凱旋式の後のお茶会

「と、こういう事情があって私はアンヌマリー様の教会での謝罪を知ったわけです。

本当は私が実際に見た訳ではなかったのです……申し訳ありません」


大観衆の中でのプロポーズの後、はい直ぐに結婚ですよ〜となる訳もなく、その場は婚約を王家の前で誓い合うことで解散となった。


リリアーテは本来ならば聖女として王家の預かりになる予定だったのだが、本人の希望により自分の部屋があるトネーズ子爵家へと帰っていったのである。


そして、数日の後に改めて話をしたいということで、リリアーテとその主人であるフランソワを招いてお茶会を開いたのであった。


2人の話というのが、過去に私を覗き見していたことへの謝罪であった。


また、上記の話のように凱旋式で私が人知れず謝罪していたのを見てきたように話したが、実際にはフランソワが確認したのをオリジナルの映像魔法というもので再現したものを見ていたという話だったのだ。


「その映像魔法というものを見せてもらっていいかしら?」


「はい、それでは失礼します」


フランソワがそういうと、3人で囲んだテーブルの真上に液晶画面のようなものが浮かぶ。


そして、そこで流れ始めたのは先刻の凱旋式の様子であった。


「よりによってこの場面なのね」


「リリアーテの晴れ姿を残さなければと奮起しましたので」


「フランソワ、ありがとう!」


「貴女達って本当に良い友人なのね」


「私が愛しているのはアンヌマリー様だけですからね、あっいた!!」


「凱旋式であれだけのことをやってのけたんだから、そこを疑う訳ないでしょ」


「うふふ、本当にお似合いの2人ですわね」


慌てて釈明しようとするリリアーテの額を人差し指で弾く。


その様子をフランソワは楽しげに見つめていた。


「ふむ……」


そんなフランソワの顔をじっと見つめる。


「なにか?」


「あ、アンヌマリー様でもフランソワはあげませんからね。

私の大事な親友なんですから!!」


「別に貰おうなんて思ってないわよ。

でも、リリアーテの親友なら私とも友達になってくれるわよね?

勿論、家柄の付き合いは抜きで」


「ええ、喜んで!」


私が差し出した手をとても良い笑顔で握り返すフランソワ。


それにしてもフランソワか……彼女のような存在に気付かなかったこと自体、在学中の自分の視野は狭かったのかと反省するのであった。

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