第17話

「相変わらず秋葉のゲーセンは商品が頻繁に変わるね」


「まぁその時が旬のアニメはよく変わるからな」


まぁ系統は似たようなアニメが多いが。それはアニメを好んでいる層が大体好みが一緒ってことだろう。たまに面白くて、斬新な展開をするアニメがあったりするが。そいうのは面白いから売れているんだろう。たまに面白くなくても流行がそれだから、アニメ化するっていうのもあるが。俺は基本的にはやりものはあまり見ない。現役高校生で、それなりに充実してるから、異世界に憧れはないからだと思うからだ。まぁ面白ければ流行ものも見るがな。


るなもはキョロキョロしながら、パンダのぬいぐるみを探していた。俺はほしいフィギアを探しつつ、パンダのぬいぐるみを探す。ある一角にパンダのぬいぐるみを見つけた。


「るなも見つけたぞ」


「え、どこ?」


「前方にあるやつだ」


俺はパンダのぬいぐるみがある方を指差した。あのパンダそこそこ難易度高そうだが、わっかに通すタイプだから、取れなくはないだろう。重すぎなきゃちゃんと通っていれば持ち上がるし。


「ほんとだー。すごい可愛い」


るなもは目をキラキラさせた。その表情もいいな。アイドル級の可愛さだ。絶対に俺はパンダのぬいぐるみを取ってやると決意しながら、100円玉をいれた。


俺は少しづつパンダのぬいぐるみを出口に近づけていく。重量があるから、わっかに通しても遠いと落ちる可能性があるからな。だから近づけてから、わっかに通し取りに行くのだ。るなもは真剣な眼差しで、ユーホーキャッチャーを見ている。


「後もう少し」


るなもはそう呟いた。るなもの喜ぶ顔が見たい。その一心で、集中力を増させて、タイミングを計る。


そしてこのくらいの距離なら取れると思った瞬間、わっかにアームをいれて、取りに行った。するとアームにうまく引っ掛かり、出口で落とした。


「すごい取れたよ」


るなもは満面笑みになってパンダのぬいぐるみを愛おしそうに抱く。そのパンダのぬいぐるみもるなもみたいな美少女の物になるのはいいことだろう。るなもにいい思い出を作れたかな。


「ありがとね、隆景先輩」


「このくらいお安いご用だ。それじゃ他にもゲーセンでなにかやることがないか回ってみるか。俺から離れるなよ」


一人になった瞬間ここだとナンパされるからな。秋葉は美少女好きの集まりだ。同じ美少女のオタクがいたら、ワンちゃんあると思って、ナンパしてくるからな。


「分かってるよー。それで何をするの?」


「好きなアニメの缶バッチがあったから、それを取る予定だ」


「なんのアニメ?」


「魔法科高校だな。深雪の缶バッチがほしいんだよ。あの雰囲気がタイプでな」


深雪ほど上品さがある美少女はいないだろう。姉さんでも敵わないレベルだ。顔のタイプはるなもみたいな目が大きくて、ボブの髪型をしたタイプだが。可愛すぎて、萌えすぎちゃうくらいだ。


「深雪ちゃんねー。確かにあれほど上品なタイプはいないかもね」


まさしく天女といった感じだろう。ちなみにるなもは天使だ。るなもほど可愛い人は見たことがない。度々櫻坂のメンバーが家に遊びに来たりもしたが。それでもるなもがナンバーワンだ。


「それじゃ取るか」 


俺はユーホーキャッチャーの前に移動すると、100円玉を入れて、集中をしながら、分析していって、取りに行く。深雪の缶バッチは少し遠くにある。まずは出口に近づけてから、取るのがいいだろう。俺は少しづつ深雪の缶バッチを掘り出し、出口な近づけた。


「今だ!」


俺は深雪の缶バッチを掴み、そのまま出口に落とした。やっぱりユーホーキャッチャーは楽しいな。はらはらドキドキして、一瞬の集中力にかけるのが楽しい。


「おめでとう隆景先輩」


「まぁこのくらいならそこまで難易度高くないしな。それよりも気づいているか?」


明らかに下劣視線を感じる。これはストーかになるタイプの者だ。


「え?なんのこと?」


どうやらるなもは視線を浴びすぎて、気づいてないらしい。俺みたいにるなもやるんや姉さんといるときにしか視線を感じない俺には分かる。


「とりあえず人混みに紛れるぞ。そうすれば着いてこれないだろうから」


「ストーカーってこと?」


「そいうことだ。俺は視線には敏感なんだよ」


俺達はすぐにゲーセンをでて、人が多い場所にでた。すると視線は感じなくなった。よかったこれで、家まで特定されることはないだろう。るなもは男に襲われそうになったばっかしだ。これ以上心労を重ねてほしくない。


「撒いたかな?」


「ああ、視線は感じない。なんとかなったみたいだ」

 

「よかった。本当隆景先輩と来てよかったよ」


そうじゃなきゃと言って、るなもは震え出す。俺はそれを頭を撫でて、落ち着かせる。


「俺がいるうちは手を出させないから安心してくれ。るなもは安心してくれ」


さっきのストカーの視線堅気じゃない視線だった。もしかしたこの前のヤクザの関係者かもしれない。俺が転校する前に片をつけるべきか。


「うんありがとう」


そう言ってるなもは笑顔を見せる。この笑顔を俺は守りきる。例え相手がヤクザだろうとな。


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