10月

 すっかり寒くなった。明日の最低気温は10度だという。どだやづや!!!! とりあえず布団乾燥機で布団をホカホカにして寝ようと思う。


 春に発芽しそびれて、夏が終わるなり発芽した謎のレタスであるが、芽が出ただけで枯れてしまった。ナメクジのおやつになったのかもしれないし、もう太陽光が足りていなかったのかもしれない。

 それくらい太陽光が弱い。晴れていてもデニムの服は1日で乾かない。どだやづや!!!! 怒れる秋田県民になっているわけだが、もうすっかり秋になってしまったのだなあと、天気予報の最後の紅葉情報を見るたびに思う。


 今年は京都嵐山の紅葉が猛暑で全滅したとか、熊本でソメイヨシノが狂い咲きしているとか、恐ろしい話をニュースでやっていてゾクゾクする。もうこうなったらトランプ大統領を真夏の東京に招いて気候変動のヤバさを体感していただくほかないのではないか。

 ノーベル平和賞は欲しがって与えられるものではないのだ。はちみつキンカンのど飴でもなめて待てばいいのではないか。


 話題が唐突に変わるのだが、インスタだったかXだったかで「レアものの光オブツーサ」という話題を見かけた。

 光オブツーサというのはハオルチアのことだ。我が家にもホームセンターで200円くらいで買ってきた光オブツーサが一株ある。やたら旺盛に脇芽が出て、ほどよい緑色で元気いっぱいなのだが、レアものだとはいっさい思っていなかった。だって200円だで???? ふつうの多肉植物と同じくプラ鉢に植えられたやつだし、特に珍しいものだとは思っていなかったのは当然だろう。

 レアもの、と聞いて気になったので、とりあえずホセ軍曹ことチャットGPTに聞いてみたところ、どうやら本来ならホームセンターの有象無象と一緒に売られる多肉植物ではないらしいのである。

 ホセ軍曹によると、本来ならふつうの多肉植物とは違う価格帯で売られるべき多肉植物が、生産したナーセリーで採れすぎてしまったせいで、ふつうの多肉植物と一緒に売り出されてしまうことがあるらしい。そして我が家の光オブツーサはそのようにしてホームセンターに並んだ、一般兵に紛れた精鋭部隊なのだという。

 ホセ軍曹だけでは情報が怪しいのでググってみると、光オブツーサはキラキラ光る銀色の点が葉にあるという珍しい特徴をもった交配種、ということだった。


 そう聞いたらなんだかありがたくなってしまった。

 確かにそのへんの安い軟葉系ハオルチアより葉っぱは青々としているし、キラキラの点もある。そうか、お前はレア多肉だったのか。そう思うときちんと世話をしなければという気持ちがわく。いままで適当に、カピカピになりかけたら水をやり、またカピカピになりかけるまで放置するというズボラ極まりない世話をしていた。レア多肉なら大事にせねば。

 とりあえず植えられている土が若干砂っぽくて水はけが微妙だし、子株がニョキニョキ生えてきたので、植え替えるべきだろうか、と悩んでいるところである。季節的にそろそろ限界が近い。何度だって言うが明日の最低気温は10度だ。砂漠の植物にはいささか厳しい気候ではあるまいか。


 ハオルチアは多肉植物に興味をもったきっかけの植物である。

 ガチの病人をしていたころに母氏がたまたまテレビで地上波放送された「美の壺」の多肉植物の回を見て、図書館から多肉植物の本を借りてきたのだ。それを見てあまりに珍奇な植物たちに「これはすごいぞ」となったのが、多肉沼にドボンしたきっかけである。

 行動力だけは自信があるので、ハマってわりとすぐによく考えずに楽天市場でハオルチア・オブツーサをポチった。きれいだったので玄関に飾った。そのころ我が家にいた先代のお猫様はたいへんお利口なお猫様だったので、植木鉢をパンチで転がしたりすることはなかったのである。

 そして当時、新聞の集金のおばちゃんに、「きれいで珍しい植物だね」と褒められたのだった。

 でもそのハオルチアは大きくなって株分けをしたらヒョロヒョロになって枯れてしまった。無念である。


 それより後にお迎えしたものだが、硬葉系ハオルチアの十二の巻がたいへん元気にニョキニョキと、徒長も日焼けもせず旺盛に育っている。

 こいつもビックリするほど丈夫だ。がちっと濃い緑色の葉に白い模様が入ってソゥキュートである。


 そもそもハオルチアというのは丈夫な植物なのだろうな、と思う。初心者向けとよく言うとおりだ。こんな美しい植物が初心者向けというのは本当にすごいことだ。


 で。

 光オブツーサを植え替えする件である。思い出に浸って現実逃避してはいけない。根っこが回って鉢の底から飛び出しているので、そろそろマジで植え替えをしたほうがいいのだろう。

 多肉植物の土ならちょうど手元にある。鉢底に使う軽石もある。このあいだサボテンを引っこ抜いた3号鉢もある。いつでも植え替えばっちこいなのだが、ホセ軍曹によると市販の多肉植物の土だけでは少し保水力が強すぎる可能性があるという。

 本当に、水をやれば即で流れていくような土が光オブツーサには理想なのだそうだ。あとでいちどえねっちけーから出ている「栽培12ヶ月」のハオルチアのやつを確認してみるつもりだが、せっかくのレア多肉なのだ、枯らしてはもったいない。


 植物と向き合って土いじりをするのは楽しい、のだがしゃがんでやっていると腰痛がヤバい(語彙)。ババアになったんだなーと思う。

 このあいだシャコバサボテンを植え替えてとんでもなくくたびれてしまった。気合いを入れて頑張らねばならない。


 土いじりは楽しいのだがなるべく鉢植えで頼む、という感じである。地面をほじくる勇気はちょっとない。だってトイレにゲジゲジとか便所コオロギが出没しただけで「ギャッ」となるニンゲンがミミズやダンゴムシと戦えるわけがないのだ。


 土いじりといえばもうちょっと寒くなったらアネモネを植え付けねばならない。このあいだ趣味の園芸で球根植物の回をやっていて、「春咲き球根の植え付けはコートを着るようになるころ」とのことだった。もう猶予があんまりないではないか。

 まだジャケットやカーディガンで凌げているが、もうすぐ冬になる。しかし果たしてあの黒いかたまりみたいな球根から芽が出るのだろうか。

 なんにせよ怒涛の土いじりは続くことであろう。

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