第17話 貴方の仕業なのでしょう?
「――貴方の仕業なのでしょう?
「ん? 何のことだい
「……分かってるくせに」
それから、数時間後。
その目をじっと見つめ尋ねてみるも、きょとんとした表情で尋ね返す美形教師。いや、分かってるくせに。ほんと、白々しいことこの上ない。
ともあれ、そんな(どんな?)私達がいるのは屋上。およそ一ヶ月ぶりに、あの閑散とした屋上のベンチにて昼食を共にしているわけで。うん、やっぱり落ち着くなあ……先生の隣は。
――まあ、それはともあれ。
「……私に対するクラスメイトの視線が、私の想定していたものとは大きく異なっていたのですが? 最初に入室したあの時も、その後もずっと」
そう、再び彼の目をじっと見つめ告げる。尤も、想定と異なっていたというのは、決して悪い方にというわけではなく。
……正直、覚悟はしていた。中学の頃のような、嫌悪や恐怖といった負の感情を四方八方から向けられる覚悟はしていた。それでも、彼が――由良先生が傍にいてくれるならと、どうにか恐怖を抑え教室まで足を運んだわけで。
――だけど、違った。何と形容すれば良いのか、私自身定かではないけれど……恐らくは、困惑。私に向けられた視線の多くは、困惑のような感情を孕んでいて。中には、逡巡しつつも私のもとへ訪れ称賛の言葉をくれた生徒まで。そして、その理由は――
「――もう一度尋ねますが、貴方の仕業ですよね? 恐らくはクラスメイト全員が、例の件についてご存知なのは」
「……別に、僕は何もしてないよ」
そう尋ねると、仄かに微笑みそんな答えを返す由良先生。いや、もうその返答だけで自身の仕業と言ってるようなものだけどね。例の件としか言ってないのに、しっかり伝わってることも含めて。
さて、何の話かと言うと――以前、私は一人の男性を助けた。……まあ、助けたなんて自分で言うことでもないけど……それでも、あの時手を差し伸べなければ――応急処置をしなければ、あの男性の命が助からなかったかもしれないと救急隊員の方々にも言われたわけだし。
――時は、一ヶ月ほど前に遡る。
――ただ、宛もなく街を歩いていた。まあ、それも当然――今は、平日の午前中。当然ながら、高校生たる私は学校にいるべき時間なのだから。
だけど、どうしても
そういうわけで、校舎へ足は向かず……さりとて、事情の知らない父に心配をかけるわけにはいかないので、夕方頃――平時の帰宅時間くらいまでは、どこかで時間を潰す必要があるわけで。……ところで、心配をかけないようになんて言ったけど……後から思えば、ただ打ち明けるのが怖かっただけかも。
ただ、それはそれとして……怖かったと言えば、もう一つ。と言うのも……私は平時の通り学校に行っていることになっているので、当然ながら服装は制服――そして、本来学校にいるはずの時間に
『…………ん?』
そんな警戒の
『……っ!!』
直後、ハッと息を呑む。注視していた男性が、不意にバタリと倒れたから。考えるより前に、身体が動いていた。俄に周囲が騒がしくなる中、一目散に男性のもとへと駆け寄る。そして――
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