第88話十九階層


 ー「渋谷ダンジョン:十九階層」ー


「さぁみなさん!それじゃあ十九階層へいきましょうか!」


 十九階層への階段を発見してから二日後、彰悟は十八階層を少し探索しその後に十九階層へ降りた。


「十九階層は山脈か、前にテレビでみたヒマラヤと似てるけどどんなモンスターがいるのかな?」


 十九階層へ降りると木が生えて無く、視線を遮るものがない山脈がどこまでも続く景色が広がっていた。


「みてくださいお館様、さっそく鳥型のモンスターが飛んでます。」

「ほんとだ。」

『あれは…【サウンドバード】だな』

『ヤツの鳴き声を聞くと眠くなるから気を付けろ』

「鳴き声を聞くと…了解しました。」


 視聴者からサウンドバードの情報を聞いているとサウンドバードも彰悟たちに気付いたようで彰悟たちに近付いてきた。


「ツムギ、追い払ってくれ。」

「ピーーーー!!!」


 彰悟から指示を受けたツムギは空に飛び立つとサウンドバードに向かって鳴き声をあげた。


「ピーーーー!!!」

「ア~~~♪」


 警戒の鳴き声を上げるツムギにサウンドバードが歌うような鳴き声を上げるとツムギは急に空中でフラフラしだした。


『不味い!ツムギが眠りそうになってるぞ!』

「アロスケ!矢でサウンドバードを射るんだ!」

「カタカタ!」


 サウンドバードに眠らされそうになっているツムギに気付いた視聴者のコメントを見た彰悟に指示を受けたアロスケが矢をサウンドバードに向かって射つとサウンドバードは慌てて矢を避けた。


「ツムギ!しっかりしろ!」

「ピッ!?」

「光の矢を射て!」

「!ピーーー!!」


 アロスケによる急な攻撃のせいでサウンドバードの声が乱れたスキに彰悟は大声でツムギの目を覚まさせると彰悟から言われた通りにツムギはサウンドバードに向かって光の矢を浴びせた。


「ア~~~♪」


 サウンドバードは光の矢をなんとかよけているが相手を眠らせる声を出す暇がなく、すぐに逃げようとしたが、


「カタカタ!」

「ア~!」


 光の矢を躱すことに集中しすぎた為、アロスケの矢に射貫かれてしまった。


「良くやったなツムギ!アロスケ!」

「ピーーーー!!!」

「カタカタ!」


 ツムギとアロスケを褒めた彰悟は空から落ちてきたサウンドバードの死体に近付くと解体をした。


「意外と小さいし素材も【サウンドバードの羽毛】だけだから解体は簡単だったな…。にしても眠らされるのか、はじめてのタイプの敵だな。」

『サウンドバードの厄介なとこは他のモンスターと連携を取ってくる所だな、別のモンスターと戦ってたらいつの間にか近付いてきて鳴き声を聞いて眠りに落ちる…なんて事も良く聞く話だぞ』

「それはかなり危険ですね、気を付けないと。」


 サウンドバードの危険性を視聴者から教えられた彰悟たちが周りを警戒しながら進んでいると牛の様なモンスターの群れを見つけた。


「あれは…牛のモンスターか?」

『あれは【薬膳やくぜんヤク】の群れだな。角が薬になるし毛も防寒具として優秀なモンスターだよ』

「あれがヤクですか。聞いたことあります、地上にもいますよね。…ちなみに敵対はしますか?」

『するぞ。メスと子供は逃げるけど歳をとったオスは群れを守るために敵対してくるはず』

「…じゃあ一体ぐらいは倒してみるか。」


 視聴者から情報を得た彰悟は薬膳ヤクを倒すために薬膳ヤクたちから姿が見えるように立った。すると、


「「「ブルルルル!」」」


 彰悟を見つけた薬膳ヤクの群れは三体の薬膳ヤクを置いて彰悟たちの反対方向へ逃げ出した。


「一体で良かったんですけど三体も残りましたよ。」

『群れの中の年寄りがそれだけいたんだろうな。ムクロたちもいっぱいいるし沢山の年寄りが時間を稼ぐために残ったんだよ。角の効能は歳を取った方が高いはずだからこっちとしては好都合だと思おう』

