第八話
ぎこちなさが漂う中で、悠斗と唯菜の関係は少しずつ変化を見せ始めていた。お互いに意識しながらも、自然体でいようと努めていたが、言葉の端々に気持ちがにじみ出てしまう。
そんなある日の部活終わり、たまたま他の部員たちよりも片付けが早く終わり、二人で帰ることになった。
「久しぶりに二人だね。」
唯菜が少し照れくさそうに言うと、悠斗も微笑んで頷いた。
「そうですね。最近、部活が忙しかったから。」
学校の門を出て、夜風が二人の間を通り抜ける。夏の名残を感じさせる温かい空気に混じる秋の匂いが、どこか心地よかった。
「悠斗君、最近すごく頑張ってるよね。」
唯菜がふと立ち止まり、悠斗の顔を見上げた。その表情はどこか真剣で、悠斗は思わず立ち止まった。
「そんなことないですよ。まだまだ先輩たちには全然追いつけなくて。」
「そんなことないよ。」
唯菜は笑顔を浮かべながら首を振った。
「悠斗君がいると、部活の雰囲気が明るくなるし、みんながもっと頑張ろうって思える。私も、悠斗君からたくさん元気をもらってるよ。」
その言葉に、悠斗は胸が熱くなるのを感じた。
「先輩、それって…。」
言葉を続けようとした悠斗だったが、その瞬間、唯菜がポツリと呟いた。
「悠斗君と一緒にいると、なんか安心するんだよね。」
彼女の言葉は小さかったが、悠斗にははっきりと聞こえた。それは、彼の心に火をつけるには十分な一言だった。
(先輩も…俺のこと、そんなふうに思ってくれてるのか。)
胸の中で膨れ上がる想いを抑えられなくなった悠斗は、歩み寄り、唯菜を見つめた。
「唯菜先輩。」
彼の声に、唯菜は驚いたように目を丸くした。そして、彼が真剣な表情で自分を見ていることに気づく。
「先輩に言いたいことがあります。」
唯菜は小さく頷き、じっと悠斗を見つめた。その瞳に映るのは、迷いのない彼の想いだった。
「僕…先輩のことが好きです。」
夜の静けさが二人を包む中、悠斗の言葉はしっかりと唯菜の心に届いた。
唯菜は息を呑み、ほんの一瞬動きを止めた。悠斗の告白は、彼女にとっても予想外ではなかったが、実際に聞くと心が大きく揺れ動いた。
「悠斗君…。」
唯菜が何かを言おうとしたその瞬間、風が二人の間を通り抜けた。
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