第3話
落ち込む俺に追い打ちをかけるように、大澤がまだ俺を揺すってくる。
「あっちゃん、良いよね?
俺がどんだけ本宮さんを好きか知ってるでしょ?」
なんかこいつ、少し殺気立ってるし…。
「良いって言わないなら、流星先輩にあっちゃんがスズを夜ばいしたってデマ言うよ」
お前、そんな暗いキャラじゃねーだろ?!
「……上手くやれよ」
俺の言葉に大澤は顔を明るくした。
「やったー!あっちゃんありがとー!」
ガバーと俺に抱き着く大澤。
……きゅん。って、おいっ!
大澤は男だからな?!
今のはおかしい!
でもそうなるくらい、疲れてます。
「な、淳士。俺も頼みがある」
寝転ぶ秀の隣に寝転ぶと泣きそうになって言われた。
嫌な予感パート2。
「どうした?」
「フクに歯ブラシ預けたままだ」
歯ブラシ預けるって……、五歳児かっ!
しかも預ける相手幼なじみかよっ!
「だから、なんだよ?」
しかし黒い目をウルウルさせる秀がなんかかわいくて、思わず要求を聞く。
「昨日、あいつのこと大声で怒鳴ってさぁ……。今更、気まずい」
俺はため息をつき立ち上がった。
すると狙ったように部屋のチャイムが鳴る。
扉を開けようとした俺を文字通り、押し退けて秀が扉を開ける。
「ふーくー!」
フクが「しー、」と指を立てて言った。
「はい、歯ブラシ。それと昨日はごめん。俺が悪かった」
そしてフクが秀にお菓子を渡す。
「お前、あれっきり結局お菓子入れてないだろ?これ、はい」
「ふくー!」
フクは秀にお菓子を渡し、笑顔で去って行った。
「やっぱ、持つべき者はフクだな」
おれ、あんなに優しく接してあげたのに……。
「何でお前ら喧嘩したの?珍しくね?」
俺の質問にギロッと目つき悪く睨む。
「何で淳士に言わなくちゃいけねーんだよ?」
さっきまであんなに可愛い秀ちゃんだったのに……。テンションの上下激しすぎんだろ。
「淳士、大変だな」
義旭が本を読みながら言うが、お前も俺の苦労の一部だぞ。
「……もー、疲れた」
俺が布団に倒れると秀がかけ布団をかけてくる。
ボーっとしてると、大澤が俺のファイルを鞄にしまってくれた。
義旭がため息をつき部屋の鞄を片付ける。
ほら、な。
こいつらこうやってキメる所をキメてくれるから。
モテるのもよく分かるんだよ。
『俺、あいつらと仲良くはできねーや』
『あいつらってモテるけど、やっぱちょっとスカしてんな』
そう言う奴も中にはいるけど、俺はいつも言う。
「ひがんでんなよ、凡人」
「お前も凡人だろ」と言い返されることが殆どだけど、だったら俺と代わるか?
俺様で命令系な男や自由奔放すぎる男、冷たすぎて怖い男を一気に面倒見れんのは俺くらいだと俺は思う。
こんなスゴすぎる豪華メンバーで俺が持てる唯一の誇り。
代わりたい奴いるか?
まぁ、もしいても代わってやんねーけどな。
「あっちゃん、ニヤニヤしてるのキモい」
大澤が顔をしかめて言う。
「あぁ。また変なこと考えてんだろ」
義旭は電気を消した。
「よし!今日はオールだな!」
秀がそう言った。早く寝る予定だったのに、寝たのは何だかんだ夜明け前だった。
2010.04.13
D組3班、班長の苦労 斗花 @touka_lalala
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