問わず語りの百冊

久里 琳

はじめに・目録


 私たち物書きにとって、本を読むことは、書くための重要な養分なのだと思います。

 もちろん物書きを衝き動かすもの・支えるものはそれだけではなく、人により濃淡はあるんでしょうけれど、すくなくとも私にとっては本の世界に耽溺したことが書く動機となり、文章づくりの筋骨となっています。

 だから文章論めいたものを書いてみようと不遜にも企んだとき、私の好きな本を端緒にして書いていくのが自分に合っているだろうと考えました。


 結果的に、ただ好きなものを語ることに多くの字数が割かれるかもしれません。(試しに3作分書いてみて、すでにその気配が濃厚だと感じています……)

 が、ここに掲載する以上は、読んでくださる方々にとって有益なお話になるよう当然の義務として努めますし、ご紹介する本は書くための養分になり得ると信じています。


 私の語ることが、皆さまのお考えと異なることもあるかもしれません。あくまで私の個人的な見解・感想とお受けとりくださいませ。

 もとより、好き嫌いは人により異なるもので、文章の良し悪しの基準も百家争鳴でかんたんに断じられるものではないですよね。

 賛同、不同意、異なる視点からのお考え、などなど、コメントいただけましたらうれしいです。


 以下に、100作品を挙げました。(毎夏に出版各社が催す「〇〇の百冊」に倣って)

 順不同でご紹介していく予定です。もしかしたら、リストはどこかで変更されるかもしれません。

 途中で力尽きることも……ないよう努めますが、物語を書くほうに忙しくなれば、しばらくお休みはあるかもしれません。気長にお付き合いくださいましたら幸いです。


※ 〇がついているのは、公開済みのもの


【小説・戯曲】

〇 1ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』

〇 2ガルシア=マルケス『百年の孤独』

〇 3カフカ『審判』

〇 4夏目漱石『こころ』

〇 5サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』

 6トルストイ『戦争と平和』

〇 7森鴎外『阿部一族』

 8泉鏡花『夜叉ケ池・天守物語』

〇 9三島由紀夫『金閣寺』

 10川端康成『雪国』

 11大江健三郎『死者の奢り・飼育』

〇 12谷崎潤一郎『春琴抄』

 13安部公房『密会』

 14吉本ばなな『うたかた/サンクチュアリ』

 15小川洋子『博士の愛した数式』

 16綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

 17村上春樹『海辺のカフカ』

 18村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』

 19古井由吉『杳子・妻籠』

 20司馬遼太郎『坂の上の雲』

 21塩野七生『ローマ人の物語』

 22シェークスピア『リチャード三世』

 23大岡昇平『野火』

 24中島敦『李陵・山月記』

 25ユゴー『レ・ミゼラブル』

 26ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引書』

 27バルガス・リョサ『密林の語り部』

 28コルタサル『悪魔の涎・追い求める男』

 29オルハン・パムク『私の名は赤』

 30伊藤計劃『虐殺器官』

 31夢野久作『ドグラ・マグラ』

 32エドガー・アラン・ポー『黒猫・黄金虫』

〇 33ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

 34ゲーテ『ファウスト』

 35ワイルド『サロメ』

 36カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

 37芥川龍之介『地獄変・偸盗』

 38カミュ『異邦人』

 39重松清『疾走』

 40モンゴメリ『赤毛のアン』

〇 41倉橋由美子『ポポイ』 ⇒『ヴァージニア』

 42野上弥生子『迷路』

 53川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』

 44マルキ・ド・サド『悪徳の栄え』

 45サン=テグジュペリ『星の王子さま』

 46ディケンズ『クリスマス・キャロル』

 47ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』

 48氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』

〇 49星新一『ボッコちゃん』

 50宮沢賢治『銀河鉄道の夜』



【古典】

〇 1ホメロス『イリアス』

 2プラトン『ソクラテスの弁明』

〇 3『論語』

 4『老子』

 5『伊勢物語』

 6『ブッダ最後の旅(大パリニッバーナ経)』

 7『千夜一夜物語』

 8パスカル『パンセ』

 9吉田兼好『徒然草』

 10 『古事記』



【詩】

〇 1『万葉集』

 2『中国名詩選』

〇 3中原中也『山羊の歌』

 4ランボオ『地獄の季節』

 5『萩原朔太郎詩集』

 6『文選』

 7正岡子規『墨汁一滴』

 8『丸山薫詩集』



【哲学・思想・批評】

〇 1ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』

 2デカルト『方法序説』

 3カント『道徳形而上学原論』

 4ニーチェ『善悪の彼岸』

 5フロイト『精神分析学入門』

 6キルケゴール『死に至る病』

 7ショーペンハウエル『自殺について』

 8マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

〇 9小林秀雄『モオツァルト・無常という事』

 10江藤淳『戦後とわたし・神話の克服』

 11吉本隆明『言語にとって美とはなにか』

 12柄谷行人『意味という病』

 13蓮實重彦『夏目漱石論』

 14新渡戸稲造『武士道』

 15世阿弥『風姿花伝』



【ほか文芸】

 1和辻哲郎『古寺巡礼』

〇 2スヴェン・ヘディン『さまよえる湖』

 3知里幸恵編『アイヌ神謡集』

 4白州正子『お能・老木の花』

 5柳田國男『遠野物語』

〇 6『柳宗悦民藝紀行』

 7佐藤康宏『湯女図』

 8グスタフ・ヤノーホ『カフカとの対話』



【ほか学術】

〇 1江上波夫『騎馬民族国家』

 2大林太良『神話の話』

 3吉田敦彦『昔話の考古学』

 4網野善彦『無縁・公界・楽』

〇 5アドルフ・ポルトマン『人間はどこまで動物か』

 6福岡伸一『生物と無生物のあいだ』

 7シュレーディンガー『生命とは何か』

 8サイモン・シン『フェルマーの最終定理』

 9ロジャー・ペンローズ『心は量子で語れるか』



 以上、100作(入れ替えの可能性あり)


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