第32話:支え合う真実の愛と搾取される肉(前編)
日々の激務に追われ、疲れ果てたサマルは、ふと夜中に目を覚ました。
窓の外には静寂に包まれた月夜が広がり、柔らかな光が寝台を照らしている。
そんな中、彼の懐にすっぽりと収まるようにして眠るムーンの姿があった。
規則正しい寝息を立てる彼女の髪は、月明かりを受けてほのかに輝いている。
愛らしく穏やかなその寝顔に、サマルの胸は熱くなった。
疲れているはずなのに、なぜか彼女を見ているだけで、体の奥から力が湧いてくる。
そっと手を伸ばし、ムーンの頬を指先で撫でる。
柔らかな肌の感触に、愛おしさが込み上げてきたサマルは、彼女を起こさぬよう注意しながら、そっと唇を重ねる。
しかし、ほんの一瞬のつもりだった口づけに、ムーンはかすかに身じろぎし、薄く瞳を開いた。
「……サマル?」
寝ぼけた声で名を呼ぶムーンに、サマルは苦笑する。
「起こしてしまったか?」
「ううん……どうしたの?」
ムーンが小さく瞬きをすると、サマルは正直に答えた。
「君の寝顔を見ていたら……愛しくて、興奮してしまった」
その言葉に、ムーンの頬がゆっくりと赤く染まっていく。
「もう……疲れてるんでしょう?」
サマルの顔をじっと見つめ、彼の瞼に薄く残る疲労の色を読み取ると、ムーンはそっと彼の胸に額を寄せた。
「……じゃあ、お口で楽にしてあげるね」
そう囁きながら、ムーンは静かにブランケットの中に潜り込もうとする。
だが、サマルは彼女の肩をそっと押し留めた。
「いや……できれば、君の中で果てたい。いいかい?」
その願いに、ムーンは一瞬戸惑ったように視線を彷徨わせたが、やがてそっと微笑み、頬を染めながら頷く。
「ええ……もちろん」
そう答える彼女の声は、どこか甘く、愛に満ちていた。
ムーンはサマルの頬にそっと手を添え、微笑んだ。
「……準備をするから、ちょっと待っててね。」
甘く囁くような声とともに、彼の唇に優しく口づける。
サマルの体温を感じながら、ムーンはそっと自分の体に手を這わせた。
柔らかな胸に指を這わせると、じんわりと熱が広がっていく。
「ん……っ」
小さく息を漏らしながら、指先でゆっくりと円を描くように刺激を加えていく。
サマルは静かにその様子を見守っていたが、彼女の表情の変化に息をのむ。
ムーンの頬は赤く染まり、わずかに潤んだ瞳がこちらを見つめていた。
「サマル……そんなに見ないで。」
恥ずかしさに身を震わせながらも、彼のためにと懸命に自分の体を慣らしていくムーン。
もう片方の手をふんわりと茂った下腹部の奥に潜り込ませる。
指が敏感な部分に触れるたびに、小さく声が漏れる。
「ふぁ……っ、ん……」
熱が高まるにつれ、ムーンの体はしっとりとしたぬくもりを帯びていく。
サマルはそんな彼女の様子に、思わず手を伸ばしたくなる衝動を感じたが、彼女が自らの意思で準備を整えていることを悟り、じっと見守ることにした。
「ムーン……」
彼の優しい声が耳に届くと、ムーンは嬉しそうに微笑む。
「もう少し……だから」
甘く切なげな声とともに、ムーンは準備を終えようとしていた。
ムーンは自らの身体が十分に受け入れられる状態になったことを確かめると、そっとサマルの上に跨った。
薄いネグリジェ越しに彼の体温を感じる。
夜の静寂の中、彼女の胸は高鳴り、指先はわずかに震えていた。
「サマル……」
彼を見つめるその瞳は、愛に満ち、どこか恥じらいも宿している。
サマルはそんなムーンの姿に、思わず息をのんだ。
