悪役令嬢に転生したけど死にたくないので、死亡フラグを回収していきます!
夏のこたつ
プロローグ 残業地獄から脱出
今日もまた残業、残業、残業、残業・・・・・・・・・。
今年で二十五歳になった私、
最初の方はまだマシだった。だけど入社してから一年目には残業により深夜まで残ることが多くなっていき、三年目の今では徹夜なんて当たり前というレベルにまでなってしまった。
「はぁ・・・・・・今日はいつもより早く終わった・・・」
パソコンの電源を切り、椅子の背もたれに体重を預ける。
暗くなったパソコン画面には、すっかり隈が濃くなってしまった私の顔が映っている。まるで死人のようで、笑えてきた。
今の時刻は深夜の二時半。いつもは徹夜とか、早くても三時なので今日はマシな方だ。
私は鉛のように重い体を動かして、会社から出た。
家まで歩く気力もないのでタクシーに拾って帰る。乗ってきた私の酷い顔を見て運転手さん、すっごくビックリしてたなぁ・・・・・・私もこうなるとは思ってなかったし。
運転手さんにお金を払って、マンションの自分の部屋に帰る。
「ただいまー・・・って、誰もいないわ」
そのまま私は、自分の寝室にある大きいベッドにダイブする。
私の一人暮らし祝いで、両親が買ってくれたベッドだ。布団の中に潜ると、まるで抱きしめられているような暖かい感覚により、眠気が急激に襲ってきた。
ご飯を食べなきゃとか、お風呂入らなきゃとか思っても、もうここから出たくない。
アラームを六時半に設定して、私はそのまま眠気に従い目を閉じた。
ふと、眠っていた私は、目が覚めた。目を開いて、天井を見上げる。
「・・・・・・・・・はぁ!?」
私の視界に映った天井は、私が知る寝室のそれではなかった。
お姫様ベッドと言うのだろうか、高級そうな半透明の水色のレースがついたベッド。天井は白と金色で統一されており、厳かな雰囲気があった。
「ちょ・・・!ここ、ど・・・・・・・・・」
急いで体を起こして自分の体を見てまたもや驚く。
私の体はこれまたとても高級そうな薄い水色のネグリジュに身を包んでいた。
まるでアニメとかで見るその格好に目を見開きながら、私はベッド横にあるドレッサーの鏡の前に立った。
「嘘・・・・・・・・・」
――――――そこに映っていたのは、目を見張るほどの美少女だ。
肩で綺麗に揃えられた光を反射する美しい白髪に、まるで宝石を嵌めたような輝きの群青色の瞳。雪が溶け込んだと思い込ませる程白く、透き通った肌。
あらゆる芸術家も絶賛するのではないかと思える、綺麗な女の子だった。
「もしかして・・・私?」
まだ驚きから抜け出せない私は、試しに頬に手の平を当てる。すると、鏡の中の私も同じように頬に手の平を当てていた。
なんで?さっきまでマンションの、自分の寝室にいた筈なのに。
それにこの女の子・・・・・・知ってる。
「アレナだ・・・・・・」
残業地獄であった私の一日の唯一の楽しみだったスマホゲーム『聖女になり人生謳歌』。
プレイヤーは主人公であるルナを操作して、人々の危機を救っていき聖女になるために奮闘する今、大人気のゲームだ。ゲームにはイケメンキャラも多くて、愛され要素も多く含んである。
そして、そのゲームには『悪女』と呼ばれるキャラが存在する。
それがこの、アレナ・マスカレードだ。
アレナは活躍して色んな人に愛されるルナに嫉妬して、彼女に色々と酷いことをする。だが、アレナは最終的には死亡という結末を迎えてしまうのだ。
「もしかして・・・転生?」
働きすぎて過労死ってこと?そのまま、アレナに転生しちゃった?
有り得ない話ではあるけど、もうそれ以外可能性はない。
私は・・・・・・自分が大好きなゲームの悪役令嬢に転生してしまったのだ。
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