クールマイヒーロー
斗花
第1話
夏休み前のHRで私のクラスの出し物が
その名の通り、接客する女子と一部の男子がウサ耳を付ける喫茶店。
ちなみに私は接客担当。
それが夏休み前で、いよいよ来週が当日となった今日この頃です。
「
「あぁ、そうだな」
義旭くんは私を見ることもなく適当に答えた。
「私もウサ耳付けるんだよ!」
「今更、何言ってんだ?
一ヶ月以上前に決まってたことだろ」
試しに言ってみたら、冷たく返された。
そして生徒会室に入りながら私の顔も見ずに言う。
「悪いけど今日は遅くなる」
「何時に終わるの?」
私が聞くと、時計を見た。
「16時半を回ったら帰ってくれ」
よく知らない方の為に私と義旭くんの関係をちゃんと教えましょう!
まず、私の名前。
そして、さっきまで隣にいたのが
私達、正真正銘の恋人関係です。
でも、私達を見て友達は『片想い』なんていう。
……なんでよ?!
確かに義旭くんは冷たい。
バレンタインデーのチョコは「死にたくない」って言って食べてくれなかったし、並んで歩く時は「接触したくない」と言って約1メートル間隔を開けて歩くし、毎日のお弁当は最初「まずい」って残された。
でも、最近は料理上手の友達に作り方を教えてもらって、やっと!
全部食べてくれるようになった!
それに義旭くんは告白とかされた時「彼女、いるから」って、断るんだよ?
この前、私が酔っ払いに絡まれた時は助けてくれたし!
私にはそれくらいが丁度良いトキメキ。
これ以上なんて望まないもん。
付き合い始めたのは1年生の1月。
好きになったのは1年生の6月。
義旭くんは剣道部で私はそのマネージャーだった。
私が剣道部の男の先輩にしつこく誘われたことがあって、その時に義旭くんが助けてくれた。
……そのあと、鈍臭いって怒られましたが……。
でもあの時から私は義旭くん一筋!
「義旭くん!仕事終わったの?」
教室で待っていると義旭くんが入ってくる。
「あぁ、悪いな。ほら、帰るぞ」
時計を見るとジャスト16時半。
「ピッタリだね、義旭くん!」
「時間を守れないのが一番だらしないからな」
義旭くんは普段から時間にとても厳しい。
部活がある日は着替えるから下駄箱で待ち合わせるんだけど、私が5分遅れたら帰ってしまいました。
義旭くんはスタスタと歩きながら私を家に送ってくれる。
「お前は今年もヤマトナデシコ決定戦に出るみたいだな」
「えっ、うん!ヤキモチ妬く?」
少し近付いて言うと義旭くんが一歩左にズレた。
「いや、感謝してる。
今年は例年より参加者が少ないからな。
勝負にならないのは生徒会として困るだろ」
義旭くんは次期生徒会会長です。
「じゃあ、応援来てくれる?!」
「当日はその時間、受付」
そう言って私の家の前で時計を見る。
義旭くんの癖。
「じゃ、また。遅刻しないようにな」
私の顔を見ることなく行ってしまった。
後ろ姿もかっこいい……!
私はいつも義旭くんが曲がってしまうまで、ずーっと見つめています。
義旭くんには秘密です。
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