第18話 衝撃の事実
……柊のあーんをもらってしまった。恥ずかしすぎる。
好きな人の手料理を好きな人のふーふーと好きな人のあーんでコンプリートした俺は、すっかり上機嫌。
体調は治らないけれど、気分は絶好調だ。
「柊、ホントありがとな」
「えっ⁉︎ そんな、お礼言われるほどのことじゃないよ…」
そんな小さな仕草でさえ愛おしく感じてしまう。俺はもう、この気持ちにこんなにも侵されていたのか。
「ありがとな」
いつも通り、柊の頭を撫でる。心地良さそうに目を閉じる彼女。
待ってくれ、そろそろ俺の心臓が爆発してしまいそうだ。
「……うん」
上目遣いで囁くように言った柊。
あーどうしよう、もう無理すぎる。可愛い。世に言う『溺愛』ってやつになってしまいそう。
しばらくされるがままだった柊は突然我に返って、
「じゃっじゃあ私、お母さんに知り合いの家に急遽泊まって勉強教えてたって嘘ついてたから、そろそろ帰るねっ!」
と言って、置きっ放しだったお粥のお椀を片す為慌ただしく走っていく。
この時間が終わってしまうのが寂しかった。だからって呼び止める訳にもいかなくて、またソファに凭れ掛かる。
でも、良い一日だったなぁと思い返す。考えてみたら、これって相当やばいやつじゃないのか? ……いや、考えないでおこう。
「じゃあね! 家族の人とかに連絡して、一人にならないようにね!」
ただ少し走っただけなのに息切れしている柊は、咳き込みながらそう言う。そんなところでさえ可愛いと思ってしまう。
「ああ。ありがとな、柊」
別に誰にも連絡するつもりないけど。まだ恥ずかしそうにしている柊は、リビングを出て家を出ようとする。
出ようと、した。
ピーンポーン
家の中に間抜けな音が響いた。土曜日のこんな時間に何なんだよ。
休みの日に訪ねてくるのなんて、蘭くらいしか——。
「蘭です。一人だけ家に取り残されてるっておばさんから聞いたんだけど、流星いる?」
インターホンから聞こえるその声になぜかいち早く反応した柊。すぐにドアを開け放つ。
——その先には、突然の来客。
「……百合?」
「——蘭ちゃん⁉︎」
同時にお互いの名前を言い合った二人は、顔を見合わせて俺を見た。
「……は?」
◇◆◇◆◇◆
「そういうことか……」
未だに信じられない。これだけ説明されても、柊と蘭が
「てかさ、流星って家に一人でしょ? 体調治ってないならうち来る?」
「……お言葉に甘えて」
どうせまた一人でこの家に居ても面白くないし、蘭の家のみんなは優しい。だからそう言ったのに。
少し傷ついた表情になった柊。
なぁ、何でそんな顔するんだよ。教えてくれよ。
「じゃ、行こっか。百合も一緒に来るでしょ?」
「……うん」
俺に気を利かせてくれたのか、そう言って軽やかに立ち上がる蘭。こんな幼馴染が居てくれて良かった、感謝しかない。
「——頑張ってね」
以前、柊とのことを相談した蘭は、俺にそんなことを耳打ちする。
意地悪なところもあるけれど、やっぱり良い奴だ。
照れ隠しに、歩き始めた蘭を思いっきり睨んでやった。
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