第52話 騒乱の一区切り
「……リリス、情報を整理して教えてくれ」
俺は先生の尻尾を掴んだまま、リリスに説明を求めた。
恐らく俺は、先生を尋問して情報を吐かせていたのだろうから、それを聞いておこうと思ったのだ。
敵対勢力の重要人物を裏切らせたのだ。
まずやるべきは、情報収集だろう。
「畏まりました、魔王様。────篠塚先生から得た情報によりますと、天界勢力で魔王様の監視をしていた『天使』は、先生一人だったようです。先生が操っていた人間は、森山一人……、天界勢力も人手不足らしく、新たに刺客が送られてくる可能性は低いそうです。────当面、私達の周囲は、安泰であると思われます」
「────で、あるか」
俺は信長を真似して、偉そうな相槌を打った。
「相手が襲ってこないのであれば、こちらから攻める事も無いか……。それよりも封印解除を優先する。ちょうど、先生を従魔にしたことで、さらに力を増すことが出来たところだ。作業効率を上げる為、人手を増やすとしよう」
俺はそう考えて、分体作成能力『ドッペル』を使用した。
────ズッ! ズズズズズズッ!!
俺のオーラが人の形を取り、俺そっくりに具現化されていく。
自分の分身を生み出せる能力──
ただし今回、産み出す分身は特別製だ。
俺が能力で生み出した分身は、俺そっくりではあるが、年齢はずっと若かった。
そうすることで消費エネルギーを軽減し、長時間、具現化し続けることが出来る様に調整したのだ。
「……よし、これで分担して従魔候補を探し、効率的に配下を増やすことが出来る」
「流石ですわ、魔王様!! それで、こちらのお方のお名前は──? 何とお呼びすれば……?」
名前、か────
「そうだな。名前がないと不便だな……。────よし! お前の名前は『面次』にしよう。……リリス、面次が学校に通えるように手配しろ。────面次、準備が整い次第、学校に通って従魔を増やせ」
俺はリリスと面次に、命令を出した。
「お任せください、魔王様」
「任せといてよ、俺がちょっと本気を出せば、封印解除なんて、秒で終わらせてやるぜ」
……秒では無理だろ。
そう思ったが、言わないでおいた。
折角、面次がやる気になっているのに、水を差すこともあるまい。
────ぱぁん!!
分体は篠塚先生の背にまたがると、その尻を叩きだした。
「俺や、俺の女を殺そうとした罰だ。喰らえっ!!」
「申し訳ありません、面次様」
先生はしおらしく謝るが、面次は俺とは違い、少々やんちゃな性格のようだ。
「ダメだ! ゆるさん!!」
熟れたデカ尻を再び引っぱたいた。
────ぱぁんん!!!
こいつに任せて大丈夫か? と、一瞬不安になったが、やる気はあるようなので、任せてみることにした。
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魔王降臨 猫野 にくきゅう @gasinnsyoutann
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