「なるほど、じゃあやりますか。コータ!薬膳ヤクが突進してきたら壁を出してくれ!」

「ガァ!」


 彰悟たちが残った薬膳ヤクに近付くと残った三体の薬膳ヤクが、


「「「ブフー!ブフー!ブフー!」」」


 と興奮しながら一斉に突進してきた。


「いまだコータ!」

「ガァ!」


 彰悟から出された指示通り薬膳ヤクたちの前にコータが壁を作り出すといきなり現れた壁に二体の薬膳ヤクは止まることができたが止まりきれなかった薬膳ヤクの一体が壁に激突した。


「!!!」

「「ブルル!」」


 壁に当たった薬膳ヤクが壊れた壁の下敷きになるなか、壁にぶつからなかった二匹の薬膳ヤクが再び彰悟たちに突進をするために走り出した。


「コータ!ルドスケ!受け止めろ!」

「ガァ!」

「カタカタ!」


 彰悟から指示を受けたコータは薬膳ヤクを受け止めることに成功したがルドスケは薬膳ヤクの角にうまく掬い上げられ吹き飛ばされてしまった。


「な!?」

「ブルル!」


 薬膳ヤクの突進を受け止めることができる従魔がいなくなり焦る彰悟と薬膳ヤクの間に空から降りてきたツムギは薬膳ヤクを止めるために全身で発光をした。


「!!!ブルルルル!!」

「!いまだ!ジジ!岩の槍で薬膳ヤクを仕留めろ!」

「チチ!」


 いきなり光によって視界を奪われた薬膳ヤクがその場で暴れていると狙いを定めたジジの攻撃によって首もとに岩の槍を突き刺された薬膳ヤクはピタリとその場に止まると力無く倒れた。


「ツムギ!ありがとうな!」

「ピーーー!!」

『ツムギナイス!』

『ルドスケ大丈夫か?』

『大丈夫だろ、多分防御力の問題じゃなくてスケルトンとしての重さの問題だろうし』

「なるほど、確かにスケルトンはあの重量を受け止めるには軽すぎるか。」

『スケルトンは骨しか無いからね』

「あ、コータ!受け止めてる薬膳ヤクを岩の槍で倒してくれ!」

「ガァ!」


 彰悟が盾持ちとしての致命的な弱点に気付いているなか、薬膳ヤクの一体を受け止めていたコータは彰悟の無事を確認すると地面から岩の槍を出して動けないように足で踏んでいた薬膳ヤクに止めを差した。


「ブルル…。」

「ゴンゾー、なるべく苦しまない様に倒してくれないか?」

「おまかせくださいお館様。」


 残った壁に生き埋めにされた薬膳ヤクもゴンゾーが苦しまない様に一刀で首をはねた。


《レベルアップしました。》

《ジジがレベルアップしました。》

《ツムギがレベルアップしました。》


「お、久しぶりに自分がレベルアップしたな。」

『おめでとう!』

『おめでとー!』

『転職も目に見えてきたんじゃないか?』

「いやいや、まだまだ転職までの道のりは遠いですよ。」


 自身のレベルが18になり転職かなり近付いた彰悟だったが召喚系の職業はレベルアップするのが遅いため視聴者たちが言うほど直ぐに転職はできないだろうと思いながら薬膳ヤクから毛と角を回収した彰悟は十九階層の探索を再開させるのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:

 田中彰悟(たなかしょうご)

 職業:

 ネクロマンサー

 レベル:

 17→18

 数値:

 体力:41→43

 攻撃力:22→23

 素早さ:21→23

 魔力:57→60

 スキル:

 召喚3 従魔鑑定 デバフ攻撃付与2→3 死霊作成


 種族:

 ラットマンデュアルマジシャン・スケルトン

 名前:

 ジジ

 レベル:

 3→4

 数値:

 体力:61→64

 攻撃力:50→53

 素早さ:64→65

 魔力:80→83

 スキル:

 奇襲2 爪撃3 ジャンプ2 土魔法2 穴掘り1

 火魔法1


 種族:

 シャインスワン・ゾンビ(寄生中)

 名前:

 ツムギ

 レベル:

 2→3→4

 数値:

 体力:66+12→66+13

 攻撃力:59+12→59+13

 素早さ:71+12→71+13

 魔力:70+12→70+13

 スキル:

 飛行 光魔法1 回復魔法1 再生

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