第一章
婚約者
第1話
「…ちゃ……お…て……お姉ちゃん!起きて!」
「ん…まだ、眠いー」
呼ばれて、目を開けようとするが上手く開かない。
「何言ってるの、もう朝だよ?学校遅れるよ?」
「もう8時だよ。私たち先に行っちゃうよ。」
なんだ、まだ8時じゃないか。ん?8時?
「もうそんな時間!?」
8時って8時だよね?
「どうしよう!?学校遅れる!初日から遅刻になる!」
初日から遅刻とか、問題児決定されてしまう。それだけは色々と面倒そうだから嫌だ。
「とりあえず、落ち着いて。深呼吸しよう。吸ってーはいてー」
掛け声に合わせて呼吸をする。
「どう?落ち着いた?」
「うん。」
「良かった。じゃあとりあえず、「「おはようお姉ちゃん。」」
可愛い!!
紹介しましょう!!って言っても誰に紹介するんだって感じだけど。
この二人は私の自慢の双子の妹で、身内が言うのもおかしいがとても可愛い。
黒髪を後ろで綺麗に束ねているのが天沢結(あまさわ むすび)
色素が薄めの髪で、緩くカーブのかかっているのが天沢紬(あまさわ つむぎ)
「おはよう!!」
そういいながら2人をぎゅーっと抱きしめる。
思わず抱きしめたくなる可愛さだ。
「お姉ちゃん、恥ずかしいよー。」
「ちょっ……離して……///」
上から紬、結の順番だ。
むーちゃんは少しツンデレで、どちらかと言うと無口な方で、双子のお姉ちゃん。
つーちゃんはおっとりしてる感じもあるけど、とても行動的で言葉足らずで誤解されやすいむーちゃんのサポートをよくしてる、双子の妹。
2人は対称的な感じがするかもしれないが、とても仲がよく、2人でお互いを支えあっている感じだ。
もう本当に誰に紹介してるんだよって感じだけど、聞いて欲しかったんだよ。うん。
抱きしめていた2人の顔をみると、2人とも照れながらも嬉しそうにしてくれてる。
「可愛いな、もう!」
「うん、そう言ってくれるのはすごい嬉しいんだけど、そろそろ行かないと本当に遅刻しちゃうよ?」
「あ!忘れてた!」
そう言われて、時間がないことを思いだす。
急いで、制服を着る。まだ、真新しくあんまり馴染んでない。ちょっと変な感じがする。
「お姉ちゃん、制服似合ってるね!」
そんな私の気持ちを読んでか読まずか、つーちゃんが褒めてくれた。むーちゃんも隣で小さく1回頷いてくれた。
もう!ほんとに可愛い!!
あ、いけない。時間ないんだった。そう思い時計を見ると、針は6時ちょっとすぎくらいをさしていた。
あれ?この時計がおかしいのかな?壊れてる?
「あのさ、この時計6時くらいをさしてるんだけど、今8時だよね?」
「ううん、6時であってるよー」
にっこり笑ってそういうつーちゃん。
「あれ?でもさっき8時って言わなかったけ?」
「うん。言ったよ。」
「でも、今6時なんだよね?」
「うん。」
どういうことだ?と思い首を傾げていると、
「お姉ちゃん8時とか言わないと絶対おきないでしょ。今日はおじいちゃんから呼び出されてるし早く起きないといけなかったから、嘘ついておこした。」
とむーちゃんが言う。
あ!そう言えば、昨日おじいちゃんに学校に行く前に部屋に来いって言われた、ような気がする。眠かったからあんまり覚えてないけど……
「でも、嘘つかなくてもいいんじゃない?私すごい焦ったんだよ!」
「...でも、そうしないとお姉ちゃん起きない。」
そうむーちゃんに言われて、思い当たる節があるのでなんにも言えない。
「とりあえず、お姉ちゃんも支度出来たしおじいちゃんの所に行こっか!」
確かにそろそろ行かないと、学校に間に合わなくなってしまうかもしれない。急いで着替えておじいちゃんの部屋に向かうことにした。
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