第17話:学園祭準備はトラブルの嵐!?

翌日の午後、軽音サークルのメンバーたちは本番のリハーサルに向けて忙しく動き回っていた。ステージの音響機材のチェック、装飾の微調整、そしてメンバー間のパート合わせ。どれも順調かと思いきや、そんなはずもなく――。


「ちょっと待って!アンプから音が出ない!」

部室でベース担当の先輩が叫び、場が一瞬静まり返る。


「えぇ!?嘘でしょ!?昨日まで動いてたよね?」

紗月は驚いた様子でアンプをのぞき込む。


「コードの接触不良かな…。美咲ちゃん、ちょっとこれ見てくれる?」

「うん、任せて。」


美咲は冷静に機材をチェックし始めた。その頼もしい姿を見ながら、紗月はひそかに感心していた。


(美咲ちゃんって、こういうとき本当にしっかりしてるよね…。普段ののんびりした感じとのギャップがまたいいんだよな~。)


「これ、接続が緩んでただけみたい。直したから、試してみて。」

「おぉ!音が出た!美咲ちゃん、ありがとう!」


「そんなに大げさに褒められることじゃないけど…。」

美咲は照れくさそうに頭をかく。そんな彼女の姿を見て、紗月は思わずにやりと笑った。


その後も装飾作業が続いた。

「ねぇ、このライト、もうちょっと右に動かしたほうがバランスよくない?」

「紗月ちゃん、また脚立に乗ってるの?昨日みたいに落ちないでよ。」


「大丈夫、今日はちゃんと気をつけてるから!」

そう言った直後、紗月がバランスを崩し、危うく落ちそうになる。

「ちょっと紗月ちゃん!」


美咲が反射的に手を伸ばし、紗月の腕を引き寄せた。

「だから言ったでしょ…。危ないことしないでって。」

「うぅ、ごめん。でも美咲ちゃん、ナイスキャッチ!」


紗月はケラケラと笑うが、美咲は真剣な表情で彼女を見つめる。

「本当に気をつけてよ。紗月ちゃんがケガしたら、私…嫌だから。」

美咲の思わぬ一言に、紗月の顔が赤く染まる。


「美咲ちゃん…そんなこと言われたら、私もうケガできないじゃん。」

「そうだよ。だから、もう無茶しないで。」

真剣な美咲の声に、紗月は小さく頷いた。


夕方、休憩の時間が訪れると、サークルメンバーたちはお菓子とジュースを囲みながら談笑を始めた。


「そういえば、紗月ちゃんと美咲ちゃんって本当に仲良いよね~。」

ベースの先輩が何気なく言った言葉に、周りが一斉に興味を示す。

「そうそう、なんか見てて微笑ましいくらい。」

「もしかして、二人って付き合ってたりする?」


突然の質問に、美咲は飲んでいたジュースを盛大に吹き出した。

「な、何言ってるんですか!?」

「えー、でもいつも一緒だし、お似合いだと思うけどなぁ。」


「そ、そんなわけないでしょ!」

美咲が顔を真っ赤にして否定する横で、紗月が口を開く。

「まぁ、まだ付き合ってるってわけじゃないけど~。」

「ちょっ、紗月ちゃん!?」

美咲の慌てぶりを見て、サークルメンバーたちは大爆笑した。


帰り道、美咲は紗月に文句を言いながら歩いていた。

「紗月ちゃん、あんな言い方したら誤解されるでしょ!」

「え~、でもあながち嘘じゃないよね?」

「はぁ?」


「だって、私たち…もうお互いのこと、ただの友達だなんて思ってないでしょ?」

紗月がそう言って美咲を見上げる。真剣な眼差しに、美咲は返す言葉を失った。


「たしかに、紗月ちゃんは…私にとって特別な存在かもしれないけど。」

「でしょ?じゃあ、そのうち“まだ”じゃなくなる日が来るかもね。」


そう言って、紗月は笑いながら先を歩いていく。

その背中を見つめながら、美咲は胸がじんわりと温かくなるのを感じた。


(紗月ちゃんと一緒にいると、不思議と何でもできる気がする…。これって、やっぱり恋なのかな?)

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