第2話 騎士団の日常

戦場の喧騒が静まり、第七機甲騎士団の部隊は、近隣の拠点へと帰還していた。帝国軍との小競り合いで初陣を飾ったリオン・アークライトは、初めての戦いの感触をまだ噛みしめている。


「おい、リオン!動きは悪くなかったぞ。」

基地に戻るなり、ベテラン騎士のカールが陽気に声をかけてきた。


「ありがとうございます!でも、やっぱり緊張しました……」

リオンは苦笑しながら答える。


「まあ、最初はそんなもんさ。だが油断するなよ。次の戦場はもっと苛烈になる。」

「はい、心得ています!」


騎士たちはフレームを整備班に預けると、拠点内の休憩室へと向かった。


第七機甲騎士団の拠点は、国境沿いに位置する小さな城塞だ。ここにはオメガフレームの整備施設や騎士たちの訓練場、宿舎が備わっている。日々の業務や戦闘準備はここで行われ、騎士たちは次の出撃命令を待つ生活を送っていた。


「リオン、新米には覚えることが山ほどあるんだぞ。」

拠点内の作戦室に顔を出したリオンを見て、ギルフォードが厳しい声を上げる。


「はい、隊長。日々努力します!」


リオンは敬礼をしながら答えるが、その表情にはまだ緊張の色が見えた。


「お前の戦いぶりは悪くなかった。だが、フレームはただの道具じゃない。使いこなせるかどうかは操縦者次第だ。」

ギルフォードは、モニターに映し出されたオメガフレームの性能データを指差しながら言葉を続ける。


「オメガフレームは魔石エンジンで動いているが、無尽蔵の力があるわけじゃない。エネルギーの管理と機体の特性を理解していなければ、すぐに限界が来る。」


「了解しました、隊長!」


訓練を終えたリオンは、仲間たちと食堂で夕食を共にしていた。


「リオン、今日の戦闘データ見たぞ。お前、近接戦もうまいんだな!」

同僚のエルドが、笑顔で声をかけてくる。


「いや、まだまだ、敵の動きが予想通りだったからこそ対応できただよ」


「謙虚なやつだな。でも、あのナイフの使い方はなかなかだったぜ。」


リオンは照れたように笑うが、その言葉に少しだけ自信を持つことができた。


「よし、この調子で次も頼むぞ。俺たち新人組で隊長を驚かせてやろうぜ!」

エルドの声に、リオンはしっかりと頷いた。


その夜、ギルフォードは通信室で作戦司令部からの報告を受けていた。


「少佐、帝国軍がまた動きを見せ始めました。今回の部隊は前回よりも規模が大きい模様です。」

「どの程度だ?」

「正確な数は不明ですが、複数のフレーム部隊が確認されています。」


少佐は眉をひそめる。これまでの小規模な侵攻とは異なり、帝国軍が本格的に動き出した可能性が高い。


「分かった。こちらの部隊を増強し、次の侵攻に備える。リオンたち新人も使える戦力になりつつあるが、まだ経験が足りん。」


通信を終えた少佐は、部下たちに新たな作戦準備を指示した。


翌朝、拠点内では活気がみなぎっていた。帝国軍の次なる侵攻を予測し、全員が訓練や整備に取り組んでいた。


リオンも訓練場でシュミレーターを使い、フレームの操縦技術を磨いている。


「リオン、今日はシュミレーション戦闘だ。模擬敵は帝国軍の標準型フレームだが、数を増やしている。」

カールが笑いながら説明する。


「分かりました!全力で挑みます。」


リオンは操縦席に座り、シュミレーターのスイッチを入れた。視界には戦場を模した映像が広がり、数機の敵フレームが迫ってくる。


「落ち着け……冷静に標的を狙え。」


リオンはアサルトライフルを構え、敵機を次々と撃破していく。しかし、最後の一機に気を取られた隙を突かれ、背後から攻撃を受けてしまった。


「……しまった!」


「リオン、全体を見渡すんだ!一対一じゃなく、戦場全体を把握しろ。」

カールが助言する。


「はい、次は気をつけます!」


訓練は何度も繰り返され、リオンは少しずつ戦場での動きを体得していく。


夜が更けた頃、少佐から全員に緊急招集がかかった。


「全員、作戦室に集合。帝国軍の侵攻が本格化した。準備を急げ。」


リオンたちは急いで装備を整え、次なる戦いに向けて動き出した。


「行くぞ、リオン。これが俺たちの仕事だ。」

カールがリオンの肩を叩き、共に出撃準備を進める。


第七機甲騎士団の新たな戦いが始まろうとしていた――。

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