第2話

 階段を下り終わりて新しいフロアにつくと階段がすぅーと消えた。

「え、えーーー!」

 どうやら後戻りが出来ない仕様になっているようだ。熱源探知に三体、部屋の奥にいるみたいだ。ようやく、熱源探知が役にたった。

「さーて。どんな敵がいるのだろ」

 興味本意で部屋の奥にいくと緑色の肌をした小人がいた。戦闘態勢に入り、剣を構えた瞬間。奴らは、此方に気付き、俺を見るなり、怯えた様子で一目散に逃げた。

「えー。マジ。追いかけるか」

 熱源探知の範囲外まで、逃げたらしく。ゆっくりと追う。

 壁の向こうで熱源探知にさっきの小人だと思われる三体の他にやたら大きな反応がある。

 ゆっくりと覗くとさっきの小人たちと一回り大きい小人がいた。

 今度は驚かせないのように武器を構えずコミュニケーションを取ってみよう。

 結果はダメだった。

 近づいただけで攻撃してから反撃した。

 先行して襲いかかった小人は、剣を軽く振り下ろしただけで左右半分に割れ、その光景を目の当たりにした小人達は一目散に逃げ出した。 

「よわ」



 天界では、とある天使が飛び回っていた。

「神様。どこですか!!」

 慌てたようで神様を探していた。他の天使に聞いて回るが神様の居場所を知る者は居なかった。

 何かを思い出したようで、神殿のさらに奥にある部屋へと飛んでいった。

 直径十メートル位はあると思われる地球儀の足元で作業をしている神々しい女性がいた。

「・・・ここがこうで・・・早くバグどうにかしないと・・・また魔王生まれる。どうにかしないと。」

 天使はノックもせず部屋に入ってきた。

「かーみーさーまー。居られますか!!」

「No.2か。どうしました?」

 神々しい女性は手を止めて天使のもとへと駆け寄る。息を切らしていた天使は、大きく深呼吸して真剣な顔した。

「下級神の試練場。第一層がクリアされました。」

「あっそう。私は作業に・・・今なんて?」

「下級神の試練場。第一層がクリアされました。」

 しばらく沈黙が訪れた。

「え。それはホント?」

 天使は、タブレットを神に渡す。神は、タブレットの履歴を追う。徐々に青ざめていく。神はタブレットを天使に返す。神は頭を掻く。

「あーなんで色々と問題が発生するのよ」

「もしかしてこれ以外にも問題が?」

「えー。そうだったけど。一様、解決しそうだわ。そいつをどうにかすればの話だけどねぇ」

「それはどういうことですか?」

 神は地球儀をちらっと見て。ため息をこぼした。

「そいつが異物。イレギュラーよ。」

「では今すぐに対処をしてきます。」

 天使は、部屋を立ち去ろとするところを神は止めた。

「ちょっと待ちなさい。そいつの対処はもー無理よ。」

「え?どうしてですか?」

「それはねぇ。今。そのダンジョンには手出し出来ないよ。そいつが歴とした挑戦者として認められてるからよ。」

「ですが彼はアンデッドなんですよ」

「それはわかってるけど。クリアされると思うよ。けど下級神にすらなれないはずよ」

「このまま。見守るつもりですか」

「・・・それしかないわ。それにそいつから邪悪な気配もないし。・・・まぁ二柱目の魔王になるとは思うけどねぇ」

「不味いじゃないですか!!」

「大丈夫よ。魔王になっても世界を滅ばないわ。きっとねぇ」


 

 俺は、今、小人たちと楽しい鬼ごっこをしています。

 鬼である俺に捕まったら容赦なくスパーンと斬り、倒します。


「まーてー」


「「ギャアアアアアアア!!」」


 小人たちは悲鳴をあげて必死に逃げ回ります。

 一体の小人は、つまずき、顔面から派手に転んだ。他の小人たちは、一瞬足を止めたが俺を見て、転んだ小人を見捨て逃げ出す。俺は、何の躊躇もなく、小人にトドメをさして、魂を喰らい、逃げた小人たちを追う。

