第83話 お部屋と雑談配信


今日のお部屋は和室。

大きなお布団に枕が2つ置かれている。


〝旅館の人は分かって居る〝

〝同性、一つ屋根の下、何も起きないはず?( ,,`・ω・´)ンンン?同性?〝

〝↑同性でも何かは起こるやろww百合を信じろ〝


『わー、旅館の人、一つの布団にしちゃたみたいだね、今布団増やして……』

「私は別に一緒に寝ても問題ないし……」


受付に電話をしようとするサトちゃんの浴衣の裾をシオちゃんが引き留める。

顔の一部は、正体を隠すために黒い目線が入っているが、頬を少し赤く染めながら物憂げな姿は、一部の視聴者の性癖に刺さる。


〝シオちゃん、そんな表情かおされたら〝

〝あ、あ、もう我慢出来ないわ。ヤルヨ、ヤルヨ〝

〝視聴者の方が振り切れてて草ww〝


受付に電話をしなかったサトちゃんは、和室の窓際に向かうと椅子に座る。


良く旅館の窓際に畳とは違う、椅子とテーブルが置いてある空間。あのスペースには名前があって、広縁ひろえんと読む。


『和室の窓辺のこの椅子が有る空間好きですね』

「そうなのかなぁ?自分は旅行とか行った事無かったから分から無いな」

『これから、シオちゃんは色んな所に行くことになりますからね』

「あ、そうだね、こんどツアーで色んな所に行けるからね!」


〝え、どういうこと〝

〝ツアーまじでツアー来ちゃう?〝

〝何処に来るのかな?楽しみやなぁ……〝


『ツアーは武道館ライブ後で、仙台、静岡、名古屋、大阪、神戸、福岡です』

「全部で今の所は6都市の予定だよ」


〝ワイ、全部のライブに行くことを決意〝

〝武道館ライブは、もう大成功確定っということですね〝

〝静岡が入ってて草www〝


「なんだっけ?たしか静岡は、トヨハラさんの高度ななんだっけ?」

『高度な政治的な判断って言っていましたね?』

「自動車業界って良く分からないけど、大人って大変なんだよな」


この世界において、トヨハラとスズキンは仲が悪い。

販売している軽自動車の層が重なっている事もあるし、静岡県は自動車部品一大生産地域であり製品購入網サプライチェーンが被っておりバッチバッチの喧嘩をしている。


〝トヨハラがスズキンの城下町でツアーのスポンサー〝

〝ゴリゴリの宣伝工作してきそうww〝

〝同じ本社があるYAMAHANさんも巻き込まれそうやなぁ……〝


『あと、多くの人達から1stライブのように大きな会場に変更しないのですか?って聞かれますが、変更予定は無いですね』

「2nd,3rdライブは予定通り、1500人位の会場でやるよ」

『パイプオルガンで有名な東京オペラコンサートホールだよ!宜しくね!』

「豪華な所で、通称ソロモンの間って言われるところだっけ?」

『その通りですわ』


多くの人達や各方面からもう少し大きな会場で出来ないのか?と意見があった。

しかし、スタープロは断った。


1stライブは、他の同業2社からの嫌がせのような介入で突然会場が変更された。会場の変更は、チケットの再発行や色んな事を変更する必要が出て来る。


2ndライブと3rdライブのスパンが2週間と非常に短かくスタープロ単体では、対応が難しいというのが建前。

本音は、一度で世論に押されて要求を飲むと更に世論を動かされて、次の要求をされる為に断ったのだ。


また、スタープロは最初からチケットを買ってくれた人達を大事にするという思いが有り、少ない人数でライブをすることにした。


〝あのパイプオルガンで有名な所か!〝

〝行ける子たち羨ましいな〝

〝配信とかしてくれないのかなぁ?〝


『今回はネット動画大手のワラワラ動画さんのみです』

「トヨハラさんが、無料配信でCM無しにしてくれたよ!」

『これで、現地に行けない人達も見れますね』


ただ、抽選に外れライブに生きたくても行けない人達のことも鑑みて、無料動画配信をすることに決めた。

そして、ライブの一体感を感じして貰うためにCMを無しにしたのだ。

トヨハラの社長は、サトちゃんの中の人がルミだと知っており色んな損得を考えCM無しでもスポンサーになる事にしたのだ。


〝トヨハラさんありがとう!〝

〝スピード狂でなければまともな人だと思っていました(手のひら返し)〝

〝ワイ、スズキン社員どういう顔で見れば良いの?〝


トヨハラしてみれば、サトちゃんが「トヨハラさんが無料配信してくれる」と1億数千万人が居る配信で言って貰うだけで、トヨハラの目的は完了したのだ。

つまり、お金を掛けて自分達がスポンサーっていう事を宣伝アピールしなくても一人の人間アイドルが言葉を発するだけで、高額なスポンサー料が不要になるのだ。


『シオちゃん、もうそろそろ寝ましょうね』

「そうだねサトちゃん」


2人の少女達は、布団に入るとあっという間に夢の世界に旅経つのであった。


次回 第九層攻略①

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