仲間とヘルメットを信じて進め

ざら

食費ぷかぷか嬉しいね

「ちょ、あなた、一緒に病院行きましょう? ね? 辛いことでもあったんですか? 話聞きますから、

なぁんでヘルメット食べてるのォォオオオ!?!?」


 こっちの方が聞きたい。

「なんで食事してるだけで心配されまくるの……」

「「あんたが常にヘルメット食べてるからでしょうが!!」」


 よし、私が偉くなったら絶対に、ヘルメット食べてる人を見てもそっとしておけって言おう。


─────────────────

 我々ヘルメット至上教会は、ここから始まったと伝えられている。

 幹部は三人。


 サラ、当時21歳。優しいし常識があるが、理解できない出来事があるとすぐ絶叫する。当時は組長に病院に行こうとしきりに誘っていたようだ。


 マノ、当時11歳。何事にも動じないことを心がけているが、うまくいかないらしい。発言と態度とはミスマッチだが、常識がある。


 そして我らが教祖、エマ。当時、10歳。我らから見ても、変人である。


 昔は食用にされなかったヘルメットを食べ、布教したのだから、活気溢れる変人だったに違いない。

───────────────── 


「ねぇ、なんでヘルメット食べてるの?」

「病院送りになりますから、このままでは! 親御さんはどこですか? ちょ、話してる途中くらいはヘルメット食べないでよぉぉお」


 騒がしい。街の人は大体私を無いものとして扱うのに、なぜか二人が話しかけてくる。


 あ、ヘルメットがなくなった。出そ。もぐもぐ。

 人生で一番幸せ〜〜。


 でもそろそろもらいに行かなきゃ。出せる量にも限界があるから。

 よいしょっと立ち上がる。

 今日はどこをまわろう。中古のヘルメットを貰おうかな?


 一番おいしいのは自分で出してない新品のヘルメットなんだけど、貧乏な子供はつらい。

 まだ食べていないヘルメットを取り出し、見つめる。


「キミ、ナンカヘルメットダシイレシテナイ……?」

「そうですけど」


 中古二つとこれと引き換えて貰おう。

 そうと決まれば早速歩き出す。最近行ってないあそこにしよう。


 ヘルメットは戦いや馬に乗るとき、危険な場所などで、頭部の保護もしくはしきたりを守るという理由で使用される。

 生活の必需品なので、新品の需要も、中古品もたくさんあるのだ。


「そう、これはなんかとてつもなくすごいまじっくで、わたしはゆめを……」


 女性がなにか言っている。が、私に関係あるのかわからないので無視する。


「だいたい、へるめっとっておいしいんですか……?」

 しっかり女性を見つめ、言う。


「名前は?」

「え、私はサラです」

 よくある名前だ。


「私はエマ」


 そして、手に持ったヘルメットを差し出す。



「食ってみな、飛ぶぞ」

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