 追いかけている小人たちの背中がみえた。


「まだ、鑑定していなかったな。」


 種族【ゴブリン】

 Lv .10


「あれ?俺よりレベル高いのに弱いなぁ・・・まぁいいや。あいつらスライムよりうまいし狩り続けよう」


 俺は、追い抜かしざまにゴブリンたちの首を切り落とす。

 熱源探知にまた、ゴブリンと思われる反応が多数ある。俺は、反応があった場所に向かった。

 そこには、ゴブリン十数体の群れが待ち構えていた。

「おいおい。いくら弱いとはいえ、この量は・・・でもやってみますか!!」

 戦闘体勢に入った瞬間。石ころの投擲による後方から牽制攻撃を盾で防ぎ、前に出ようと動くと前衛二体による棍棒の連携攻撃。

 連携攻撃を盾と剣でいなし、よろめいた所をすかさず刺し殺す。もう一体に斬りかかるがゴブリンの後方から投擲に支援で思うように攻撃が出来ない。

 しかも、すでにゴブリンたち囲ませて退路するも失った。

 背後から棍棒で後頭部を殴られ、よろめいた瞬間。右足を折られ、その場にダウンした。なす術もなく。仲間の恨みと言わんばかりに袋叩きにされた。最終的には、粉末にされた。さすがに、数の暴力には勝てなかった。

 復活するとゴブリンたちは、すでに別な所に移動したらしく誰も居なかった。殺した筈のゴブリンの死体すらなかった。魂を喰い損ねた。悔しい。次は全員仕留める。

 スライムと違って奴らには知恵がある。確実に一体づつ処理しても行っても少しの油断で集団リンチあって殺される未来しか見えない。


「んー。どうするか。レベルアップして強くなったとしても集団リンチで負ける。何かねぇかなぁ」

 自分自信を鑑定し直す。

 

 種族【リッチ】

 名前【 】

 Lv .9

 スキル

 【魂狩りLv .3】

 ・鑑定・剣術

 【不死】

 ・強制復活・魔力感知・熱源感知・眷属召喚・眷属作成・覇気


「あるじゃねぇか。仲間を増やすスキル。眷属召喚と眷属作成。」


 俺は、早速、眷属召喚をしてみる。


『眷属召喚に失敗しました』

「ですよねぇー。そう簡単には行かないですよねぇ」


 続けて眷属作成だ。

『眷属作成に必要な素材がありません。』

「えー。これも失敗?マジかー。」

『眷属作成には、良質な死体が必要です。』

 

