第5話

旦那に電話をしている若菜から目をそらすと、私は息を吐いた。


告白して振られたことが気まずくて、彼と一緒に仕事をするのが嫌だから、会社を退職した。


確かに、私は悪い子じゃないと自分でも思う。


多少のズルはしたけれど、今までまじめに25年間を生きてきたと思ってる。


ハローワークに2ヶ月通ったおかげで、すぐに次の就職先を見つけることに成功したのは、私が悪い子じゃないからと言う証拠だ。


来月からだけど、映画会社で働くことが決定した。


だけど、

「私は後何回、“悪い子じゃないけど”って言う理由で振られないといけないのかな…」


もう25歳だから彼氏が欲しい。


願わくば、結婚したい。


若菜の電話はまだ終わらないみたいだ。


「はあ…」


その光景を見るのがつらくて息を吐いたら、

「何かお悩みですか?」


どこからか聞こえた渋めの声に、私は辺りを見回した。

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