停滞した異世界でダンジョンを創る

冬斗

第一章 地盤を固めて

第一部 始まり

第1話 始まり

 塾から帰り、自分の部屋で寝た…筈だった。

目が覚めるとそこは自分の部屋ではなく、壁はコンクリ、床はフローリングの何処かの一室だった。


「ちょっっと待って。確かに寝た筈だよね?」

 徹夜して今日の模試のために勉強していたから頭がおかしくなったのかな?」


“あ、起きましたか?”


 何処からともなく、男か女か分からない、中性的な声が聞こえてきた。


“いやー。混乱してますねぇ。まあ、当たり前ですね。急にここへ連れてこられたのですから。”


「あの〜ここは何処ですか?」

 自分の部屋でもないし、今考えられるものとしては誘拐犯が何処かに閉じ込めていること。


“そこですか?まあ、異空間です。”


「異空間ですか?」


“そう、異空間。現実世界でもなければ天国や地獄と呼ばれる場所でもありません。現実の隔離された特殊な空間です。”


 こんなに普通のただの一室に見えるのに?まあ、なんかよくわからないけど、ここが現実世界じゃないのはわかった。この人(?)の言うことを信じれば、だけど。


「で、そんな異空間に私を連れてきて何をしたいんですか?」


“あーそうでした。貴女には異世界にてダンジョンを創って貰いたいのです。”


「ダンジョンといいますと迷路があってモンスターが出てくる様なアレですか?」


“そうそう、ソレです。”


「なんで?」

 純粋に何で異世界にダンジョンを創らないといけないのか分からなかった。大体、その異世界の人間でもいいでしょ?そう思ったのでそのまま言ってみた。


“この世界って、中世くらいの文明でしてね、あんまり想像力がないんですよ。だから強すぎたり、逆に弱すぎてすぐに踏破されちゃったりするんですよ。”


「ダンジョン創りって難しいんですね。」


“そうですね。ダンジョンを創ってもらう目的がその世界の文明を進歩させて欲しいのとあとは私の娯楽の一環です。ゲーム要素もかなり組み込んでます。この惑星は大分余裕がありますからね。”


「ダンジョンで文明の進歩ですか?元の世界にはそんなものは無かったと思うんですが。」


“それですね。実はこの世界には魔法やそれに伴う物質、スキル等を使えるようにしたんですけど、余りに便利すぎてもう300年近く停滞しているんですよ。だから異世界人によるダンジョンを導入して刺激を与えようってわけなんです。まあ、なので普通のダンジョンではないんですが、その説明は後でにしましょう。”


「そうですか…わかりました。」


“やっていただけますか?まあ、拒否してもやってもらいますけど。”


「勿論やります。」

 面白そうだし。元の世界で勉強して、学生やってるよりも楽しそう。流石に落ち着いたら勉強しようと思うけど。


“じゃあダンジョンについて基本的なことを教えていきます。はい。目の前の端末を見てください。”


 そう言うと目の前に端末が出現して宙に浮いた。6つの項目があって5つの項目とその他と纏められている。



“ではその前に。先ほどの続きを言いますね。今回創ってもらうダンジョンは言わば異界です。人類との生存をかけた戦争。ダンジョンの入り口から半径10kmをそのダンジョンの異界として組み込むのです。ランキング制度もあるのですが、この異界の広さも競ったりします。では次に進みます。”


“項目のうちの一つ。【世界情報】というところにはこの世界の情報と、他のダンジョンの所在地、そしてその異界の広さが載ってたりします。”


「他のダンジョン…ですか?」


“はい。貴女のように選ばれた人が200人くらい居ます。それをとりあえず第一期として、何年かに一回、人が居なくなったら補充する予定になっています。あと、現地人が創ったダンジョンもですね。”


「居なくなる…死ぬと言うことですか?」


“そうです。ダンジョンコアと呼ばれるダンジョンの核たるものを設置してもらうんですけどそれを壊されたり、異界から持ち出されたり、奪われた場合は貴女が消滅します。ただし、降伏した場合は消滅することはありません。貴女の命に関わるのは一番最初のダンジョンコア、マザーと呼ばれるコアのみです。その他のダンジョンコアが壊されたり持ち出されたりするとそのダンジョンが崩壊するだけですね。

なお、ダンジョンコアは1000km毎には必ず設置してくださいね。”


