第2話 虫の世界
数週間経ち、信介はこの世界のことが少しづつわかってきた。
彼がわかってきたことを例に順番にあげてくとまず人間がしていたことはすべて虫が代わって行っているということ。いかにも自然に。
例えばアリは大体が企業に勤めていて、彼らの家はたいてい団地でアパート住まいだ。母は女王アリというわけではなく一般の単体家族をいとなんでいた。バッタやコオロギは郵便配達業。信介の家族ももれなく全員コオロギ化していた。コオロギの中でもオスの平たい顔が特徴的なハラオカメコオロギである。
ハラオカメコオロギはコオロギの中でも飛べる種なのだが大人になってしばらくすると飛べなくなってしまうらしく、なんともむなしい虫になってしまったと信介は思った。虫ならトノサマバッタとかカブトムシとかもっとかっこいいのがよかった。だが信介がもう一つなりたかったと思った虫がいた。アリだ。
この世界ではみんなが人から虫に変わっているためすべての虫のサイズがみんな同じなのだ。先日の朝会で担任の先生が生徒の横に並んでいるとき彼の好きな先生がちょうど二人並んでいたのだがアリの竹内先生とカブトムシの鈴木先生とでは明らかにアリの竹内先生のほうがかっこいいのだ。頭の触角がゆらゆらしていて運動慣れした立ち振る舞いと三対の腕組みが超COOLだった。
いつもはちょこちょこと群れて移動しているアリが他の虫と同じサイズで、一匹になったとたんにこんなにも頼もしくなるとは、と信介はコオロギながらに感じた。
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