第14話 初ダンジョンボス

「試験は単純です。このダンジョンのダンジョンボス、つまり9級モンスターをソロで倒す事ができれば合格です。このダンジョンのダンジョンボスはランダムなので、何が出てくるかは分かりません。」


 ふむふむ、試験はゲームの内容と変わらないな。9級モンスターというとゴブリンと同じくらいの強さだ。油断しなければまず倒せるだろう。


「部屋に入って扉を閉めた瞬間に、ダンジョンボスが靄と共に出現します。変異個体だった場合は、試験官が倒し、仕切り直します。」


 ほうほう、10級試験で変異個体が出た場合か…ゲームではあり得なかったけどそりゃあ出る場合もあるよな。


「試験官二名と受験者一名が扉の中に入り、受験者が一人でモンスターを倒してください。受験者が助けを求めた場合や、試験官が危険だと判断した場合、試験官がモンスターを倒し、試験は不合格になります。無事に一人で倒せた場合、試験は合格になります。ボスを倒すと、ボス部屋の奥にある転移魔法陣が起動します。この転移魔法陣を発動させないと、ボスが新たに出現しないので、合否関係なく、試験後は転移魔法陣に乗ってください。受験後はダンジョンの外にギルド職員がいますので、職員の近くで全員の試験が終わるまでしばらくお待ちください。」


 もしかして、試験をするためにわざわざダンジョン最下層に行くのって別のモンスターの邪魔が入らず、すぐに地上に戻れるからか…なかなか合理的だ。


「このダンジョンは転移魔法陣を発動し、部屋の中に誰もいなくなり、扉を閉じるとボスモンスターの出現条件が整うので、試験官二名は試験ごとに安全地帯に戻ってきます。」


 ちなみにダンジョンによってボスのリポップ条件は違い、一度倒すと一日待たないと出てこないダンジョンなんかもあった。


「以上で試験の内容は以上です。何か質問はありますか?」


 こういうのってこの場では思いつかないけど後から気になる事ができるんだよな。うーむ


 悩んでいると10歳ほどの少女が手を挙げる。


「どうぞ。」


「付き添い人は一緒に入っても大丈夫ですか?」


「はい、手を出さないのであれば許可します。」


 あ〜完全に忘れていた。付き添いがいるのは俺と少女だけではなく、8歳ほどの少年も付き添いがいる。なぜ思いつかなかったのか…普段なら思いつくはずだけど…これが俗にいう岡目八目だな。


「他に質問はありますか?」


 う〜ん、今度こそ本当にないよな?ない…はずだ!よく考えれば小さい質問などはあるかもしれないが聞いたところで大して意味のないことばかりだろう。


「それでは用紙の記入された順番に試験をしてもらいます。それでは—」


 用紙の記入が早かった順で呼ばれるとの事なので、俺は今日記入したので最後か最後に近いだろう。順番が来るまで暇だが、受験者は六人だ、すぐに順番が来るだろう。


 暇つぶしに父と雑談でもしていよう。


「父さんの使う武器って剣だよね?」


「ああ」


「他の武器は使わないの?」


「性に合わない」


 おお!剣一筋というのもかっこいいな。俺は最終的に全部使うつもりだけど…。


「父さんはなんで冒険者辞めたの?まだまだ体動くでしょ?」


「いくら女神様の加護があるとはいえ冒険者は危険な職業だからな、子どももできた。」


 父が話しながら頭を撫でてくる。悪い気分はしない。前世での両親は放任主義というか海外で仕事をしていたので殆ど関わりがなく、そのせいで俺は子どもの頃からゲームばかりしていて…もしかして俺は親の愛に飢えていたのかもしれない。


 その後は無難な話をし、とうとうその時は来た。


「最後はアレン様。最後なので帰還の際速やかに移動するために、私もボス部屋に同行します。それでは行きましょう」


「はい!」


 ボス部屋に入る。この世界に転生して5年…このボスを倒せばようやく冒険者になれる。長かったな…。決意を固め、父から授かり受けた木剣を訓練と同じように握る。


 靄と共に出現したモンスターは——





「スケルトン!」


 スケルトン…9級モンスターの中でも背が高いモンスターだ。スケルトンなんて名前だがただの骸骨だ。手には何も持っていない。個体差は当然あるが、その身長は人間の大人程ある。自分よりも大きいモンスターと戦うのは初めてだ。


 少し怖いがそれは別の怖さだ。手も足も思い通りに動く。


 スケルトンが相手だというのなら狙う場所は1つ。


 ダッシュでスケルトンの前に躍り出て攻撃を誘う。


 すると、予想通り両手を上げて覆い被さるように攻撃してくる。


「フッ!」


 が、余裕を持ってその攻撃を縫うようにして右に避ける。


 スケルトンは攻撃を空振ったことにより致命的な隙ができてしまう。


 モンスターの弱点と言えば当然魔石だ。魔石は硬いので砕くことは困難だが、魔石に攻撃を与える事で大ダメージを与えられる。


 なら、魔石を狙うか?いや、スケルトンの魔石は骨で覆われている。骨と骨の間を縫って魔石を狙い撃ちするのは少々面倒だ。いいや、ここは骨が折れると言っておこう。


 ならばどこを狙えばいいのか…スケルトンは骨だ。明らかに脆そうな場所があるだろう?目?いやいや人間にとっては弱点だがスケルトンにとっては一番意味のない攻撃だ。ならば頭?それはいいかもしれない当たればかなりの大ダメージだろう。俺の手が痺れそうだが。


 …ダメージには3種類ある。


 1つ目は胴体などを攻撃した場合の通常ダメージ。


 2つ目は目や頭、モンスターによって違う急所を攻撃した場合のクリティカルダメージ。


 3つ目は魔石を狙い撃つや首を断ち切るなどの致命的な攻撃。即死だ。


 魔石を狙うのが難しいとなれば狙う場所はただ1つ。


「首だ!」


 俺の放った鋭い横薙ぎはスケルトンの首に吸い込まれ、スケルトンの頭を支えていた頼りない骨がポキッと音を立てて折れた。


 首の骨が折れた衝撃でスケルトンの頭がカラカラと転がり、暫くして止まる。


 すると、スケルトンが光になって消え…。



 消えた場所には魔石と骨が残っていた。(自動回収OFF)



 初ダンジョンクリア、そして10級冒険者試験合格だ!

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