月明かりに照らされた髪は幻想的に輝き、ほんのりと上気した頬が、彼女の可憐さを一層際立たせていた。
柔らかく、慎ましく、そして何よりも美しい。
「……ムーン、本当に綺麗だ」
その一言に、ムーンの頬はさらに赤く染まる。
「そんなこと……今は言わないで……」
恥ずかしそうに目を伏せながら、彼女はそっとネグリジェの裾を持ち上げ、肩から滑り落とす。
夜風が肌に触れ、わずかに震えながらも、彼の前にその姿をさらすムーン。
最後の一枚をゆっくりと外すと、彼女の肌は月明かりを受けて白く艶めいた。
その美しさに、サマルはただ見惚れるしかなかった。
「……見ないで……恥ずかしいの……」
そう言いながらも、ムーンは震える手でサマルの体にそっと触れ、慎重に体を沈めていく。
その瞬間、ムーンの口から甘く切ない声が漏れた。
「……ぁっ……」
その声にサマルは思わず彼女の腰を抱き寄せたくなるが、彼女の想いを尊重し、じっと受け止める。
ムーンは彼を感じながら、震える息を整えようとしつつも、その感触に抗えず、もう一度小さく声を漏らした。
「サマル……大好き……」
甘く震えるその囁きに、サマルの胸は熱く満たされていくのだった。
ムーンは頬を赤らめながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。
最初はぎこちなく、慎重に、まるで彼の体温を確かめるかのように。
「ん……っ、サマル……」
吐息交じりの声が、静かな寝室に響く。
月明かりに照らされた彼女の肌は、ほんのりと汗ばみ、柔らかな光を帯びていた。
サマルはそんなムーンをじっと見つめ、愛おしさをかみしめる。
彼女の動きはまだ拙く、慎重で、それがかえっていじらしくも美しかった。
ムーンはふとサマルの顔を見つめ、小さく呟いた。
「……重くない?」
彼女の心配そうな声に、サマルはくすりと笑い、そっと彼女の胸に手を添えた。
「こんな慎ましい胸で、重いわけがないだろう?」
その言葉と同時に、彼の手が優しく彼女の胸を包む。
ムーンの体がぴくりと反応し、顔を真っ赤にしながら彼の手を払った。
「も、もうっ……! そういうことじゃないの!」
サマルは微笑みながら、もう一度そっと彼女の胸に触れた。
「でも僕は、この慎ましい胸が君の誠実さを表しているようで……とても好きだよ」
その真っ直ぐな言葉に、ムーンは息を詰まらせ、しばらく黙っていたが、やがて視線を落とし、小さく微笑んだ。
「……サマルは、本当にずるいんだから」
そう呟きながらも、彼の愛情を感じ、ムーンは再びゆっくりと動きを再開する。
まだ不慣れな動きではあったが、彼のぬくもりを感じながら、ムーンの心には甘い幸福が満ちていくのだった。
ムーンはぎこちなさを残しながらも、少しずつ自分なりのリズムを掴み、ゆっくりと腰を動かし続けていた。
サマルはそんな彼女の動きをじっと見つめながら、ムーンの胸に添えた手に力をいれる。
「ん……っ」
指先で柔らかさを確かめるように愛撫すると、ムーンの体がわずかに震える。
敏感な乳首を優しく転がすように触れると、ムーンの喉から甘い吐息がこぼれた。
「ふぁ……っ、サマル……」
ムーンはもともとサマルを癒し、奉仕するつもりだった。
しかし、気づけば彼の愛撫に翻弄され、むしろ自分の方が快感に溺れそうになっていた。
(……違う、わたしがサマルのためにしているのに……)
そう思いながらも、彼の温もりを感じるたび、深く愛されていることを実感し、心が蕩けてしまいそうだった。
「ごめん……わたしが、気持ちよくなっちゃってる……」
恥じらいながら、ムーンは弱々しくそう呟いた。
