第11話
【ゆっくりと…】
時と雲が流れていく
窓から見える空は
いつの間にか高く澄んでいる
時間が見えるとき…
大体私は…
疲れている
ガタタン
ガタタン…
建物の近くを
トロッコ列車が通っていく
海の近くの親戚の家は
昔から夏休みに来るところ
私のちょっと遅い夏休みは
始まったばかり…
中華が大好きな
親戚のおばちゃんは
毎日の様に
商店街の中華屋さんから
出前をたのむ
おばちゃんが娘に
卵チャーハンと餃子を頼んで
と電話させていた
家ではできない美味しさがあるのだと
言い訳みたいな説明をしているおばちゃん
血糖値が高いんだからさぁ
と半ばあきれている従姉妹
そんな他愛もない会話を聴きながら
私の午前中が過ぎていく…
今は何も考えず
一人じゃない自分に気づく
おばちゃんはTVよりもラジオが好き
従姉妹はTVよりもネットが好き
私は…
そんな二人を見ているのが
好き
そんな二人が揃ってTVを観る時がある
NHK大河ドラマと
韓流ドラマだ
おばちゃん80代
従姉妹60代
いつまで経っても
乙女はキュンに弱い
私は何に弱いんだろう…
全部…
世の中の全てだな
全てに弱いってことは…
もう弱さを考えなくていいってことかな?
それは…
開き直れるってこと?
なら…
最強ってこと?
そんな事ないか…
生きてるけど
最悪だ
そんなことを考えていたら
中華屋さんが出前を持ってきた
まだお昼前の10時過ぎだが?
もう食べるの?
って思っていたら
おばちゃんは3時に目が覚めて
4時に朝ごはん食べてるから
間違って無いんだそうだ
確かに
6時間も経てば
お腹すくよね
そんな海辺の小さな町の
小さな家の
小さな出来事だった
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