「はい。分かりました。」

 と、言うことはある程度は進ませないと行けないけどコアまでは殺す。そんなダンジョン…ムズ!もうダンジョン要素は諦めて国家運営にしようかな。


“この世界は言った通り文明が停滞しています。地球で言うと中世半ばあたりで止まっていますが、ファンタジー要素があるので多少は違っているかもしれません。”


「中世。なんだかイメージ通りって感じの世界観ですね。」


“そうかもしれませんね。では、次に大事な説明に行かせていただきます。このダンジョンを創るにあたってDPダンジョンポイントを使用します。これは全てにおいて使用しますので使いすぎにはお気をつけください。異界ならどこでも使えますので地上においても迅速に建物を建てたりすることが出来ますね。”


「あの、このDPってどういったときに増えますか?それと、モンスターやダンジョンの維持費などでも減るのでしょうか?」


“DPはこのあと配布します。そしてその後は一日に一回500DPが支給されます。その他、自身の配下のモンスターも含む生命体が異界に滞在すると増えます。これはその生命体のレベルにも左右しますね。あとは生命体を異界内で殺害しても得られます。”


“モンスターやダンジョンの維持費は掛かりませんが、ある程度の生活コストは掛かるのでそこは気をつけてください。”


「教えていただきありがとうございます。」

 モンスターやダンジョンの維持費はかからない上に、異界内にいるだけでDPが加算される。なら、モンスター達を生活環境が整ったところで暮らさせても大分増えそう。


“では先にDPガチャをします。いえーい!パチパチ。”


「DPガチャ…ですか?」


“そうです。今から初期DPをガチャによって決めてもらいます。最低で100万DPで、最高ではなんと1億DPです!ここがこれからの命運を分けることになります。”


 そう言うと目の前にガチャの機械が出現した。そのレバーを回すと目の前に数字が表示された…


“おめでとうございます!最高の1億DPです!結構ダンジョンの幅が広がりますね。”


「よし!」

 自分の運の良さに嬉しくなった。よし!どんなダンジョンでも創り放題(?)だ!


“じゃあ次の説明に行きますね。ダンジョンは基本【ダンジョン製作】という項目から創ります。そこを押すと更にズラッと項目が並びます。このうちの【敷地】を選択してください。”


 言われた通りにそこをタップするとまだ何もない空間が映し出された。


“最初の一階層目は無料で創ることができます。階層を創ると最初から500m×500mの広さが出来ます。ちなみにこの一階層あたりの面積はDPで広げられますし、階層も増やすことが出来ます。”


 消費DPは以下の通り、

・階を創る 10万DP(半年に一回無料)

・階を広げる 10DP(100m×100m)


 半年に一回は無料だけど階を広げるほうがDPが安いのか。これは階を新しく創るのは少し考えたほうがいいかも。


“長くなってきたので詳しいことは項目の【ヘルプ】を見てください。そこに詳細は全て載っていますので。最後にモンスターガチャを回しましょう。初回無料のガチャなので気軽に回してください。”


 言われるままに項目から【ガチャ】を選び、更に項目からモンスターガチャ初回無料を選ぶ。それを押すと目の前にガチャの機械が現れた。それを勢いよくガラッと回した。


「…うん?貴女が俺の主か?」


 出てきたのは凄いイケメンに獣耳と尻尾をつけた灰色の獣人?だった。


“ふむ。項目から【鑑定】を選んでください。そうするとカメラのような画面がでます。それで相手、又は物などを撮ると鑑定できます。”


 言われたとおりに【鑑定】を開いて目の前の獣人らしき人に話しかけた。

「あの、鑑定をしてもいいですか?」


「ああ。主なら好きにしていいぞ。」




鑑定。


名前: ルーヴ

種族: 狼獣人

性別: 男

職業: なし

ランク: B

レベル: 30

魔力: 500/500


スキル

・弓術 レベル1


種族固有スキル

・獣化 レベル1

・気配察知 レベル1


ユニークスキル

・必中


称号: 加羅咲桜の配下


説明 獣人の中でも人間に近い姿。

ガチャから生まれた為、寿命がない。自身を引いた主に対する忠誠心が高い。自らの創造主に対し執着し、主に悪口を言ったりする者に対し容赦しない。(仲間を除く。)




「はい。それがその狼獣人のスペックですね。では名付けしてあげてください。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る