第4話 早朝

まだ、お日様が顔を出していない早朝。ミキは、ラブホテルの浴室にいた。

 <私は、何をやっているんだろ>そんな呟く言葉が、シャワーを浴びる中、虚しく響いている。まだ、ダブルベットで、深い眠りについている青年を、起こさない様に、流れるシャワーの音も、気持ち静かである。

 <あぁ…>昨日の露わな自分の行動を恥じている。人肌が恋しくて、誰でもよかった。厚みのある胸で、たくましい腕の中で、自分の顔を埋められれば、誰でもよかった。ぽっかり空いた胸の空洞を埋められれば、よかったのである。恋と云うにはほど遠い、身体だけの関係。こんな事を、何度繰り返してきたのだろう。繰り返し、朝になると後悔をする。

 濡れた髪を束ねた頭にバスタオルで巻いて、浴槽から出てくるミキは、身体もバスタオルで覆っている。ベッドの付近だけ、小さな灯りをついている中、ミキは小さなソファーに座り、メンソールの煙草に火を点けた。

 <フぅー>煙を吐き出し、視線を青年に向ける。しばらく起きる事はないだろう。二度、ミキの口の中で、昇天をした青年。アルコールも入り、味わった事もないセックスに、気持ちよく眠っている事であろう。ミキは、そんな青年を眺めながら、何を考えているのか。虚しい、悲しいセックスに、何を思っているのか。

 煙草を吸い終わると、ミキは立ち上がり、浴室に足を向けた。青年が起きる前に、この部屋から出ようと考えている。一夜限りの夢。朝になれば、覚めてしまう。お日様が昇る前に、この部屋を出ていこう。そして、どうしよう。考えがまとまらないまま、浴室に戻り、自分姿を鏡に映して、濡れた髪の毛を乾かして始める。

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