 死体か。単独行動しているゴブリン探して見るか。

 熱源探知を頼りながら単独行動しているゴブリンを探してみるがなかなか見つからない。

 何度か数体の群に挑むが仲間を呼ばれ集団リンチでボコボコに殺される。

 しかも徐々にゴブリンたちの連携の熟練度も上がっているように感じる。ヤバイな。単独行動してる奴に絞らんと負け続ける。

 隠密行動しながらほっつき歩き、やっと単独のゴブリンを見つける。やたら傷だらけで今でも死にそうな感じだ。

 ゆっくりと背後に近づき、心臓目掛け、剣を一突き。

「ギャアアアアアアア」

 苦痛な叫びをあげ、息を引き取る。

 これで素材が手に入れた。早速、眷属作成だ。

『眷属作成を開始します。素材を確認。新たに魂を作成します。レベル5ダウンします。・・・ゾンビを作成中。』

 身体に少し倦怠感を覚えた。

「レベルダウンは痛いぞ。でも戦力は増えた。」

 ゴブリンの死体が青く発光する。結構眩しいな。

「これでゴブリン共が来ないといいが」

『ゾンビ作成終了』

「うぁあ、あ、あ」

 全く覇気を感じないうめき声。先まであった傷はなくなったが緑の肌は、血の気のない黒板のような深緑の肌になっていた。

『名前をつけますか?』

「・・・名前か。んーどうしようかねぇ。じゃー。ゴブリンのゾンビだから『ゴブゾ』にしますか。」

『名もなきリッチにより、ゾンビは、『ゴブゾ』の名を得ました。名を得たことによりゴブゾは、進化します。』

 凄い倦怠感が俺を襲い。立っても入られなくなりその場に座り込む。ゴブゾは再び青く発光する。

 この姿になって初めての急な強い眠気を感じ、俺の意識はそこで途絶えた。目を覚ますと寝る前までいたゴブゾの姿はなく、代わりに額から一本の角が生え白髪の天然パーマでルビーのような赤い瞳。顔は、ムカつくほど整っている、二十歳ぐらいの凄いイケメンが真っ裸で立っていた。

 しかし、変態な彼からは何の敵意を感じない。

 

「マスター。起きたのですねぇ」

 声優さんみたいに声がいいとかさらにムカつく。

「・・・。誰や」

「マスター。酷いですよ。私ですよ。ゴブゾです!!」

ゴブゾと嘘をつく彼は、今にも泣きそうな顔をしている。

「そんなわけないだろ。あいつは、ゴブリンなんだぞ。お前みたいなイケメンじゃない!!」

 ゴブゾじゃなかったら滅多刺しにしてやる。とりま、鑑定を。

  

 種族【ゾンビ(鬼族)】

 名前【ゴブゾ】

 Lv .10


 ・・・。ゴブゾでした。え?まじで全然見た目も違うぞ。

「え?ゴブゾなの?」

「そうですよ。マスター。」

 俺が困惑しているにも関わらず胸を張り、ドヤ顔をするゴブゾに少し腹が立つが眷属として愛着もある。複雑な気持ちだ。でもイケメンなのは、腹が立つ。

「マスター。私がゴブゾです!!」

 なんだろう。この苛立ちは、あれか。こいつがイケメンだから。そういうことにしておこう。

「んで、何で見た目が変わっている!何で会話が成立しているんだよ。俺、スケルトンだ!。声帯とか無いんだぞ!!」

 質問攻めにあったゴブゾは、少し困惑している。

「えっとですねぇ。まず、私たち、モンスターは名を得たことによって存在が世界に認知されたことによって進化をします。それとは、何故、マスターと会話ができるのかは、私にもわかりません!!」

「そーか。ん?レベルで進化するんじゃないのか?」

「レベルって何ですか?」

「ならいいや。」

「そうですか」

 え。知らない。どういうことだ。俺は、レベルがMAX以上になって進化をした。でもゴブゾは、違う。俺から名を得たことによって進化した。じゃーこのレベルって、何だ?。悩んでても仕方ない。