本当なら、疲れているサマルを満たしてあげるはずなのに、彼に触れられるだけで自分の方が熱くなってしまう。
サマルはそんな彼女を優しく見つめ、穏やかに微笑んだ。
「いいよ。自分が気持ちいいところに、こすりつけてごらん」
ムーンはびくりと体を震わせた。
「で……でも……っ」
喘ぎながら戸惑うムーンに、サマルはそっと彼女の頬に手を添える。
「君が気持ちよくなっている姿を見るのが好きなんだよ。興奮する……」
その言葉に、ムーンの心は一瞬で甘くとろけた。
サマルは、ただ自分を求めているのではなく、心から彼女を愛し、感じる姿すら愛おしいと思ってくれている。
「……わかった」
ムーンは小さく息を整えると、サマルの言葉に従い、自分が一番気持ちよくなれる場所を探しながら、彼の上で慎重に動き始めた。
もう、迷わない。
彼の愛を受け入れながら、自分の快感を最大限に感じることに、ただひたすらに集中した。
ムーンはいつしか、一心不乱に腰を動かしていた。
恥じらいも戸惑いも、すべて消え去っていた。
ただ、サマルを感じたい。彼と一つになりたい。
その想いだけが、彼女の体を突き動かしていた。
「はぁ……っ、サマル……っ」
彼の熱い視線を感じる。
胸を包み込むような手のひら、敏感な乳首を弄ぶ指先。
そして、体の奥で感じる、彼の存在。
そのすべてが、ムーンの中で抑えようのない熱を生み出していた。
サマルもまた、普段とは違うムーンの姿に、心を奪われていた。
普段は気品を纏い、慎ましやかな彼女が、今は自らの快楽を求め、貪るように腰を動かしている。
その光景に、彼の理性は崩れ落ち、込み上げる熱を抑えることができなくなっていた。
「ムーン……僕も……っ」
「……っ、うん、一緒に……っ!」
ムーンの動きが速くなる。
彼にしがみつくように、胸を押し付け、サマルの熱を全身で受け止める。
意識が真っ白になりそうなほどの快感が、全身を駆け巡る。
「……あっ……だめ……っ!」
高まる熱に、ムーンの体が小刻みに震える。
サマルも、彼女の内側に絡め取られる感覚に、最後の瞬間が迫るのを感じる。
「……ムーン……っ!」
「サマル……っ、一緒に……っ!」
次の瞬間、二人の体が大きく震えた。
「──あぁぁぁぁっ……!」
ムーンの口から、甘く艶やかな声が迸る。
身体の奥から突き上げるような熱が、彼女を一気に押し上げた。
「はぁっ、んっ……! あっ、あぁぁ……っ!」
全身が痺れるような快感に包まれ、指先まで震えが走る。
身体の奥に注ぎ込まれるサマルの熱が、さらに彼女を甘く蕩けさせる。
無意識のうちに腰が跳ね、波打つように震えながら、ひたすら彼を求め続けた。
「サマル、サマル……っ、だめぇ……っ、気持ちよすぎて……っ!」
艶やかで切なげな喘ぎ声が夜の静寂を彩る。
彼の腕の中で、果てしなく続く快感に身を委ねながら、ムーンはただ、愛する人のぬくもりを感じ続けた。
ムーンはびくりと身を震わせながら、甘く切ない声を漏らし、サマルの腕の中で力を抜いた。
サマルもまた、彼女の温もりの中で、すべてを解き放つように深く息を吐く。
夜の静寂の中、二人の荒い息遣いだけが響く。
しばらくして、ムーンは力なくサマルの胸に頬を寄せた。
「……サマル、大好き……」
サマルは優しく彼女の髪を撫で、満ち足りた笑みを浮かべる。
「僕もだよ、ムーン……」
二人は寄り添いながら、静かに夜の余韻に浸っていた。
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