A・アラン・ポー著「アッシャー家の崩壊」

梅崎幸吉

第1話

A・アラン・ポー著「アッシャー家の崩壊」は自我の崩壊劇である。自我の崩壊は虚無へと至り、虚無的世界観となる。

近代から現代に至るまで個人の自我の「受難劇」である。その先駆的作品。 物質界の足場を消失したら嫌でも「虚無観」に至る。その虚無的世界観に呪縛される。

唯物論的世界観に依拠した個人が「 虚無的世界観」を打破するのは容易ではない。 周囲、世界中を見渡しても殆どの芸術、哲学、心理学、文学等の魂は「虚無的世界観」に呪縛されている。

本来はあらゆる事物を公正に観る一視点であり、此処からが真のスタート地点である。


ポオの詩を、私が銀座で画廊を経営している時に好んで朗読をした。


彼の全ての詩には深い孤独、悲哀が鳴り響いている。彼の実体を理解し得る者が誰もいなかったのである。彼の「詩論」は宇宙論にまで及んでいるが、主観的想像力によるものである。ポオの才能を見抜いたボードレールは初めて西洋に紹介した。その世界観は多くの詩人に影響を与えた。いわゆる「象徴派」と称される詩人達である。彼らの世界観は閉じた球体の中で乱反射しつつ作品を生み出した。


小林秀雄もその球体を打破せんと苦闘していた。ランボオとの出会いで球体は砕け散った。

観念的虚無観(象徴的世界)から現実世界への実践家、実行家の精神へ。

――批評精神から創造精神へと変容した。


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A・アラン・ポー著「アッシャー家の崩壊」 梅崎幸吉 @koukichi-umezaki

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