 ゴブリンたちの殲滅じゃい!!。ちょっと待てよ。ゴブゾは一様、ゴブリンだったわけだし抵抗あるのか。

「今からゴブゾの同族?を殲滅しに行くけど大丈夫?」

「はい。むしろ、大賛成です。いじめたやつらを・・・。ふぅううう。」

 ゴブゾは、相当、いじめられていたのだろ。ゴブゾは、不敵な笑みを浮かべていた。

 熱源探知に近づいてくるゴブリンらしい者たちを察知した。ゴブゾとの初戦闘だ。少し、ワクワクしている。

「さぁー。ゴブゾ。初戦闘だ」

「はい!」

 ゴブリンは三体。ゴブゾは発見するなり、高速で近づき、ゴブリンの顔面に振りかぶって殴る。ドーンと音と共にゴブリンの頭は、なくなっていた。

 ・・・はい?。腕力凄い。・・・。あいつらもレベル10だよな。

 俺が啞然としている間にゴブリンたちは、頭のない死体になっていた。

「ゴブゾ。・・・かなり強いね。」

「そうですか?」

「それとゴブリンのズボン穿きなぁ」

「あ、はい。」

 俺たちは、次にゴブリンを倒していった。

 そして、ようやく、この階層の階段のあるフロアについた。その階段を守るように不気味なオーラを纏うゴブゾに似た鬼が太刀持って仁王立ちしていた。

 ゴブゾは、殺気をやつに向けていた。

「あいつとなんかあった?」

「いえ、あいつは、ゴブリンの親玉です。」

「そーか。・・・やるぞ。」

「はい!」

 ゴブゾは、返事ともに鬼の顔面目掛けて走り出す。鬼の顔面にクリティカルヒットしたと思ってたが鬼は、余裕そうに片手でゴブゾの拳を止めた。はっとするゴブゾは、何度も全力で殴るが片手で簡単に防がれる。


 種族【鬼】

 名前【シュラ】

 Lv .???

 

「また、鑑定不能かよ!」

 俺も攻撃に加わるが余裕に防がれる。

 鬼は、俺たちを太刀で吹き飛ばしてゴブゾの頭をつかみ持ち上げ、苦しむゴブゾ。掴まれながらも反撃するが意味をなさない。

「離せ!この野郎!!」

 俺は、鬼に斬りかかろうと振りかぶった瞬間。ゴブゾの頭を握り潰した。

 血に染まった鬼の手を見つめる。

 ・・・はぁ?。・・・。ゴブゾ。・・・。

 「うぁああああああああ」

 膝から倒れ込んだ。

 鬼は、絶望する俺を見て高笑いをする。

 怒り。悲しみ。絶望。一瞬で俺の魂は、どす黒い感情で染まり。奴を殺せと心が訴えてくる。

『負の感情を一定量、確認しました。条件が達成されました。スキル【不死】に死の魔術が追加されました。』

「なんだっていいや。奴を殺せば」

 鬼は、ゆっくりと俺に近づく。

「・・・死の魔術・・・。」

 黒い霧のようなものが唐突に現れ大鎌の形に成していく。鬼は、何か察知したらしく一歩、大げさに下がった。

 頭の中に『死を告げる大鎌デスサイズ』と浮かんだ。

死を告げる大鎌デスサイズ

 漆黒に染まった大鎌は、実体化して取れと言わんばかりに浮いている。俺は、立ち上がり、剣を投げ捨て、躊躇わず大鎌を握る。すると内から凄い力を感じる。

「そうか。これが本来の俺の武器か。・・・やるか」

 俺は、大鎌を軽く振る。鬼も太刀を構え、技を放とうとしている。

 手に吸い付く感覚。あーこれなら。戦える。

 太刀の刃が上段から俺に迫るがやたら遅く感じる。俺は、大鎌を鬼の腹目掛け振るう。すぅーと通る。何かに引っかかるがそれも簡単に切れた。鬼は、腰から上半身が滑り落ちる。

 大鎌は黒い霧となって霧散した。

 鬼から魂が現れる。その大きさは、バスケットボール並みだ。手で取るとずっしりと重い。一口齧ると肉のようにジューシーだった。旨いはずなのに美味しくない。

『眷属召喚が使用可能となりました。』

「まさか」

『眷属召喚を開始します。周囲の死体を素材して使用します。・・・ゴブゾを召喚します』

 鬼とゴブゾの死体が青く発光して集まり、鬼が持っていた太刀を携え紺色の着物を着たゴブゾが現れた。

「ゴブゾ!!」

『マスター!ただいまです!』

 俺たちは、握手を交わす。


 改めて俺たちを鑑定する。

 

 種族【リッチ】

 名前【 】

 Lv .20

 スキル

 【魂狩りLv .3】

 ・鑑定・剣術

 【不死】

 ・強制復活・魔力感知・熱源感知・眷属召喚・眷属作成・覇気・死の魔術(死を告げる大鎌デスサイズ


 種族【ゾンビ(鬼族)】

 名前【ゴブゾ】

 Lv .12

 

 俺たちは、階段を降り、次の階層に向かった。


 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る