれる(ある意味で体力のいる)読書体験であることは間違いないように思います。
(つい、長くなってしまいました)
作者からの返信
お越しいただき、ありがとうございます!
体力のいる読書体験、まったくその通りですね(^^) 語感や想像力を総動員して頭がぐったり、でもそれが楽しいという・・・
ポロさんも実話ベースと感じられたのですね。信じがたい事実の異様さは、たしかにマジックリアリズムの表現のなかでこそ鋭く浮き上がってくるような気がします。日本でも過去の戦争や現在の他国の事件などがファンタジーになったり、逆にフェイクに現実感を感じたり、、私たちはいまいちど感性を研ぎ澄ませる必要があるのかもしれません。
ガルシア=マルケスは、「自由」や「圧制」というものに敏感で拘りが強いので、このエピソードにもそれが表れているかもしれませんね。
「香気あふれる文章」「遠近法を無視した文体」に共感いただいて、うれしいです。絵画に比しての視点はなるほど確かに!と思いました。すこしレベルの低い比になりますが、「だまし絵」にも言えるかもしれませんね。視点をずらすと、現実認識ががらっとひっくり返って、今まで事実と思っていたのが幻想で、幻想と思っていたのが事実だった・・のような。
うわあっ!こちらも必読書ですねっ
実は先日、本屋さんで手に取ってぱらぱら捲りながら悩んだのです。明らかに噛み応え抜群、攻略度最難クラス、にしては妙に惹きつける文章。これ手に取ったら数カ月外界と遮断されまいか?いや未読本も山積みだし、積ん読になってしまったら如何にも惜しいし…なんて言い訳して保留にしたのですが、久里琳様のご講義を受け圧倒的に吸引されちゃいました!後ほどポチります!
比喩、その必然性。お言葉、沁みます。もやもやしたものを、雰囲気だけで書いてはいまいか?視て掴むことを簡単に諦めてはいまいか?突き刺さりましたっ
ああ。夏休みの最終日、手付かずの宿題を前にしたのび太の気持ちが痛いほど分かります…でも、始めなければ始まらない!
読ませて頂きます!ご講義ありがとうございました!!
作者からの返信
応援ありがとうございます!
噛み応え抜群、ぱらぱら捲っただけでもそう感じますよね。その分、噛めば噛むほどどんどん味が出てきます。ぜひこの世界にどっぷり浸かってくださいませ。
比喩は本当に、諸刃の剣だと思います。名手がつかうとぴったり響くのに、半端な使い手だとうんざりする。さらには、うまい表現しててもそれがかえって鼻について興ざめなこともあったり。
たっぷりの宿題に、さらにひとつ追加してしまうことになってしまったかもしれませんが、、宿題を楽しんでいただければと思います。