第4話 犯して解決
僕も30を過ぎました。心に余裕ができたのもあってか独り身はとてもさみしくなりました。社畜をしているときにはこんな感情は有りませんでした。だけど一人で家にいる時間が増え、やっぱりさみしいと思うようになりました。ゲームをやっても埋まらないこの心の隙間。僕はマッチングアプリをすることにしました。初めてのマッチングアプリ。顔がバレて職場で気まずい思いをするのは避けたい。だから顔が写らないような写真を使うことにしました。僕はファッションには疎いしお腹も出ている。でも幸いなことに最近のトレンドはオーバーサイズらしい。さっそくユーチューブを参考にユニクロやGUで服を買いました。最初は全くマッチングしませんでした。ただ、プレミアム会員になってそれなりに課金するようになるとちょこちょこマッチングするようになりました。でもマッチングしてからメッセージのやりとりが本当に大変だった。全く話が続かない。一カ月以上かけてやっと一人と飲み会に行くことになりました。僕の趣味のゲームの話で気が合った娘です。32歳OL。会う日まで本当にドキドキしました。着ていく服はどうしようか。どんな話をしようか。どんなお店に行こうか。集合場所は新宿東口にした。集合場所につく。ドキドキする。「東口交番前につきました!チェックのワンピースを着ています。」LINEが来る。あ、あの子だ!
「どうも初めまして鈴木です。」
勇気を出して声をかけました。相手の顔がパッと輝いたが、一瞬で曇り顔になったのに気づきました。こ、これは?一応、予約していた店に行き、横並びになり飲みながら話をしました。しかし全然話が盛り上がらない。それでも一時間頑張りました。が、最後には女は無言でスマホをいじっていました。当然のことながら会計は全て僕持ちになりました。
一応本日はありがとうございましたというLINEを送りましたが、いつまでも既読がつきませんでした。もしや、と思ってLINEがブロックされているかどうか調べてみたら、あっさりとブロックされていました。僕は失意の中家に帰り、涙を流しながらノートにこの事を書いて眠りました。
鈴木という非モテと会った後に、同じアプリで知り合ったカズさんと会っていた。カズさんは鈴木みたいな雑魚会社員と違って総合商社勤務のエリートだ。この年齢まで自分を大事にして来たんだ。私みたいな綺麗で器量の良い(年齢は30を超えちゃったけど)女の子に釣り合うのはこういうエリートしかいない。先日カフェで会った時にもそのウィットに富んだ会話に魅了された。外国人と会話しながら待ち合わせのカフェに現れた際には驚いた。日本にはたまたま戻っていて今は実家にいるそうだ。すぐにアメリカに帰るけどやっぱり日本人の彼女が欲しいと、目を見て語られた。で、今晩である。少しお酒を飲んでおかないと行けない気がしたので、鈴木を使った。鈴木にはワンチャンも期待したが全くの期待外れだった。でもこれから本命。化粧室で化粧直しをして、待ち合わせ場所に向かった。カズさんとの待ち合わせ場所はチェーン店の居酒屋だった。鈴木みたいに気負って無駄にオシャレな店を選ぶより、こういうのの方が自然体で好き。自分を全てさらけ出せる。カズさんは少し酔った私の話をふんふんと興味深げに聞いてくれ、とても気持ちが良かった。横並びの席では、いつの間にかカズさんと手をつないでいた。時間は0時を回っていた。この後は、決まっていた。お店を出てから無言で手をつないで歩き出した。物陰で不意にキスされた。カズさんは舌を絡めてきた。私も舌を絡めた。キスをした後、少し歩いてホテルの前についた。
「いや、プリン食べるだけだから。ちょっと休憩しよ。」
カズさんはいつの間にか手にコンビニのプリンを持っていた。
無言で部屋を選ばれ、部屋に搬送された。
部屋ではソファに座って一応プリンを食べたが、カズさんは途中でキスをしてきた。ワンピースにも手を入れてきた。しかし少し抵抗をしてこう言った。
「私、付き合ってない人とこういうことしないから。」
カズさんと付き合いたいと思っていた。そのための言葉だった。
「俺たち、もう付き合ってるじゃん。」
その言葉を待っていた。もう身体をカズさんに委ねるしかなかった。
次の朝、目覚めるとカズさんの姿は無かった。すかさずLINEをしたが既読がつかなかった。もしやと思ってブロックされているかどうか調べたらブロックされていた。アプリ上でも既にカズさんからブロックされていた。
私はワンナイト狙いのナンパ師、既婚者の詐欺師に騙されていたと同じ友達経由で知ることになった。あの日から21日後だった。
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